こんにちは、弥月です。

 

 

日向坂のライブが悪い意味でニュースになっています。

 

 

12月9日、10日に開催されたライブにおいて、ある区画を割り当てられたオタクが会場に入ったところ、自分の席が器材で埋め尽くされており、座れない状態だったそうです。

 

 

そこで、スタッフに確認したところ、「ちょっと待ってて」と言われ、通された場所がステージだけでなくスクリーンすら一切見えない場所だったとのことです。各日でそういう人が99人いたので、二日間で198人の被害者が生まれました。

 

 

さて、この被害者は誰に対して、どの程度の請求ができるのでしょうか。

 

 

まず、請求の名宛人から検討します。

 

 

主催者が全てを取り仕切っており、観客が主催者から直接チケットを購入する場合は簡明ですよね。

 

 

主催者が請求の名宛人になります。

 

 

では、今回の場合、誰が主催者になるのでしょうか。

 

 

日向坂46の事務所である合同会社Seed&Flowerでしょうか。

 

 

それなら話が早いです。

 

 

しかし、日向坂46のサイトを見ると、発券担当は株式会社ライブエグザムというところが行っているらしいです。

 

 

そこで、ライブエグザムのホームページから問合せのページに行くと、「乃木坂46・櫻坂46・日向坂46 専用お問い合わせ」のフォームがあり、「弊社が担当する公演以外のご質問にはお答えできません」との注意事項があります。

 

 

そうだとすると、ライブエグザムがライブを担当していることが分かります。しかし、ライブのどこからどこまで担当しているのか分からないところがミソです。

 

 

もっと言えば、ライブエグザムにライブの担当を発注している発注主が誰かもよく分かりません。普通に考えれば、合同会社Seed&Flowerかもしれませんが、全ての企画を合同会社Seed&Flowerの親会社であるソニーが取り仕切って、ライブの設営及び運営をライブエグザムに委託しつつ、合同会社Seed&Flowerには所属タレントの日向坂メンバーを出演させるオファーを出した可能性だってあります。

 

 

まぁ、ライブの開催について全てライブエグザムに下請けに出されたか、ライブエグザムがライブを主催して日向坂メンバーに出演依頼をしたかのいずれかだと仮定しましょう。

 

 

そうすると、チケットはライブエグザムから買ったとして、被害者はライブエグザムに請求するのが一番筋は良さそうです。

 

 

しかし、被害者はライブエグザムからチケットを購入したわけではありません。

 

 

被害者はローチケというサービスを通じて、株式会社ローソンエンターテイメント(以下、「ローソン」といいます)から購入しています。

 

 

じゃあ、発券したローソンが悪くない!?とも思うのですが、事はもっと複雑でして、多くのオタクはローソンの発行する紙チケットは使わずに、株式会社Tixplusが提供しているチケプラという電子チケットを使って入場しているのです。

 

 

ここでチケプラの利用規約を読んで見ると、チケプラは単に電子チケットを表示するだけのサービスらしいです。そうだとすると、被害者はチケプラに請求することは難しそうです。

 

 

ちなみに、弥月がチケプラに登録したのは遥か昔のことですが、今回初めてまともに利用規約を読みました。

 

 

さて、チケプラを悪者にできないとすると、ローソンはどうでしょうか。

 

 

ローソンとチケット発行を委託する会社との間の利用規約を読んでみました。

 

 

すると、チケットの販売や発券はローソンが行うことになっていることが分かりました。券面に記載された座席について誰が決定するのか、そこに席がなかった場合の責任については利用規約に記載がありません。

 

 

しかし、存在しない席を記載したチケットを販売したのはローソンだということになります。

 

 

ネットでローソンを糾弾する意見は皆無でしたが、細かく考えていくとローソンに責任追及することも可能ではないかと思う次第です。

 

 

ちなみに、ローソンは紙チケットを発券する一方、チケプラは電子チケットを発行するので、誰と誰の間でどういう契約が成立しているのか気になるところですが、よく分かりませんでした。

 

 

話を戻します。

 

 

ローソンに責任追及する余地があると話しましたが、ローソンが主催者側(ここではとりあえずライブエグザムとします)が座席を指定し、ローソン及びチケプラがそれに唯々諾々と従って発券しただけであれば、ローソンには故意過失がなくなります。

 

 

そうすると被害者はライブエグザムへの請求を考える他ありません。

 

 

しかし、被害者とライブエグザムにはどういう法律関係があるのでしょうか。被害者はライブエグザムからチケットを購入したわけではありません。

 

 

この場合、おそらく紙チケットにしろ、電子チケットにしろ、記名式所持人支払証券という扱いになるんだと思います。

 

 

紙チケットの場合には、ライブエグザムが記名式所持人支払証券の債務者ということが分かるような記載があるのだと思いますが、ここで問題になるのは電子チケットです。

 

 

電子チケットには、ライブエグザムの名前はどこにも出てきません。

 

 

なので、電子チケット利用者がチケットの申込みから入場までにライブエグザムと関係を結ぶことが一切ないのです。

 

 

そうだとすると、ライブエグザムは一方的に電子チケットに明記されたチケット所持している人を入場者と認めようと考えており、お楽が電子チケットを提示し、スタッフがこれに電子スタンプを押した段階で「あなたにはここの席に座って観覧させますよ」という合意ができるという感じなんでしょうか。つまり、電子スタンプの押印時点において、提示者とライブエグザムとの間でライブ観覧契約が成立し、ライブエグザムには提示者に対してチケット記載の座席でライブを観覧させる義務が発生するということなんですかね。

 

 

いつどのタイミングでライブエグザムとオタクとの間で法律関係が生じるのかマジで分かりにくいですが、そういうことにしておきましょう。

 

 

ここまで整理してやっと、被害者はライブエグザムに対して、電子チケット記載の座席に座らせるよう請求する権利が発生し、それができない場合には債務不履行責任として損害賠償請求をすることが可能になります。

 

 

続いて、ライブエグザムだけでなく、Seed&Flowerに対する請求は可能なのでしょうか。

 

 

判例上はSeed&Flowerがライブエグザムを実質的に指揮監督していた場合や、座席消滅の原因がSeed&Flowerの指図に起因するような場合には、Seed&Flowerにも請求できるようですが、Seed&Flowerがどの程度ライブの設営に絡んでいるのかはよく分かりません。

 

 

もっと言えば、前述のとおりライブエグザムは法的に下請けというわけではなく、ライブを主催し、日向坂メンバーに出演オファーをしたという形を取っていたのであれば、そもそもSeed&Flowerに上記責任が発生する余地はないですけどね。まぁ、ライブの企画をするのはSeed&Flowerとかソニーなのでしょうから、実体を見ればライブエグザムは下請けなのですが、そこは実体と法律論が乖離しますね。

 

 

請求の名宛人に関する法律論はそんなところでしょうか。もう少し細かい契約関係が分からないと、明確なことが言えませんね。

 

 

続いて、被害者はどんな請求をすることができるかという問題です。

 

 

真っ先に浮かぶのは債務不履行責任に基づく損害賠償ですが、Seed&Flower又はライブエグザムは当初から被害者に対して返金はすると言ってました。

 

 

しかし、オタクは面倒な連中なので、それで収まるわけがありません。

 

 

「なっちょの卒業セレモニーが見れなかったんだぞ!!! 同じライブは二度とない!!!」

 

 

と切れ散らかします。

 

 

そうなると慰謝料を追加で請求できるかどうかが問題となりますが、まぁまず無理でしょうね。

 

 

なんとなくですが、裁判所で被害者が直接傷つけられた、攻撃を受けたという場合に慰謝料を認める傾向があるように思いますが、こういった事案で慰謝料を認めることはないように思います。

 

 

「ライブ見れなかったの? それは残念だったね。でも、それは抽選に当たらずお金を払わず済んだ人と同じ立場ってことでしょ? 抽選外れた人はみんな慰謝料請求できるの? そんなわけないよね。じゃあ、返金で我慢してよ」

 

 

という思考をする方々です。

 

 

なんなら、「会場内にいて音は聞こえてきたわけでしょ。だったら、ライブを部分的に楽しんだわけじゃん。全額返金とか、虫良すぎない?」とか思う奴がいてもおかしくありません。その場合、解除は認められずに、一部の賠償請求が認められるに留まる可能性すらあります。

 

 

裁判官というのはそういう連中です。

 

 

今回のライブは8月から始まる全12公演の全国ツアーの第11回、第12回公演という扱いなのですが、弥月の友人の裁判官で全12公演中11公演に参戦したちょっとアレなオタクがいるのですが、彼が担当裁判官なら慰謝料を認めるかもしれません。

 

 

ちなみに、彼が唯一確保できなかったチケットがメンバーであるなっちょの卒業セレモニーのある公演で、彼はとても残念がっていたので、卒業セレモニーを観れなかった人の気持ちが痛いほど分かるはずです。

 

 

さて、損害賠償請求の他に、ネットでは景品表示法の優良誤認表示だという人もいました。

 

 

これはラルクのライブで消費者庁が優良誤認表示のチケット販売だとして、措置命令を行ったことがあったからだと思います。

 

 

しかし、ラルクのライブは、座席表にSS席を購入すれば1階アリーナ席、S席を購入すれば1階スタンド席、A席を購入すればバルコニー席か2階スタンド席でコンサートを見られると表示していたにもかかわらず、SS席やS席を購入しても1ランク下の座席に割り当てられることがあり、A席を購入した場合にはバルコニー席での観覧ができない状態だったという事案です。

 

 

他方で、日向坂のライブの場合は座席のランク指定はありません。なので、優良誤認表示が発生する余地がありません。

 

 

こういうことを言うと、表示された座席よりも実際は劣悪な座席だっただろとの反論がありえますが、購入段階で実際のものよりも著しく優良であると示していたわけではないので、難しいでしょうね。

 

 

ちなみに、ライブエグザムは当初返金という対応で乗り切ろうとしておりました。

 

 

しかし、これにオタクが切れて炎上したので、日向坂の運営が乗り出してきて、返金&12月16日、17日にある当日のライブ配信の無償視聴をアナウンスしました。

 

 

個人的には落し所として悪くないと思いますが、未だに切れているオタクがいます。

 

 

面白いのは、被害者ではないオタクも切れているところです。

 

 

明日は我が身だと思っているのか、叩けるところは徹底的に叩きたいのか、真意は分かりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、弥月は12月9日のなっちょの卒業セレモニーのあるライブに当選しており、参戦してきた次第です。

とても感動した。泣いた。

座席移動させられなくて本当に良かった。