松山市住宅情報館 館長日記 「不動産のデジタル証券化」

 

 平成15年愛媛県で初めて7棟の建物の証券化に成功した。多額のフィーを支払った。授業料として6,000万円ほど支払った。小説にしたら良いような凄い連鎖が弁証法的唯物論で始まった。結果的にはNBFビル建設に進み、リーマンショックとマルサの査察を経て、現在のタカラレーベンに至る始まりの始まり、無謀な挑戦の嚆矢(こうし)だった。不動産の証券化は借入額の限界から閃いた苦肉の策だった。東京のコンサル会社と投資会社の助言の結果だった。知らぬとは言え、東京を舞台に伊予弁で、恐ろしいことをしたものだ。軽率にも御年52才だった。

 

  振り返ればあの頃は不動産証券化の黎明期だったと思う。三菱UFJ信託銀行がアセットマネージャーになって貰ってSPC(特別目的会社)を設立した。GEキャピタルが大口投資家だった。のちのマルサの査察に起因するSPCの組成だった。利益隠しの目的会社と判断されたからだ。色々あって20年、今や不動産のデジタル証券化の時代に突入しようとしている。

 

 2020年の金融商品取引法の改正で、住宅だけでなくオフィスやホテルの所有権をブロックチエーン(分散型台帳)を使って小口化(10万円以上)にし、安全な(S=セキュリティ)仮想通貨(T=トークン)として投資家に売り出そうと言うものだ。これを不動産のデジタル証券化と言うのだ。ST(セキュリティートークン)への移行はITとAIの合体による賜物だ。

 

  従来のリートでは市場での値動きが大きいのに対して、STでは配当利回りが4%前後で値動きが安定していると言うのだ。ST投資マネーは過去3年間で40倍に拡大していると言う。トークンとは仮想通貨?当君・当君と言って二宮クンじゃあるまいし、仮想は仮想だ。私は仮想の通貨なんて信用しない。金融工学を理解できない者が投資に関わっては危険だと思うからだ。現物が一番だ!私は時代を先取りして来たと思っていたが、今や私はもう時代遅れの人間なのでしょうか。