Ferryどうも。

 

「クライム101」には、オドロきましたよ。最速じゃない(笑)。米国ではこういう作品はやはり苦戦するってことなんか。憶えてないんだけど「クライム」は、Amazon絡んでたんだっけ? そういうので言えば、「ヘイル・メアリー」は、がっつりAmazon製作でしたよ。なのでこれももしかしたら、かなり早めにアマプラにアップされるのかもしれまへんで。

 

 

 

そして彼女たちは」 ('26)

 ジャン=ピエール・ダルデンヌ&

 リュック・ダルデンヌ 製作、脚本、

 監督  ブノワ・デルヴォー 撮影

 マリー=エレーヌ・ドゾ 編集

 バベット・ファベーク、エルサ・

 ホーベン、ジャナイナ・アロワ・

 フォカン、ルシー・ラリュエル、

 サミア・イルミ

 

 『誰も頼る人がおらず、若い母親を

 支援する施設で共同生活を送る5人

 の少女たちが、家族との関係や貧困

 など様々な問題を抱え、母親になる

 ことへの戸惑いや不安に押しつぶさ

 れそうになりながらも、自分の人生

 を見つめ直してそれぞれの未来を選

 び取っていく姿を描いていく』

 (allcinemaサイトより)

 

 現役監督の中でも稀代の映画名手、ベ

 ルギーのダルデンヌ兄弟の新作は、何

 をおいても駆けつけねばなりません。

 何より初めに驚きましたのは、製作会

 社(要はお金出してるとこ?)の多さ

 です。数えましたけど、16社!あり

 ました。なので、本編始まるまで、

 結構かかります(笑)。ダルデンヌ兄

 弟の新作でそういうことになんのか... 

 あるいはテーマ的になにか.... よく

 分かりませんが。

 

 5人(ほぼほぼ実際4人)の、若い(ま

 だ中高生の)、将来をこれから自分で

 決められる権利がある少女たちが、妊

 娠、出産するとなると途端にあらゆる

 道が閉ざされてしまうのは、やっぱど

 う考えても理不尽よなあ。

 で。彼女たちの、先ず何が受難かと言

 えば、(1人を除いて)こどもの父親っ

 ていうのが、不在であったり不明であ

 ったりということ。相手の親が「避妊

 しなかった方が悪いんだから認知しま

 せん」という態度だったり、もう会わ

 ない方がいいとしれっとバックれられ

 たり、あるいは母親の連れからの性的

 虐待の末の子であったり....

 加えてさらに受難なのが、彼女たちの

 多くが、母親との関係に問題を抱えて

 いるということで、こちらの方が根深

 いんですよねえ。当然ですけど、ネグ

 レクトや、暴力的な環境の中で育てば、

 「母になること」=「こどもを棄てる

 こと」と”学んでしまう”んだよね。で

 も本能的にこどものことが可愛いから

 そんなふうには出来ずに、ものすごく

 葛藤して苦しむんです。

 彼女たちが、余りに辛そうで(施設の

 サポートはあるんだけど)、何という

 か、自分がこの世に必要とされてない

 って、思ってしまうだろうなっていう

 瞬間がたくさんあって。いつ彼女たち

 が、我が子を殺めてしまわないか、気

 が気じゃなかったですけど、それでも

 やがて、こどもの幸せと、何より自分

 の幸せを掴み取ろうとしていく姿に、

 やはり感動してしまいました。

 余談ですけど、若い女性が独りで赤子

 を生んで殺めてしまって逮捕される事

 件って、あるじゃないですか。あれ何

 で、女性だけが悪くなるの?(もしか

 したら相手というのが不特定多数とい

 うケースもあるのかもしれないけど)

 男性の方でしょ、罪に問われるべきな

 のはっ!

 まったく本作でも、男って!って話

 さあ。実は本作、ジュリーのパートナ

 ー以外に、ほぼほぼ男性が画面に出て

 きません。整備工場の出入り業者のお

 じさんが一瞬出てくるくらいで、あと

 は施設の人含めて全員女性。この状況

 下では、男は害悪でしかないのだね。

 

 こういうケースに特化した形の専門的

 な施設があることは、素晴らしいと思

 います。少子化対策というのなら、

 政治はこういう現実と向き合って、

 お金をかけるべきだと思います。

 そうすれば、前述したような痛ましい

 事件も防げると思うし。このような施

 設があること自体が、”風紀が乱れる”

 とか言う連中もいそうですけど(いわ

 ゆる「性教育に反対する連中」と恐ら

 くカブるんでしょうね)、論外です。

 

 ただ本作、こういう施設を過度に美化

 したりしてなくて。ひとり母として子

 を育てようとする彼女たちを、まるで

 無理やり母親にしようとする”圧”とし

 ても存在している(”母子の支援”とい

 うよりは”母親の支援”に特化してるっ

 ぽい)ってこともきちんと描いている

 ところが、ダルデンヌ兄弟、やはり凄

 いなと。

 ダルデンヌ兄弟の作品は、上手いドキ

 ュメンタリーよりもはるかにリアルな

 んだよね。ごくごくミニマムな世界を

 描くことで、世界の今の在り様を、2

 時間弱で伝えてしまう。どこまでが演

 出で、どこからが演技なのか全く分か

 らない。カメラの視点や位置、あと編

 集、全てが作用して作り上げられてい

 る、毎度ながらこの度も、至高の作品

 と思いました。 ★★★★

 

   そして彼女たちは - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

 

 

 

 

自然は君に何を語るのか」

 ('26)

 ホン・サンス 製作、脚本、監督、

 撮影、編集、音楽

 ハ・ソングク、クォン・ヘヒョ、カン

 ・ソイ、チョ・ユニ、パク・ミソ

 

 『著名な弁護士を父に持ち、自身は

 詩人としてがんばっている青年ドン

 ファ。ある日、恋人のジュニを家まで

 送り届けたとき、ジュニの父親と鉢合

 わせし、家に招き入れられる。最初は

 和やかな雰囲気で会話が交わされてい

 くも、やがて一家が揃った夕食の席で、

 勧められるままにマッコリを口にして

 いくドンファだったが.... 』

 (allcinemaサイトより)

 

 「月刊ホン・サンス」企画の最終5作

 目ですかね。

 タイトルにある「君」って、誰のこと

 なの?(笑)。随分と大仰な言い回し

 に、ついにやけてしまいますが、こう

 いうユーモア精神というか、諧謔が、

 ホン・サンスの魅力のひとつだったり

 もしますね。

 

 クライマックスの「思いがけないタイ

 ミングでの彼女宅での夕べ」(笑)に

 向かって、登場人物たちの人となりや

 関係性が、100パー会話だけで明らか

 になっていく、脚本力というのか(全

 部役者のアドリブのようにも見えるん

 ですが 笑)、描写力。相変わらず巧い

 ですよなあ。

 あと、ここは気を使わなければいけな

 いところですよぉっていうチュートリ

 アル的なことも、実はさり気なく説明

 されてたりもするんすよねえ(例えば、

 お姉さんがなぜ”出戻っている”のかは

 考えるべき とかね 笑)。

 こういうのも、観客として傍らから見

 る分にはすごく分かりやすいんだけど、

 当事者になってみると、分んないのか

 もなあ(笑)。

 

 さて。本作もまた、いつもの酒席とい

 う名のシュラバですよ。1カットで描

 いてね。毎度思うんですけど、これっ

 て、ほんとに”演技”なんすかね(笑)

 少なくとも通常の作品の演出とは、え

 らい違うものだよねえ(笑)。

 35歳で定職ナシ。詩人。いいじゃない

 すか! 高名な弁護士の息子ってだけ

 で、つくづく大変よ。見た目よりも何

 よりも、先ずプロフィールで語られて

 しまうって、不利で不公平よ(笑)、

 ある意味。「何で父親に援助してもら

 わないの?」なんて、聞く方が失敬で

 すよ。まあ、直接は聞かずに、思って

 るだけの父母も、同罪だけどね(笑)。

 他人のことはほっとく!

 でもこういうときの、クォン・ヘヒョ

 とチョ・ユニ夫婦って、コワいよねえ

 なんか(笑)。

 

 前作「小川のほとりで」で、トラブル

 の元凶となる男子学生役で憶えてます、

 ハ・ソングク。こういう、一言で言っ

 て、「迂闊なヤツ」(笑)、バッチリ

 合ってますよねえ(笑)。どこか信用

 できない感じ、人として(笑)。巧い

 です。

 今回の彼の失敗は、酒席まで居てしま

 ったことに尽きますよね(笑)。第1

 種接近遭遇段階でそこまで達してしま

 ってはダメでしょ。我が息子たちにも

 それは伝えたい(笑)。

 お酒なんて、関係性がそれほどでも

 な場では、害にしかなりません。

 

 ってか本作、「小川のほとりで」と

 メンバー丸被りですよね。キム・ミニ

 がいないだけで。「小川~」の現場で

 ふと思いついてやってみた くらいの

 感じなんでしょうね。もはや孤高の域

 です。ホン・サンス。 ★★★

 

   自然は君に何を語るのか』作品情報 | cinemacafe.net

  

 

そんじゃまたね。

チャオ。