私の近年最も注目する人は稲田朋美議員。

超保守派政治家といわれていながら、目線がマイノリティや女性差別に極めて寄り添っているのである。

こんな発言して大丈夫?と思えるほどなのである。

 

稲田さんは変節したのか。

 

「防衛大臣としての1年間と辞任により、人生最大の挫折を経験し、レールからはみ出た人の気持ちが突き刺さるようになった。

共感を通り越して、もはや苦しんでいる人は私自身なのだ

 

絶望と疎外感と不信、そんな感情を経験した稲田さんは、保守の責任において、誰も取り残さない社会を本気で目指そうとしている。

変節というよりも、アップデート。深化。

 

以下、メモ。

・未婚のひとり親も寡婦控除の対象に

離婚したひとり親や配偶者が亡くなったひとり親に適用される税の優遇策「寡婦控除」が未婚のひとり親には適用されなかった。その理由は、「未婚で子どもを産むような女性はふしだらかキャリアウーマン」という差別的な見方があったからだという。

 

・わきまえない女でありたい。なぜなら、女性も少々空気読めないと思われても、臆せず意見をいうべきだから

 

・「私たちの社会に似た国家の代表を、私たちが持たなければ私たちは何かを失う」(マクロン大統領2017)

10%しか女性議員がいないということは、日本社会に似た国の代表を持っていないということ、日本の民主主義が歪んでいるということ、日本の活力を削ぎ、社会に閉塞感をもたらしている大きな要因

スタートラインに立てない女性をスタートラインに立たせることは逆差別にあたらない クオータ制導入で30%を目指す

憲法14条に文言追加提案 「国は、現にある男女の不平等を除去することを通じて、その実質的な平等の実現に努めなければならない」

 

女性活躍に右も左もない

 

・「婚前氏続称制度」の提案

選択夫婦別氏とは違う。夫婦の氏は一つ選ぶ。ファミリーネームは残る。子どもの氏は夫婦の氏。戸籍に婚前氏を称することを明確に併記する、など。これは家族か個人かの対立ではなく、家族を大事にしながらも個人がより幸福を感じて生きるにはどうすればいいかという問題。

 

・コロナ禍の世帯30万円支給➡全国民10万円に 「世帯主」に給付という発想は女性からは理解できない。別居している家庭もあれば、DVで逃げている配偶者もいれば、家庭内別居の夫婦もいるだろう

 

・小学校休業等対応助成金・支援金 企業が申請しない限り、利用できない。非正規で働く親はこの制度の存在を知らないし、救済されず。飛躍の会で提言をまとめ、総理に要望した

 

・LGBT理解増進法 今国会見送りへ 三役預かり

何故、この法案が自民党の中で批判されたのか。

  ①「差別は許されないものであるという認識のもと」の文言➡「性的少数者に対する不当な差別や偏見はあってはならない」との政府答弁を法的に表現したにすぎない

  ②「性同一性」を「性自認」に修正した 

自分が主張すれば女ということだから、その時だけ女が女湯や女子トイレにはいってくるとの批判➡それは犯罪であり、それとこの法律は関係がない。そのような危惧を表明すること自体、トランス女性を傷つけている

自由で民主的で多様性を認める国だということを世界に発信するために、今傷ついている人々に希望を与えるために、日本にどうしても必要な法律

 

・社会の現実を直視し、自民党も変わるべきところは変わるべき

 

第1部の生い立ち編では、稲田さんの祖母、母、家族のこと、「右派」と呼ばれるきっかけとなる南京大虐殺を研究した李秀英さん弁護のこと、南京大虐殺の「百人斬り」報道により処刑された名誉棄損訴訟のことも書かれている。私は、南京大虐殺があったかなかったかなどについて、自分で研究したり確信をもつような体験をしていないので、全くわからない。稲田さんは、弁護を引き受ける過程で、様々な書物にあたり、人の話を聞いてこられた。何の根拠もなく、イデオロギーでモノを言っているのではないことは確かだ。

『百人斬り裁判から南京へ』(稲田朋美著 文芸新書)を読んでみたくなった。

『南京大虐殺』(鈴木明著) 『「南京大虐殺」への大疑問』(松村俊夫著)も、合わせて読みたい。

 

稲田さんがかつて発信してきた内容と、近年とでは異なるようにみえる部分もあるのかもしれない。でも、社会は日々動いている。人権課題も意識も、この20年で大きく変化した。変わって当然な気がする。性暴力被害者の声をきいて、すぐに行動に移した稲田さんを目の当たりにした。LGBTの人の声をきいて、賛同する人が少ない自民党で先頭になって動いてこられたことも知っている。保守だから、その問題に関心持つのはおかしい?そんなはずはない。稲田さんの問題意識は、いつの時代も人権なのだと私は理解した。「わきまえない女でありたい」とTwitterでつぶやきながら、実はちゃんとわきまえることを心得ているところがすごい。引用していたのはルースギンズバーグの言葉。

「大切なことのために闘いなさい。ただし、周囲の人が協力してくれるような方法でおやりなさい」

 

大事だなあ~。

 

右とか左とか、タカ派とかハト派とか、そんな枠の中に当てはめるのではなく、自由で公平で、誰もが発展可能性を追求できるように尽力してくれる政治家が私は好きです。