ずいぶん昔のことですが、うちの下の子の同級生のことで思い出したことがあったので、今日はそのことを書きます。

 

まだうちの下の子が小学一年生の時、柔道の練習の帰りだったので時間は夜の10時近くです。

帰宅途中の道を小さな男の子が雨が降っているのに傘もささずに一人で歩いてきました。

すると、下の子が、「あの子は同じクラスの子だよ」と言いました。

そこで、その子に声をかけてこんな時間に一人でどこに行くのかと聞くと、「おかあさんのところに行く」と言いました。

おかあさんはお仕事なの?とさらに聞くと、居酒屋にいるとのこと。

あとで知ったのですが、この子の両親は離婚していて、おかあさんとこの子で暮らしているとのことでした。

その時はそのような事情は知らなかったのですが、雨も降っている上そんな時間に小さな子が一人でいるのは危ないと思い、道を引き返してその居酒屋まで送っていってあげました。

その後も、夜遅い時間に一人で公園にいたりするところを何度も見かけたので、その度に声をかけて少し話したりするようになりました。

 

この子は低学年のころから問題児とされていて、友達に暴力を振るったり、先生に口ごたえしたり、授業中に騒いだり、イライラするとイスや机などを投げたり、勝手に教室を出ていってしまったりしていました。

当然クラスの他の子たちの保護者からクレームもたくさん出ていましたが、私と話すときはなぜかとても素直でした。

 

小学三年生の時に学校公開で授業を見に行った時、その子は評判通りに様々な問題行動をしていました。

騒ぎに騒いで授業妨害をして、注意されると悪態をついて教室を出ていって。

なぜそんなになってしまうのだろうと思っていました。

 

そうこうするうちに、学校側から保護者に見守りの協力要請がきました。

その頃には、その子を中心にその子に同調して騒ぎ立てる子が多数でてきてしまい、そうした状況に担任の先生が対応できなくなっていました。この時点で補助の先生と時間がある時には校長先生や副校長先生もサポートして先生が教室内に常に3~5人程いる状態でも対処がうまくできておらず、完全に学級崩壊の状態でした。

そこで、私も可能な範囲で見守りに行きました。

 

ある日、その子は比較的落ち着いていて、一応自分の席に座っていました。

その時の授業は理科だったのですが、先生の説明にその子がそんなのわかんねーしおもしろくないみたいなことを言ったので、つい「そんなこともないよ、これって不思議じゃない?」と話しかけてみました。

先生の授業は申し訳ないですが横において、その子が興味を示したのでさらにこういうのってどうだろう?と続けました。

すると、スイッチが入ったようで、いろいろと発言してくれました。

その時間はそのままその子の興味の向くままにいろいろ話をさせて、それを聞いて同調するようにしました。

 

その後もその子の問題行動は激しくなる一方でしたが、私はそれはこの子からのSOSだと考えていました。

夜遅くに子どもを一人で家において飲みに出かけてしまう母親。

他の多くの子とは違って父親がいないこと。

兄弟もおらず、一人でいる時間が長いこと。

家はお世辞にも裕福とはいえない環境(ランドセルはボロボロで、いつもヨレヨレの服を着ていました)。

多感で親の愛情が一番必要な時期に、彼は必要なものをほとんど与えられていない。

私は彼の良いところをできるだけ見つけて、極力認めてあげるようにしました。

相変わらず態度は悪かったのですが、私には必ずいつもきちんと挨拶をしてくれました。

遠くからでも手を振ってきてくれたのを、今も思い出します。

 

そうしたことを数年続けて、彼は次第に落ち着いていきました。

中学に入り、髪の毛が黄緑やピンクといった蛍光色で鮮やかになったりいろいろしていましたが、それでも私と会ったときは笑顔で挨拶をしてくれました。

 

高校以後はなかなか会う機会も少なくなったのですが、先日久しぶりに会うと、大学にはいかずに飲食店で働いているとのことでした。いつか自分の店を出すんだと笑顔で言っていました。

 

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我々大人は子どもをこうあるべきだと型にはめがちです。

この子は悪いことをするから悪い子だ。

髪の毛の色を染めたりするのは悪いことだ。

本当にそうでしょうか。

子どもはただ認めてほしいだけではないかと私は思います。

自分が自分らしくあることを認めてもらいたい。

これは子どもだけではなく、大人もそうだと思います。

多くの人が主観的な行動をします。自分の基準に適合すればよいことで、適合しなければ悪いこと。

そうではなく、相手の立場に立って、相手の立場で考える。

人間関係はこれが重要だと私は思います。

みんながみんなこうした考え方ができれば、争いごとなどはまず発生しないと思います。

うちの子ども達には、柔道はこうした考え方ができる人を育成するために行うのだよとよく話しました。

そのおかげか、うちの下の子は多くの子から嫌がられていた上記の子と小学一年生からずっと友達で、もうすぐ成人になる現在も連絡を取りあっています。お互いを名前で呼び合う仲です。

うちの下の子は柔道がまあまあ強かったので彼もそういったことを認めていたということもあったのかもしれませんが、結果としてうちの下の子が彼の友達でい続けたことは本当によかったと心から思っています。

 

問題行動をする子はなんらかの問題の影響を受けている子が多いと思います。

大人はその原因をしっかりととらえて受け止めて、そして進むべき方向を少し示してあげれるようにするとよいのではないかと思います。

やることは簡単です。

認めてあげること。

それだけです。

 

彼がいつかお店を出したら、お祝いを持って駆けつけようと思います。