今日は柏崎市へ。
 
この夏は、相模原殺傷事件、LGBTの学生が自死した件、
など思いをめぐらせては涙ぐんでしまう日々であった。
 
いや、泣いている場合ではない。
言葉にして、人に伝えていくのが私の仕事。
何が、どうなって、こうなっているのか。
 

・弱くある自由へ 自己決定・介護・生死の技術 立岩真也著

・近代日本とマイノリティの〈生ー政治学〉 小畑清剛著

 

今一度、このあたりの本を読み返してみよう。

優生思想といえば、ヒトラーとの関係で語られることが多いのだが、

実は、敗戦後の日本にこそ色濃く出てきた思想で、

障がい者差別のことを考えるうえでとても参考になる。

 

こころみ学園で自閉症はじめ、様々な障害をもった園生と出会い、

当時、悩みを抱えていた私は励まされ、救われ、ラクになった。

その後、デュシャンヌ型筋ジストロフィーに対する着床前診断の取材をした。

ストレッチャーにのって、自発呼吸もできない上くんが、

いつも笑顔で、周りを照らすことができるのは何故だろうかと

あれから何年も考えてきた。

人は何のために生きるのかについて、考えてきた。

それは子供のころから、考えてきた。

私は行動的すぎるときがあり、時々大きくつまづくことがある。

そのたびに、がっくりと落ち込む。大げさに聞こえるだろうけれど、

生きることが難しくて、ここで終わらせることはできないだろうかと

考えを巡らせてしまうことがままある。

 

話を戻す。

着床前診断、というのは、つまり、受精卵を検査して

遺伝病、あるいは染色体異常があるかどうかを調べる、というものだ。

その検査をしたうえで、産むという選択をする女性もいるが、

一般的には、命の選別をするわけで、「優生思想」につながるものだ。

 

「優生思想」は戦前、ヒトラーに利用された思想だけれど、

優生思想は、戦後もなくなることはなく、脈々と一部の間で受け継がれている。

というのは、障がい者はお荷物だと思っている人は少なくないからだ。

曽野綾子さんもその一人であろう。

野田聖子議員が障害のある子どもを持ったことを暗に批判しておられる。

「国の負担において医療を受けさせてもらっているという一抹の申し訳なさ、

感謝がない」と。

 

いやいやいやいやいや。

 

誰でも明日、障害を負う可能性はある。

誰もが齢をとって、いろんな病気になる。

認知症なんて、4人に1人がなるわけだ。

 

障がい者、施設に入っている人は、私の姿、あなたの姿。

自分もそうなるかもしれないわけで、全く、他人事ではない。

障がい者、施設に入っている人が大事にされ、幸せな毎日を送っていたら

それが、私の将来の姿。

安心して、齢をとれる。安心して、病気になれるというもの。

障がい者になっても、楽しく生きていけるというもの。

 

今日の講演では、優生思想を中心に、

小川正子著「らい者がこの世の中から一掃され、祖国浄化が完成したら

どんなに夕日がきれいだろうか・・・・」

などという戦前熱狂的に支持された「小島の春」と相模原の男の発言の類似性と

明日からはじまる24時間テレビに致命的に欠けていることなど、

とても90分では語り切れないけれど、溢れる思いを言葉にしました。

聞いてくださったみなさま、涙してくださったみなさま、ありがとうございました。

 

つづく。

 

滞在時間3時間の柏崎。

酒どころなのに・・・と残念な気持ちが主催者に伝わったようで、

こんな素敵なお土産をいただきました。

うにくらげとともに、いただいています。

うまみが口の中いっぱいに広がります。さすが、素晴らしいお酒です。

今日も、生きていてよかった。

 

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