私はここ七、八年、世界初の症例を幾つか生んだ。医局にとって論文の宝庫である。世界初と言うこともありこれまでの病院側の解釈には私の人権に抵触するものもままあった。その都度、法廷で争えば一財産だったがメディアが希に取り上げる医療事故の損害賠償請求訴訟においてさほど知られない末路として、そういう挙動に出る方とは後の受け皿がないのである。「このケースは当院の手には負えない」と何処も受け入れを拒んでくるのだ。死にたくなければあまり軽率な言動には出ないことである。このような思念を抱く私を由美子(仮名)はしたたかと言う。他にも類似のメールをしたところ「腹の底では何を企んどるのか分からん」と目を剥かれた。