先日とある試合を観戦しましたが、片襟で組む選手が何人もいました。

以前は片襟は6秒以内まででそれ以上片襟で組み続けると「指導」になっていましたが、2025年のルール改正で「標準的ではない組手」が事実上許容されることになったため、片襟で組む選手がかなり増えました。

 

「2025-2028 国際柔道連盟試合審判規程の変更点について(20250124)」からの「標準的ではない組手」に関する規定

・標準的な組手(釣手は襟、引手は袖を持つ)の場合、攻撃をするまでに30 秒が与えられる

・標準的ではない組手(クロスグリップ等)はポジティブな状態であれば継続とする

・標準的ではない組手でも、従来より長めにみること

 

これをわかりやすく言い換えると、

 

①普通に襟と袖を持った場合は30秒以内に攻めないと指導

②標準的ではない組手=クロスグリップ(自分の引手側の相手の肩口から背中または帯を持つ)、片襟、片袖などはポジティブ=攻める動きを見せていれば、制限なく継続可能

③標準的ではない組手は、攻める姿勢ではなくても従来のようにクロスグリップ5秒、片襟/片袖6秒では指導にせず、長めに様子を見る

 

ということになります。

これが基本的なルールの解釈なのですが、では実戦ではどうかというと、最初から最後まで片襟でも、そして片襟のまま防御をしても指導は入りません。

格闘技としての自由度は上がっていると思いますが、片襟だけを使い続けることは個人的にはあまり良くないと思っています。

理由は以下の通りです。

 

【片襟があまりよくないと考える理由】

1.攻撃に使用できる技がかなり限定される(背負投、大外刈あたり)

2.連絡変化のバリエーションが少なくなる

3.スタミナを消耗する

4.防御力が低下する

 

最近見た試合では、片襟で組んだ選手はほとんどが背負投(体落風味のものも含む)をかけていました。

それで、その背負投が不発の場合や背負投のフェイントとして大外刈をかける。

ほとんどがこのワンパターンのみです。

つまり、片襟で組むと相手に『こいつは背負投か大外刈をかけてくるな』と予測させてしまうことになるわけです。

もちろん組際などで速攻としてやってみるような場合なら良いのですが、ガッチリ片襟で組んでしまってからでは相手に予測されてしまうため技が決まらないことが多くなると思います。

そして、片襟はパワー系の組手です。

力を使って思い切り引こうとするので、スタミナの消耗度が高くなってしまいます。

防御に関しても、両手で突っ張ると対処方法を知らない相手には強力な防御ができますが、反対側(右相四つなら自分の左側)に少しでもズレられてしまうとかんたんに懐に入られてしまい、内股や大内刈などで投げられやすくなってしまいます。

一言でいうと片襟は「諸刃の剣」であり、攻撃力を上げる代わりに防御力を低下させ、しかも使いどころが限定されるということです。

 

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奥襟などもそうですが、「その組み方をしたら強い!」というのはただの妄想でしかありません。

全体の戦略の中で、「こういう攻め方をしたいから、その組手を使う」というロジカルな考え方をすべきと思います。

まあ、うちの子も中学生になったころに背負投の選手なのに大喜びで奥襟を持ったりしていたこともあったので、やってみたいのであればよいのですが、少なくとも試合の最初から最後まで片襟なのはちょっとどうなのだろうかと思います。

実際、見た限りでは、片襟主体の選手はほとんどが負けてしまっていました。

 

「こうすれば強い!勝てる!!」

みたいな魔法のような方法はありません。

よく考え、よく試し、そうして自分の柔道を練り上げる。

上達に近道無しです。

 

なぜその組み方をするのか、そして上達とは何か。

多くの人に考えていただければと思います。