小学校時代の筆者の家は、祖父と伯母が

病床であり所謂…貧乏だったのだ。

昭和43年、小学4年生だった筆者は、

何年間も貯めたお年玉の五千円で、

足踏みオルガンを購入した。

足元の2つのペダルを踏んで

鍵盤の音が出るオルガンである。

未就学時代ヤンチャだった筆者は、

伯母の病のあるショッキングな

出来事により失語症になったのだが、

小学校の授業で使用していたピアニカが、




好きだった事から中古オルガンを購入したのだ。

日毎、下手なオルガン演奏をしていた筆者に

生前の母から「お金はなんとかなるのだから

ピアノを習わない?」と言われた。

オルガン教室は無いが、ピアノ教室なら

近所のピアノがある女の子の家に毎週

ピアノの先生が来ていると言うのだ。

間髪入れず「習いたい」と言った筆者だった。

小学生だった筆者が、かの横森良三さんの

アコーディオンで、♪いなかっぺ大将 の

テーマソング大会に出場させられたのも

この時のピアノの先生からのご縁だったのだ。


   天童よしみ さん歌唱で有名な曲


ピアノで習った曲を足踏みオルガンで、
弾くのは 違和感があったと記憶している。
発表会なるイベントには数回 出たのだが、

中学受験の為にピアノ教室はリタイアした。

 

月日は、流れて20歳で 芸能事務所に

お声掛け頂いき入社した際には、

事務所内のレッスン場にピアノがあり

新人時代の松田聖子、早見優、

岡田有希子のレッスン時にピアノを

トラで弾いていた時があったのだ。

(トラ→代役の業界語)


数年経過して

◯◯課の社員の劣悪なモラハラにより

退社しフリーフォトグラファー時代に

ホテルオークラでウェイターを

していた時代のことだった。

大きな挙式のリハーサル中に

「ピアニストまだ来てないの!

 誰かピアノ弾けるやついる?」

と黒服が叫んでいた。

たまたま近くでテーブルセットを

していた筆者に黒服が「お前弾けるだろ」

と譜面を渡されたのだ。何で?と

戸惑う暇もなくグランドピアノの椅子に

座らせられ食い入るように譜面を見て

弾いた「世界は二人のために」

結婚式でこの曲ってコテコテだろ…と

思って何とか弾いていたら

本物のピアニストが「ごめんなさい〜」と

到着されたのだった。

挙式中にバックヤードにスタンバイされていた

ブルーのサテン地のジャンプスーツ姿の

佐良直美さんから「リハありがとう」と

お声掛け頂け…感動した若き日の筆者は、

翌日 小学4年生の足踏みオルガン以来の

電子オルガン(又しても中古)を購入していた。

俗に言う エレクトーン…だか、ヤマハでなく

テクニクスの テクニトーンだった。



海外での撮影仕事が、入るまでの短期間

挙式奏者の教室に毎週通っていて判明した。

ピアノと違ってペダルが複数ある

電子オルガンは、メーカーによって

ペダルの位置や幅が全く違うのだ。

教室で空いている電子オルガンにより

ペダルが踏みにくかった記憶があるのだ。

そんな時から…早40年。今は弾けないな…。


しかし、ピアニストさんのことは

いつも尊敬して聴かせて頂いてるので、

ピアニストさんの感性を楽しめるのだ。

美輪明宏さんが、丸山明宏さん名義で
作詞 作曲され歌唱してらっしゃる
「ヨイトマケの唄」(1965年リリース)
冒頭とラストにピアニストさんの譜面には。
なんの音符もない部分がある
歌い手さんのアカペラ部分だ。

冒頭部分
曲の終わり部分



 主に 荒井洸子さんの歌唱で、

 約 20名ほどのピアニストさん演奏を

 お聴きしたのだが、

 ほとんとのピアニストさんは、

 アカペラ部分は、何も演奏なさらない。

 それで 何ら問題は ないのだが、

 アニエス晶子さんは、冒頭部分の

 父ちゃん、母ちゃん後の

 エンヤコラ(エンヤコラせ〜)の部分を

 両手で鍵盤を叩いて大きな音を出される。

 そして、砂原嘉博さんは、

 同じ2箇所を良い意味で他に類のない 

 アングラのような旋律を奏でられるのだ。

 長年 映像を作ってきた事もあり

 筆者は、個人的に砂原さんの世界観が、

 ヨイトマケの世界観と感じるのだ。

 そのあとに直ぐに本編の歌になるわけで

 ピアニストさんの感性にかかってくると

 筆者は、兼ねてから感じていたのだ。

 簡単に言うとピアニストさんの

 オーソドックスなパターンは、

 冒頭アカペラ部分は何も弾かない。

 世界観を奏でたいピアニストさんは、

 何かしら弾かれる。

 とばかり思っていたら

 先日、珠木美甫さんの歌唱で、

 トッツィー戸塚さん(戸塚 修さん)が、

 演奏なさったのを聴かせて頂き

 驚愕してしまった。 

    冒頭アカペラ部分は、

 無演奏だったが、

 アカペラのラストであり

 曲の終わり部分を締めくくる

 素晴らしい演奏をなさったのだ。

 ピアノ演奏の奥深さを痛感し

 背筋が伸びたのでありました。


 珠木美甫さん と トッツィー戸塚(戸塚 修)さん