しばらくお休みしてしまいました。ごめんなさい、ねえさん。
本ありがとう。読んでみます。今実は、『楽園』も読んでいる途中なんだ。
さて、『エデンの黒い牙』を読みました。
表紙カットと、帯の「読者を美しき狂気へと誘う、幻想文学史上最も危険な傑作」のアオリに惹かれて買ってしまいました。
人狼伝説研究の権威、モンドリック博士は、ゴビ砂漠での発見を発表する直前に突然怪死をとげる。新聞記者ウィル・バービーは、空港で赤毛の美女エープリル・ベルと出会い、心惹かれていくが、彼女が博士の死に関与しているのではないかとの疑惑を抱く。
モンドリック博士が残した砂漠での発見と、謎多いエープリル・ベルを探るうちに、彼は人間とは違う種族の存在と、彼らの指導者である「夜の子」の存在を知ることになる。
アメリカでは、当時これを実話と思った人がけっこういたとかで、カルト教団の聖典にもなったとか。
アメリカ人がどうこうというより、まあ、五十年も前の話ですし、社会状況や流行などもあったのだろうからなんとも言えないですが…。
ずいぶん前の本だから仕方ないのかもしれませんが、良くも悪くもB級ホラーという感じでした。
長い。
なかなか終わらないな…と思いながら読みました。
要するに、きれいな雌狼の尻ばっかり追っかけている阿呆な新聞記者、というふうにしか思えませんでした。ごめんなさい。
注:かなり辛口です。ファンの方がいらしたら、ごめんなさい。思い入れのない方だけ反転してね。
「人狼」がキーワードで、主人公のウィル・バービーもこの一族に連なることが序盤でわかるのですが、ウィルの行動の動機が、常に「エープリル・ベルの清潔な香りに惹かれた」とかなんとかそんなことばかりで、そんなことで友人を片っ端から不幸にしていいのか?と思ってしまいました。一応人間として狼族の血に抵抗しようとするのですが、その意志があまりにも弱い。弱いというよりも、頭が悪い。
それに、バービーは、明らかに自分が犯人なのに、「これは夢だ。精神科に行こう」とか言ってなかなか信じないんです。そのせいで私は「おまえだよ。明らかにおまえだよ」ってストレスを抱きながら読み進めることになりました。ハラハラするというより、ストレスなんです。こういった点で納得がいかないのは、流れた50年という時間のせいなのでしょうか? 単に技法の問題なのでしょうか。
まあ、エンターテインメント性を狙ったものではないし、「人間か亜人間か」という狭間で葛藤する人間を描くのが主眼でもない、と言ってしまえばそれまでなのですが、なんだか物足りなかったのです。(ただ、これはもしかしたら翻訳が上品すぎるせいもあるかもしれません。)
最後に、「夜の子」が誰かというのもちゃんと明らかになるのですが、「あっそ。それでいいんだ……」という感じでした。
原題はDarker Than You Think なのですが、邦題は何か言っているようで何も言っていない訳になっています。
あと、ひとつ笑ってしまったのが、狼の姿のエープリル・ベルがペンを持って字を書くところ。
それも、筆跡を真似て書くんですよ。
無理だろ?
犬の足を見てごらんって。
……というわけで、少なくとも、私にとってはアオリは嘘でした。
もう一回書いておこうっと。
「読者を美しき狂気へと誘う、幻想文学史上最も危険な傑作」
まったく誘われなかったのだけれど、どうしてくれるつもりなのでしょう。
違う意味で狂いそうでしたが。
エデンの黒い牙 (創元推理文庫 F ウ 6-1)/ジャック・ウィリアムスン

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