松山市住宅情報館 館長日記 「山あり谷あり、地獄あり」

 

 

  昨日と今日と同じ暮らし(仕事)をしている者にとっては、人生は退屈なものとなる。我々高齢者はそれを安寧な暮らしと思えばそれも幸福と言える。それでも若者にとっては安寧で済ますことは出来ない。若者は結婚や子供の誕生によって生活スタイルが変わることを余儀なくされるからだ。変化を怖がって若者は結婚をしないのだろうか。歴史的に革命やクーデターは若者が主導している。変化を求めるのが若者の特権なのに、昨今の若者は変化を嫌う。若者は若年寄りになってしまった。

 

 人生には変化(チャレンジ)が付き物だ。サラリーマンなら配置転換や職種変更がある。経験を積み壮年期になれば、責任ある立場になり、職務遂行に当たり上層部や周囲と、仕事対応について対立することがある。平凡な日常の中でも想定外の事態に遭遇することがある。全ての変化を運命として従順に受容するのも良い。又、自分の仕事哲学に照らして反発し、進退を考えるのも良い。

 

 人生は山あり谷あり地獄ありだ。最近、懇意にしていた後輩達の転職相談に関わる機会が多い。役にも立たない歳なのに何かと相談に来る。元部下たちの苦悩の相談を受ける。私の一声はいつも「世の中、何処へ行ってもそう甘いものではないぞ。辞めるのは勿体ないなあ。今の環境で打つ手はないのか。他に選択肢はないのか?」となる。その心は在籍期間の苦労した日々の長さという重み(長年かかって積み上げた信用)をそう簡単に捨てて貰いたくないからだ。

 

 それでも翻意が見えないと判断した時、私は彼らの決断を尊重し、励ますことにしている。それは職場からの逃亡か、野望に向かう嚆矢(こうし)か、その後の結果によって世間から判断される。現代だって戦国時代の下克上があるのだ。敵前逃亡だって熟慮の結果なら悪いことではない。のし上がるか、蹴落とされるか。上司との喧嘩だって選択肢の一つとなる。

 

 何が正しいかやってみなければ分からない。先が読めない時代になってしまった。どんな決断だって私利私欲を越えた本気度で成否は決まる。サラリーマンだって乾坤一擲、勝負の時がある。始めた喧嘩なら中途半端は許されない。どうせやるなら勝ってほしい。是非、成功して貰いたいのだ。だが、どんな決断でも未曽有の苦難を覚悟しなければならない。未知との遭遇、彼らの挑戦は苦悩の日々となる。我々年寄りは後輩たちの七転八倒を羨望の眼で見守っている。