クロヤギです。
今月買い漁った本のうち、イギリスの推理小説作家サラ・コードウェルのデビュー作、『かくてアドニスは殺された』を読了。
タイトルから推察されるように、ある美青年の死の真相を突き止めるミステリーです。
探偵役は、法律を専門とする大学教授ヒラリー・テイマー。
テイマー教授の教え子のひとりである弁護士のジュリアが、重税に苦しめられた心の痛手を癒そうと、ひとり海外ツアーに参加する。
同僚の弁護士とテイマー教授は、信じられないほどの粗忽者である彼女が海外などに行って無事に帰ってこられるかと心配する。
案の定、殺人事件に巻き込まれるジュリア。
海外ツアーのメンバーである内国税局局員のネッドを殺した容疑が彼女にかかったのだ。
心配する同僚のもとに、事件が起こる前にジュリアが旅先で書いた暢気な手紙が送られてくる。
いくらジュリアが税金のことで内国税局を恨んでいたとはいえ、人殺しなどするだろうか。
教え子を救おうとするテイマー教授は、次々と届くジュリアからの手紙をもとに真相を追求しはじめるが…といったお話。
最近、私は推理小説が好きではないんじゃないかしら、と思い始めています。
推理の過程にあまり興味をもてないのです。
この作品も謎解きの部分が評価を得ているらしいのですが、「ふーん、なるほどね」くらいの感想でした…。
じゃあ面白くなかったのか、というとそうでもないのです。
この作品は、登場人物が妙に可笑しいのです。
テイマー教授の一人称で物語は綴られるのですが、この人がことあるごとに、自分は経験豊かな学者であるとか、知性、魅力、美貌にすぐれているとか、そういうことをほのめかす…どころか断言する。
ジュリアはその粗忽っぷりもすごいのですが、彼女が旅先で美青年をベッドに引きずり込もうとあれやこれや画策する様子を綴った手紙は笑いを誘います。
同僚の弁護士たちもなんだか変。
特にラグワートという見目の良い(らしい)青年は…端々で笑えます。
『かくてアドニスは殺された』は、私の中ではすっかりユーモア小説です。
このテイマー教授を主人公にした作品はあと三作出版されているようなので、それらも古本屋で見つけたら買ってみようかなと思います。
「定価では買わないの?」という声が聞こえてきそうですが、定価では買えないんですよ。一作をのぞいて全て絶版らしいので。
- 女占い師はなぜ死んでゆく/サラ コードウェル

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これが唯一、絶版されていないテイマー教授シリーズの四作目。
著者の遺作だそうです。