たまには、日本語教師的な独り言。最近テレビを見ていてとても気になるのが言葉の誤用。

 

●注目が集まっています

 
これはアナウンス部の先輩から、間違いだとはっきりと教わったことがある。「注目」自体、目が注がれるわけで、それにプラス集まるとなると、頭痛が痛いになってしまうのだ。それに納得して以来、この言葉を聞くたびに、気持ち悪く感じるのだがNHKも平気で使う。日テレは今どうなっているのかなあ。言葉は生き物だから、次第に変化するのは当たり前ですが・・。
河川敷は「かせんしき」、二人組は「ににんぐみ」、国内外は「くにないがい」と叩き込まれましたが、テレビをみていると、もはや元々の使い方は少数派のようです。
 
●違くて
うわー、これアレルギーです。先日、若手弁護士が使っていて、マジか、と思いました。裁判の中でこれ使うと、絶対なめられます。マイナスです。違い、あるいは違って、と言ってください。
日本語を勉強する外国人にとって、動詞に「て」が続く、通称「て形」が最初の日本語の難関となります。
だから、日本語教師はそこを丁寧に教えます。「て形」の歌、なんていうのもあります。
 かます   って   
 たます
かえます
 のます   んで
あそます
 します
 きます   いて
いそます   いで
はなます   して
ますの直前の文字に注目します。かいます、かって、たちます、たって。その法則を覚えるためにきらきら星のメロディで「いちりって、みびにんで、きいて、ぎいて、しして」とやるのです。では、違います、ます、の前の字は「い」ですね。違いますは、いのかわりに「って」です。「違って」です。日本人は、教わらなくても自然に話せるけれど、外国人は練習しないとおかしなことになるところです。
 
ところが、日本人の方がおかしくなってきたのだ!「違くて」はこの2,3年じゃないかと思うのです。最初、娘がそう話すのをきいて、びっくりした。流行り言葉かと思ったら、どうも本気でそう使うと信じているようで。日本人に、このて形を教えなければならない日が来るのか?それとも違くて、を許容しなければならないだろうか。
 
●させていただきました
多用する人が多いことったら。自分の経歴、仕事を語るときに、いちいち、これを使うとイヤミに聞こえる。
「東京大学を卒業させていただきまして」
単位が足りなくて卒業が危ないところを教授に救ってもらったというなら使い方としてあっている。でも、普通に卒業したんなら、
「東京大学を卒業して」でよいのだ。
あくまでも、これは、誰かに許可を求めた表現だ。私のような愚かな人間でこんな最高な大学を卒業なんてめっそうもないのに教授に特別許可をもらって、なんとか卒業したんですよ。ということになろうか。へりくだりつつも、結果、自慢しているところが気持ち悪い。「大学?一応、東大」一応ってなんだー?みたいないやらしい臭いがさせていただくからも感じるのは私だけ?
 
 
●読まさせる 読めれる
読むを使役にすると「読ませる」が正解。食べさせる、来させる、などというものだから、つられて、「読ませる」となっちゃう。
ついでに、読むを可能形にすると「読める」だけど、走れる、作れる、などというものだから、つられて「読れる」となる。
気持ちわかるが、気持ち悪い。「ら抜き、さ入れ、れ足す」 要注意だ。
 
私はもともと、関西弁。菊は、KIKU、と言っていた。標準語ではKku と発音し、途中のiを発音しない。無声化というのだけど、これにまず苦労させられた。そして、アクセント。辞書がボロボロになるぐらい、ひきまくった。敬語の使い方も、京都人は何でもかんでも~~しはる。ですませる。日本語活用は理屈で覚えて練習したし、アナウンス部でも私はいつも注意されてばかりで、おかげでたくさん正しい言い方を学んだ。
 
だから、今の言葉の誤用が気持ち悪くて仕方がない。ニュースを読む人がー、ええ、あの俳優さんがー、ドラマでそうくるかーといちいちざらっとしてしまう。
「この役をやらさせていただいて」、おいおい、「さ」はいらん。やらせていただいて、でいいのだ。
 
私もおばさんになったものだと思う。
こっそり白状しますと、先日、日本語検定1級受けました。たぶん、落ちてます。思いの外、四字熟語が難しかった。受かるまで、年に1回受けようと思って。日本語面白い。