柔道では、「小よく大を制す」とよく言われます。

そもそも柔道は嘉納治五郎師範が小柄な体格で体の大きな相手に勝つための技を整備したものなので、体格の小さい者でも大きな相手に勝つことができるとされています。

しかし、実際はどうかというと、これがなかなか難しい。

体格の大きな相手、感覚的に10kg以上体重差があったり、身長差が極端にあるような場合は、やはり大きな相手の方が圧倒的に有利だと思います。

しかーし、だからこそ「小よく大を制す」を実現したいと思いませんか?

うちの子は小柄であったので、大きな相手に勝つための方法をいろいろと考えました。

今日は当時考えたことを思い出しながら書いてみることにします。

 

まず、よく言われるのは、「大きな相手は足技で転がせ!」ということです。

これは実際その通りで、うちの下の子は体重差がかなりある大きな相手を小内刈で何度も投げたことがあります。

体重が重かったり身長の高い相手は自分の力だけで投げようとしてガップリ組み合うと、はじき返されて見事に投げ飛ばされます。

ですので、相手の体重をうまく使って足技で相手が自ら倒れるようにするのはとても有効です。

上述の小内刈の他にも大内刈や小外刈、支釣込足や足払なども有効ですが、もっと相手を豪快に投げる方法はないか。。。

いろいろ考えてたどり着いたのは「内股」でした。

 

ある程度までの体格差なら、背負投も有効ですが、体重が倍以上とか100kg以上とかになると背負投はまずかかりません。

重すぎて担ぐことができなくなるからです。

股下に入る低い背負投なら可能性がなくもないですが、かなり厳しいのは間違いないでしょう。

また小学生では両ひざをついてしまって指導になる恐れもあります。

なお腰技も同様で、自分よりも極端に大きな相手を腰にのせることはかなり厳しいと思います。

 

そこで内股です。

この場合の内股は腰に乗せる一般に言う「高内股」ではなく、足をチョイと引っ掛けるだけの「小内股」です。

大きな相手であっても、足のサイズは普通は人並です。体が大きいから足のサイズが40cmもあるとかそんなに大きい人はまずいません。

小学生なら25cm前後でしょう。

なので、足をチョイと引っ掛けて回転してあげると比較的簡単にバランスを崩して自分の体重で勝手に倒れてくれます。

重要なのは足をかける前の体さばきで、回転による遠心力をきかせながら遠間から一気に相手の足を跳ね上げ、その後はケンケンしながらさらに回転していくと、相手が自分から倒れてくれます。

うちの子がまだ30kgそこそこしか体重がなかった時に、3倍の90kgくらいある相手にこの内股で勝ったことがあります。

小さな相手が内股をかけてくるというのが意外であり、うまくかけることができれば大きな相手でも投げることができます。

 

内股は一般的には身長が高くて手足の長い選手が得意とする技です。

しかし、技の施し方によっては小さな選手が大きな相手を投げるのに使うこともできると考えます。

小よく大を制する方法を考えてみることは、柔道の本質の一つに向かって思考を進めることだと思います。

小学生の試合などでは、小さな選手が大きな相手を投げると大変盛り上がります。

体格が大きい方が圧倒的に有利。

だからこそ、それを覆す。

実現が困難な目標に向かって努力をする楽しさを多くの人に味わってほしいと思います。

 

※体重の重い選手は巻き込んでくることが多いので、ケガには十分ご注意ください。