松山市住宅情報館 館長日記 「インフラの老朽化対策」

 

 愛媛県新居浜市で5月9日市道のカーブミラーが腐食によって倒れ小学生が怪我をした。今後、全てのカーブミラーを点検すると言う。松山市でもロープウェイ街の横断歩道で高校生の事故があった。横断歩道の白線が消えていたのだ。一時停止が叫ばれる昨今、通りかかった勇気あるご婦人が事故処理中の警察官に咬みついた。「ここで事故が起きたのですから、消えた白線を直ぐに引いてください。」警察官は「そんな単純なものではないのですよ。やりたくても順番があるのです。」と反論した。怒ったご婦人は「事故が起きたのですよ。命の方が大事でしょうが!」と言い残して去った。そういえば、ここでは卑怯にも車両の一時停止の取り締まりはやっていない。警察官だって現地の矛盾は分っているのだ。こんな処こそ交通取り締まりが必要であると思う。

 

 松山市では自転車優先レーンと言うことで、車輛道路の左端にブルーの矢印の焼き付け塗装を実施している。全国アチコチで線引きされているが、東京のような広い道路ならソレもありだが、松山市のような狭い道路での優先レーンは逆に危険である。この条例を守ったら歩行者は安全かもしれないが、自転車には危ない。ドライバーはみんな困っている。自転車事故で死人が出たら反省するのが役所だ。事故が起きた後では手遅れだ。数年前、真夏の日影が欲しい時に、「夏秋2回の剪定ルールで、真夏の街路樹の剪定は税金の無駄遣いだ。人も樹木も迷惑だ。」と市役所にクレームを言ったことがある。「樹木が弱るからだ。」と変な回答だった。アレと同じだ。特定業界への予算の消化が優先され、税金の無駄遣いは現在も続いている。

 

 今の日本では戦後つくられたインフラが全て老朽化となっている。道路や橋、給水管・排水管、公共建物など朽廃に向かっている。事故が起こる前に対処しなければならない。予算配分は担当部署の予算獲得合戦だ。予算消化の硬直化とはまさにこのことだ。硬直化の原因はトップにある。トップが責任を取る覚悟で指示命令しなければならない。保守点検・改修には、いくらお金があっても足りない。税金を幾ら上げても間に合わない。全国のインフラの保守管理を考えたら減税どころではないのだ。有権者にへつらう減税論者は勉強不足だと思う。国会議員の税金の無駄遣いは絶対に許されないのは当然だが、目先の現実問題として予算配分のトリアージ(優先順位)を徹底して議論すべきだと感じている。