ヒモ | yabeya

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あれは小学生の時だった。


学校帰りに犬の散歩をしている女の人がいた。


一見普通に散歩しているようで実はその散歩風景はものすごく異質なものだった。



犬の尻から長さ1メートル以上はあろうかと言う「何か」が垂れ下がっているのだ!



その何かは懸命な読者諸君ならお気づきだろうがいわゆる糞である。犬のクソ。


更に不可思議なことにその糞はまっすぐ長いのではなく粒状の物が何個も同じ形でつながっているのだ!



これはウンコ研究所の教授(そんな人いないけど)が見たら泣いて喜ぶ程の貴重なサンプルだと思われる


ほど珍しい形状と長さだった。


その尻にロング粒粒ウンコぶらさげた犬を恥ずかしそうに散歩してるわけだその女の人は。


あまりの衝撃に笑うどころか切なかったもんなんか。



そして数日後、いつものように友達と帰っていると




「白いヒモ」




が落ちていた。



いや、正確には「白いヒモ」に見える物 だ。



一目でそれとわかったわいと、当時現場に居合わせた友達。


知らないのはもう一人の友だけだった。



勤勉な読書諸兄ならご存知だろうが犬の糞というのは日光と風雨に晒され数日たつと白く硬化する。


そう、それは正に数日前の不可思議な犬のクソ。紛れもないウンコである。



すると何もしらない友人はおもむろにその「ヒモ」を掴んだ!!


更にブンブン振り回している!


普通の小学生が道端に落ちているただのヒモを振り回すのは何も珍しい事ではない。


だがそれ彼の手にあるものは犬のクソ。


何も知らずにシッカリ握り締め振り回しているのだ。


わいともう一人は思わず言い放った。


「それ犬のウンコで!!」


すると彼は


「はー?うそつけー。こんな犬のウンコがあるかー」   ブンブンブン(振り回す音)


だがいかんせん犬のウンコである。


それ以上わいももう一人も何も言えなかった。なぜ言えなかったのかは今はわからない。



そしてしばらく無言で振り回した後、彼はそのヒモを遠くに投げた。


それはヒモを投げるのではなく汚い物を手放す様に見えた。



その後わいと友達二人は無言のまま沈黙の下校をした。


なんだかまた切ない思いをした。


犬のウンコのせいで二度も切ない思いを・・・



小学生時代の切ない思い出である・・・・