松山市住宅情報館 館長日記 「空家900万戸に思う」

 

 とうとう昨年、日本の空家が900万戸になった。900万戸の内、半分の450万戸が賃貸物件だ。世帯人数は減っても世帯数は増え続け日本の世帯数は5,500万世帯である。建物を複数所有している人が居るので住宅総数は6,500戸と世帯数を超える。よって住宅総数に対する日本全体の平均空室率は7戸に1戸の空き(14%)となっている。ちなみに日本の昨年の人口は1億2,435万人だそうだ。現在の日本では80万人産まれて150万人が死亡している。今後は年間100万人ずつ人口減少が続くと言われている。よって空家はさらに拡大する。

 

 愛媛県の人口もとうとう130万人を切って128万人となった。毎年1万5千人ずつ減少している。人口は減っても世帯数は動かず、ほぼ60万世帯を維持している。核家族化が更に進み2人世帯ということになる。よって愛媛県では「1人1年間の消費を200万円として、年間300億円の経済が縮小している。」ことになる。それは悲しい話だが、毎年毎年300億円ずつ市場規模が縮小し続けるということになるのだ。

 

 気になるのは愛媛県の空家率である。愛媛県は全国ワースト7位である。四国4県いずれもワースト10位内にある。愛媛県は世帯数が60万世帯なのに住宅総数は何故か73万7千戸あるのだ。このうち何と!空家が14万5千戸あるのだ。愛媛県の空家率が20%になったと言うのだ。現実問題として5戸に1戸が空家ということだ。

 

 自社物件について、地域NO1のハイスペック・ハイグレード・高額物件を自負していたが建物だって老化する。寄る年波には勝てない。昨年、自社所有物件の入居率が80%を切って70%台になった。愛媛県では平均的数字だが、大規模修繕やリホームが不可欠な家主業にとっては大変な試練である。需要に対して空室が多すぎるということだ。

 

 弱肉強食の市場原理の中で、みんなが仲良く生き残ることは出来ないのだ。柔道の試合と同じで優勝劣敗、民間企業は勝ち残るか退場するかどちらかになる。今回、自社物件について、大金を投じて改修し、家賃を下げて、ピンチを切り抜けたが、気が休まることの無いオーナー業であることには違い無い。