今年の3月に全柔連のHPにて少年大会試合審判規程の見直しについての周知がありました。
少し時間がったっていて今更感もありますが、この見直しで小中学生の片膝着きの技が禁止になったことについて少し書いてみます。
賛否両論あるとは思いますが、私は片膝着きの技が禁止になったことには賛成です。
理由は以下の3点です。
1.ケガの防止
2.基本的な技の習得促進
3.勝利至上主義に関しての警鐘
1.のケガ防止は、従来は低い背負投などをかけた場合に技を掛けられた方が顔面や頭頂部から畳に叩き落されることがよく見られました。
そうした技を掛けられて、技を掛けられた方が担架で運ばれて行くのも見たことがあります。
小中学生ではまだ体が出来上がっていないので、こうした状況が重篤なケガにつながることがあり得ます。
低い技をしないようにすればこうした状況になりにくくなりますので、ケガ防止の意味ではとても良いと思います。
2.の基本的な技の習得促進ですが、背負投であれば本来の高い背負投を習得する方が基本であり、優先度は高いと私は考えます。
低い背負投は自分の体重を相手を引き落とす崩しに利用したもので、応用にあたると私は考えます。
小中学生のうちはまず基本の習得を優先したほうが良いと思いますので、この点でもよいのではないかと思います。
3.の勝利至上主義に関しての警鐘ですが、かかる気配のまったくないべちゃべちゃとつぶれる低い背負投を連発すると、小学生の間は判定で勝ててしまいます。
私はかねてからこれが非常に良くないと考えてきました。
小学生のうちにこの方法で勝ち続けると「自分は強い」と勘違いする子が出てきます。
それで、中学生以降になるとこの方法では勝てないという壁にぶち当たります。
本来の技術を習得せずに安易にいま勝てる方法を選択してしまうと、あとで必ず苦労することになります。
こうしたことを防ぐ意味でも、片膝着きの技が禁止されたことはとても良いことだと思います。
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以上の通りですが、反対意見についてもわかる部分はあります。
「小柄な子が大きな相手に立ち向かうのに、そのための武器を取り上げられてしまう」
といった声が多いのではないでしょうか。
実際問題として、体重差が何倍もあるような子を高い背負投で投げることはかなり難しいです。
それは、重さを支えきれなくてつぶれてしまうためです。
それで、片膝着きの技で相手を引き下げて巻くように投げる。
そうやって勝ってきた子はたくさんいます。
しかし、よく考えてほしいのです。
技を掛けた子は膝などをケガしてはいないでしょうか。
投げられた子はケガをしていないでしょうか。
そして、中学生以降体格がしっかりしてきた子には片膝着きの背負投がかからなくなります。
それで、小学生時代に勝っていた子が勝てなくなって、その結果面白くなくなって柔道をやめてしまう。
このようにして柔道を辞めてしまった子を私はやはり何人も知っています。
今回の変更で背負投を得意とする小柄な子は不利な状況になり、小柄な子の低い技が苦手な大柄な子が有利になる。
そうした見方もあるかもしれません。
しかし、私はいま楽に勝てる方法は本来の上達から遠回りをする方法だと考えます。
今勝つことは重要ではなく、もっと大きな視点で子供の成長・上達を見守る。
そのように考えるべきではないでしょうか。
多くの子供たちがしっかりと将来を見据えて、柔道の上達に励んでいってくれたらと思います。
指導者の先生方や保護者にも、そうした考え方で子供たちを教え導いていっていただけたらよいかなと思います。