- シロヤギです。
- 北野勇作さんの『ウニバーサル・スタジオ』を読みました。
ひょんなことで名前を知って以来、なぜか気になる作家さんです。 - ねえさんはあんまり…って言ってたよね。
まあ、私も実は『どーなつ』しか読んでいなかったのですが。- これがとても切なくて、近未来ふうなのにノスタルジックで、とても気に入ってしまいました。
- 実は、表紙の緑色のクマさんに一目ぼれして手に取った、というのは内緒にしておいてください。
今回、『ウニバーサル・スタジオ』を読んでみました。 - なんだかヘンな本だった。
筋らしき筋はないし、主人公らしき主人公もいません。
目次には、
表 裏 外 内
とあるだけ。
一人称だったり三人称だったり、まとまりなく数ページの短い章がぱらぱらと並んでいます。
舞台は近未来の大阪。大阪は「ケロリスト」と呼ばれるカエル人間のせいでほとんど水没してしまっている。
「ウニバーサル・スタジオ大阪」というウニ形のテーマパークがあって、東京ネズミランドと張り合っている。
ウニバーサル・スタジオの中では、スタッフたちが自分に与えられた役割を、死んだり生き返ったりまた死んだりしながら演じている。そうしてシナリオは粛々と進む。世界が終わっても続いていく。
『どーなつ』もそうでしたが、一貫して虚無感がある。
「何かが無い」という漠然とした感覚が長く続くんです。簡単に言うと、寂しさとかノスタルジーとかそういうもの。
いろいろな物がうじゃうじゃわさわさ湧いてくるし、第一大阪なのでうるさいのですが(関西弁で書いてある)、やっぱりどこか寂しいお話なのです。言葉遊びが、豊かな方向でなくて空疎な方向に向かっているのかなぁ。
水の生き物がたくさん出てくるのですが、ラヴクラフトだったら悲鳴を上げそうです。
ケロリストやカエルスーツのくだりは、すっごく面白かった。
取り込まれることと締め出されること。何かに包まれて自分を認識するときには、自分は隠れている。ウニバース=世界の内と外の逆転。「続く」で終わる話。
うまく言えませんが、とにかく不思議な読後感です。
ここからもう一段進んで新しいお話を書いてほしいなぁ、と思わせる本でした。
ハマりそう。
- ウニバーサル・スタジオ (ハヤカワ文庫 JA キ 6-8)/北野 勇作
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関西弁にアレルギーがある方にはお勧めしません。 - 大阪が嫌いな人にもつらいかも(笑)