オリンピックが終わった。
選手の活躍は素晴らしかった。思うような結果にならなくても、そこに人生をかけ、努力する姿に感動した。
でも、一方で、日本の古い世代の価値観が度々取りざたされた。
森総理発言、電通の「オリンピッグ」事件、それと名古屋市長の金メダル噛み事件。
私が会社勤めをしていた頃は、こういう人たちが普通にゴロゴロといた。会社の中枢に君臨する人たちでもあった。
もちろん、女性に対して敬意をもって接してくれる先輩もいたけれど、私は、日テレに内定するやいなや、そういうオジサンたちを相手に生きていかなければならない洗礼を受けた。
名古屋市長の会話、ここに詳しくありました。
【表敬訪問の詳報】河村市長「旦那はいらないか」「恋愛禁止か」等の質問も ソフト後藤選手は“大人の対応” (fnn.jp)
「かわいいお嬢さん」
「色が黒くてポニーテールで、女でソフトボールやってる連中はかっこがええ」「立派になってもらって、ええ旦那もらって・・・」
「受験勉強なんかどうでもええで、ソフトボールをやりゃあええがね。本当はそうならないかん。びっくりしました。テレビのたくましい雰囲気と、えらいキュートな雰囲気と。本当にでかいし、かっこええわ。ソフトのほかの連中も相当、背がでかいということか、皆」
「ええですね、ワイルドさが。な?素晴らしい。元気な女の子は最高だわ。女の子と言えんか。アップに耐えられるかな」
おどろきました。
相手は、金メダリストです。これらの言葉の意味が、こういうオジサン慣れしていたはずの私でも全くわからない。
張本勲さんも、入江選手のボクシング金メダルに話題で、「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね」
「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って。こんな競技、好きな人がいるんだ」と発言したとか。
何でしょうか。この人たちは。
この人たちの活躍していた時代は、80年代。男女雇用機会均等法が86年だったから、あからさまな女性差別があった時代。女はお茶くみ、3年つとめてさっさと結婚退職して当たり前。嫁入りして、旦那の世話をして、子どもを産み育て、旦那の親の介護を引き受けて当たり前。男にかわいがってもらえる女になることが女性の幸せだと思わされてきた――。
Metooを公言して以来、社会が狂っていたことに気づくようになった。
私は、この社会に生きづらさを感じ、何度も鬱、適応障害となり、時々薬が必要な状態になっていた。これは、性暴力被害による後遺症である面も確かにある。でも、それだけではなかった。この社会が歪なのだもの、適応できないのは当たり前なのじゃないか。むしろ、純粋で、感受性が強い女性は、鬱にもなるでしょ。この社会に抗うことをせず、適応しようと無駄な努力をしてきた自分が恥ずかしい。どうせ努力をするのなら、私もスポーツに打ち込みたかったなあ。
人権感覚がアップデートされていない50代以降の高齢者を社会の表に立たせるのはやめさせませんか。
それは、自分の首を絞めるに等しいことですが。
オリンピックが終わり、キラキラした選手の汗と涙の感動の裏側、
淀んだ差別的思想のオジサンが見え隠れして、気持ちがどんよりとしてきます。
閉会式も、なんだかなあ。演出したの誰でしたっけ。クリエーター一人一人は素晴らしいのだけど、もっとやりようがあったのでは。
甲子園の山崎育三郎さんの歌声が一瞬にして、閉会式を凌駕しました。若い世代に希望を託した!