本当は一昨日から今日にかけて笠ヶ岳の登山予定だったが、鏡平山荘に到着直前から雪が降り始め、朝には20cmほどの積雪になり、アイゼンを持っていなかったので笠ヶ岳登山は断念した。

 

 前泊した宿の露天風呂。

 夕食の時間が決まっていて、白山から宿への移動時間がけっこうかかり、食前に軽く汗を流す程度の時間しかなかった。夕食時にお酒を飲むので、食後にお風呂には入れないから、もう一度まだ暗い早朝にゆっくり温泉に入り出発した。

 

 奥穂高温泉の登山口に向かう。雨が降ったりやんだりという怪しい天気だった。

 

 

 登山道も下の方は紅葉がまだ始まったばかりだった。

 

 この先を登れば鏡平だ。

 

 もう少しで鏡平山荘というところで、驚いたことに雪が舞い始めた。

 

 鏡池の向こうはガスっていたが、ちょうどガスが取れて山々がほんのつかの間見えた。

 

 槍ヶ岳、穂高連峰が見えるので有名な場所だが、槍ヶ岳も一瞬見えたが、すぐに雲に覆われてしまった。

 

 

「鏡平山荘」

 

 すでに薄っすらと雪が積もってきている。

 

 夜中に雪は断続的に降り続き、翌朝にはテーブルの上に雪がベッドのように厚く降り積もり、紅葉の風景も一挙に白銀の世界に変じていた。

 

 

 山の天気は不思議なもので、一瞬のうちに雲間が開けて青空が見えることもあるのだ。山小屋から晴れ間が見え始めたので急いで鏡池に向かった。

 槍ヶ岳が見え始めた。

 

 槍ヶ岳が夢幻のように見えた。またすぐに見えなくなったが、幸運だった。

 

 

 

 

 数分の間にどんどん空の様子が変わってくる。槍ヶ岳はその姿を雲の中に消そうとしている。

 

 山荘のバイトの若い女の子たちがウサギのようだとか妖精のようだとか言っていた。小枝に付着した雪の塊の中に目やその姿を見たのだ。彼女たちの感性の瑞々しさを感じて感心した。いつまでもその柔らかさを失わないで欲しいものだ。

 

 もはや槍ヶ岳も穂高連山も見ることができない。

 

 

 下山する決心をして怪我をしないように、ゆっくりマイペースで下山した。

 

 

 

 下へ降りると冠雪した山々が見えた。自然の圧倒する力に今更ながら驚異を覚えた。