10日は「市町合併問題」の学習会に参加 | 城陽発☆くまちゃんのダイエット&読書部屋

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何度も挑戦しては、成功→気を緩めリバウンドの繰り返し。思い切って、ダイエットをブログのタイトルにしちゃいました。おまけで読書部屋も(笑)面白そうな本があれば、コメントくださいね。当面200冊読破が目標!

 10日は午前中、お休みをいただき、午後からは、宇治市職労主催の「市町合併問題」の学習会に参加し、勉強してきました。講師は、京都大学の岡田知弘さん。

合併学習会
 北は北海道から南は九州まで、くまなくまわり現地調査をふまえた研究活動を旺盛にされている先生で、話は超具体的でわかりやすかったです。以下、僕が「なるほど!」と納得した言葉をメモ書きしておきます。



○そもそも地方自治体は、「暮らしの組織」であり、「団体自治」(=自治体の大きさに関係なく、すべて対等平等に扱われるべき)と「住民自治」(=住民こそが自治体運営の担い手であること)が基本であり、分離や分立もふくめて、住民自身が決定するのが本旨。それなのに、現在の合併は、国や府からの強引な手法があまりに目立つ。
 「くらしの組織」としての基礎的自治体の合併は、「恋愛結婚」でなければ問題(蜷川元知事)


○なぜいま、「市町村合併なのか?」。それは、国の財政危機と行政改革。地方交付税交付金を削減し、「多国籍業に選んでもらえるようなまちづくり」すなわち、大都市再生へお金を集中するしくみづくりこそ、自治体合併のねらい。

 「例えば、中小規模の自治体における電子化への取組の遅れとともに、地方自治体毎の煩瑣な許認可等の申請手続きや庁内の縦割り行政等が、効率的・合理的な企業活動の展開を阻害し、事業コストを押し上げ、グローバルな市場競争面での障害となっている」(経済団体連合会『地方行財政改革への新たな取組み』2000年12月19日)
 合併特例債は、総額10兆円。この特需をコンサルやゼネコン、ITビジネスは見過ごすはずがなく、うごめいている。


○合併で「財政危機」から脱出できるのか?
ノーである。合併特例債の乱発によって、合併のモデルといわれた兵庫県篠山市や京丹後市では、財政状況がひどくなっている。しかも、大規模な建設事業を受注するのは、大手ゼネコン。
(たとえば篠山市でみると、旧4町の1998年度の一人当たりの将来財政負担額は、47万6000円だったが、2000年度では、81万1000円へと急増している)
 大事なのは、一時的な数字あわせではなく、地域における「担税力」をいかに育んでいくかということ。増税・高負担により、むしろ地域の企業や住民の担税力が縮小する可能性が大きい。


○合併で地域は「活性化」するか
 これも残念ながら、即イエスとならない。そもそも、総務省は合併のメリットをどう語っているか?

 「より大きな市町村の誕生が、地域の存在感や、『格』の向上と地域のイメージアップにつながり、企業の進出や若者の定着、重要プロジェクトの誘致が期待できます」(総務省HPより)

 ここには、主観のイメージしか述べられていない。従来の大型公共事業+企業誘致型地域開発政策のくり返しで、その失敗は明らか。グローバル化時代においては、多国籍企業は人、モノ、カネが集中する大都市を中心に進出をはかるため、地方への企業誘致は困難が大きい。
 地域経済発展の決定的要素は、「地域内再投資力」の形成である。地域産業の再生産を通して住民生活の営みや地方自治体の税源が保障される。その点で、地域再投資力のなかで大きな役割を果たすのが自治体財政である。合併は、周辺部の自治体領域の地域内再投資力を奪い、地域経済を萎縮させる。これは、昭和の大合併や農協合併で経験づみ。じっさい、京丹後市では、人口減のテンポが合併前の2倍。


○合併で住民生活はよくなるか?
 当初の「負担は低く、サービスは高く」がどこでも逆転しているのが現状だ。財政が苦しい自治体同士が合併すれば(独自施策がなくなり、平準化されるのは当然。


○地域の自律的な持続的発展のために
 大規模自治体化は、住民自治の空洞化や破壊をもたらす。小さな自治体だからこそ、住民一人ひとりが輝く地域を「効率的」につくりうる。「規模の経済」とはまったく逆。
 長野県栄村などの経験では、大型公共事業や企業誘致に頼る従来型の開発政策ではなく、地域内再投資力と地域内産業連関の創出、産業政策と福祉政策、環境政策の結合、そして住民と自治体との「協働」による地域住民主権を確立し効率的な財政運営に成功している。


○したがって、ただすべきは地方経済を衰退させている国の地方自治体や地方財政政策であり、この間の経済構造改革政策である。
 住民にとっては、いかなる範囲の自治体が「自治」の単位としてもっとも相応しいのかを判断できる正確かつ客観的な情報提供と、それを前提にした住民投票等による住民自身の意志決定が大切。そして、各自治体における地域内再投資力形成のとりくみと広域連携の強化。この点で、都道府県の積極的な自立支援策が大事(京都府はまったく逆!長野県や福島県の姿勢に学ぶべき)


 以上は、岡田先生の講演とレジュメを矢口の責任でまとめさせていただいたものです。
 「地域内再投資力の形成」。僕にとって、これがキーワードだと思っています。