★ 語りは、話す人と聴く人のキャッチボール ★
知人が開いたグループホームに語りボランティアに行きました。
グループホーム(認知症対応型共同生活住宅)入所の方と通所デイケアの方合わせて8人でした。
用意したプログラムは、上記でした。
「語りは、聴く人に合わせた球を投げなければいけません」と以前教わりましたが、その通りでした。
* オーバーな反応してゲラゲラ笑う人。→ 顔見知りの訪問者が来て嬉しい。
* ずっと頭を垂れ、顔をしかめている人。→ 聞いていないわけではない。
* 歌詞カードを読むことも手に持つことも出来ない人。→ 大きな字で紙に書いたほうが良い。
* 耳から入る言葉のみだと、やはり厳しいかな?と思いました。
で、『かしこいお医者のやせくすり』は、負担が大きいだろうとカットしました。
私がボランティアを受ける側だったら・・と、いろいろ勉強させていただきました。
高齢者といえば、「こてこての方言で語る昔話」「童謡・唱歌」と決めつけがちですが、昨今は様々な人生を送って来られたり、高学歴の方も増え、対応は一概に決められませんね。
一緒におやつをいただき、(また来てね)と通所の知人女性にハグされて帰宅。
そこへ、ケアマネさんの訪問。
夫は、周囲に理解されにくい障害がありますが、一見自立度が高く見えるので、「次回の更新は、介護度が付かず、地域包括支援センターによる支援になるかもしれない」と言われました。
低レベル安定なので、介護度付かないのは仕方ないけど、優しいケアマネさんとお別れは悲しいな~。
人生の最後を何処でどう過ごすか、悩ましい問題です。
★ 『かしこいお医者のやせぐすり』 ★ タンザニアの昔話
ある処に太った女の人がいました。
それも、ちょっとやそっとの太り方ではなくて、歩くのもやっとという有様でした。
女の人は、どうにかして痩せたいと思って、よたよたとお医者のところへ行きました。
「先生、私はどんどん太るばかりで、今にも破裂しそうです。ぜひぜひ痩せる薬をください」
女の人は、一生懸命頼みました。
「今日は、診察代だけ払ってお帰りなさい。明日また来てください」
お医者は高いお金を取って、女の人を帰しました。
女の人は、あくる日またお医者のところへ行きました。
お医者は、女の人の頭のてっぺんから足の先まで眺めました。
口を覗き、手と足にちょっと触りました。
それからお医者は重々しく話しだしました。
「奥さん、昨日私は21783冊もの書物を読み、1800万の星を占ってみました。それによると、あなたはあと7日しか命がありません。もうじき死ぬのに、薬も要らないでしょう。お帰りになって、死ぬ時をお待ちなさい」
女の人は、それを聞いてがたがた震えだしました。
帰る途中も帰ってからも、死ぬことばかり考え続けました。
朝から晩まで、あと何日あと何時間生きていられるかと、そればかり考え続けました。
何にも喉を通りません。夜も眠れません。
女の人は、日増しに、いいえ、一時間ごとに痩せていきました。
七日間が過ぎました。
女の人は覚悟を決めると、静かに横になって、死ぬのを待ちました。
けれども一向に死にません。
8日過ぎ、9日過ぎても、やっぱり死ぬ時は来ませんでした。
10日目になると、とうとう女の人は我慢できなくなって、オ医者のところへ駆けつけました。
すっかり痩せた女の人は、らくらくと走ることができました。
「あなたは、なんて下手くそなお医者なんでしょう!あんなにお金を取っておきながら、人を騙したのね。
7日たったら死ぬっておっしゃいましたけど、もう今日は1000日目ですよ。この通りピンピンしているではありませんか!」
女の人は、物凄い勢いで文句を言いました。
お医者は、落ち着き払って聞いていましたが、女の人に聞き返しました。
「チョット伺いますが、あなたは今太っていますか?痩せていますか?」
女の人は答えました。
「痩せましたとも!死ぬのが恐ろしくて、食べ物も喉を通らなかったのですからね」
すると、賢いお医者は言いました。
「そうでしょう。その恐ろしいと思う気持ちが、痩せ薬だったのですよ。これでも、あなたは私を下手くそな医者だと言われるのですか?」
女の人は、気がついて、笑い出しました。
そして、二人は仲良く別れました。
(おしまい)
今日もおいでくださってありがとうござりやした。