フェルメールの代表作「絵画芸術」(とって付けたような奇妙な題だと思う。本人がつけたのではないだろう)、現実の世界からここだけが切り抜かれた異界のようであり、カーテン越しに何をしているか垣間見ると、白と黒の市松模様の床のタイルが遠近法にしたがって、自然と視線がモデルの方に収斂されていくようになっている。この絵の前に立つと、静謐な絵の世界に吸い込まれそうになる。フェルメールにしてはけっこう大きな絵で、「デルフトの眺望」の次に大きいのではないだろうか。
パウル・ルーベンスの自画像。バロックの巨匠でゴテゴテとした華美な絵が多く、実はあまり好きではないが、自画像はにゴテゴテしていなくて、いかにも自信たっぷりな高慢な感じの個性がでていてなかなかいい。
見つけるとけっこう癖になりそうなアルチンボルド、ルーヴル美術館にも何枚かある。アルチンボルドはルドルフ二世に愛された。この絵は連作「四季」の中の「夏」で最も完成度が高く美しい。写真では分かりにくいが襟にアルチンボルドと藁で編み込まれた署名がある。肩にも1573年という署名があるという。
「皇帝マクシミリアン1世」
デューラーらしい細密描写の冴が光る存在感のある肖像画だ。「戦争は他家に任せておけ。幸福なオーストリアよ、汝は結婚せよ」というハプスブルク家のモットーが、一番成功をおさめたのはマクシミリアンの時代のことだったという。婚姻により領土を拡大した。
「レオポルト・ヴィルヘルム大公の画廊」
大公のコレクションを絵にしたものだ。下方中央に二匹の犬がいてその斜め後ろの肖像画に注目していただこう。
そこにこの絵がある。私の最も好きな女性の肖像画だ。波打つ金髪の表現が素晴らしい。ティツィアーノの「ヴィオランテ」という絵で、「美しいメス猫」というニックネームが付いている。彼女は貴族を相手にする高級娼婦だったという。
この美術館で最も充実しているのはペーター・ブリューゲルのコレクションだ。一部屋全部ブリューゲルの部屋がある。
「雪中の狩人」
たいした獲物も捕れず重い足取りで虚しく帰ってきた狩人たちの眼下には、スケートに興じる村人たちと村の風景が広がる。狩人たちのホッとした気持ちが伝わってくるような光景だ。ブリューゲルの住んでいたフランドル地方にはこのような峻険な山岳地帯はなく想像画だといわれている。
左は「バベルの塔」、ブリューゲルは三枚バベルの塔を描いているが、この絵が最大で最も美しい。細密描写はもの凄いものがあるが、塔の中央足元付近にはお尻をだしてウンコをする人間も描かれていて、ちょっと笑える。
右にはゴルゴダの丘へ向かうキリストが描かれている。処刑を見物しようという野次馬が楽しそうに続々と集まってきている。キリストは絵の中央付近に小さく描かれており、重い十字架を背負って今にも倒れそうだ。よく探さないとどこにキリストがいるか分らない。

