Ferryどうも。

 

「苦虫女」観てない。タナダユキ監督は「ふがいない僕は~」の監督すね。結局でも「ふがいない」しか観てないなあ。蒼井優は山ちゃんと結婚したあたりから俄然好きですよ、ボクは。「70年代は、ゴードン・ウィリスの時代」(少なくとも米国映画界では)と言っても過言ではないよなあ。「ゴッド・ファーザー」と「アニー・ホール」他のウディ作品に、「大統領の陰謀」でしょ。無限役満みたいな感じだもの(笑)。「コール・ガール」はド暗くてアレでしたけど。「ローカル・ヒーロー」は、観たような観てないような...いや観てないね。 麻素材。たしかにぃ。ポリエステルジャケットがもう完全に溢れまくりだし、なんか、嬉々として着てる人の多くが、あまり善良な人に見えないっていうのは気のせい(笑)? 昔、シップスの黒の麻ジャケットは、勤務でも愛用してました。作りがドレスだったんで、全くOKだったよ。環境が変わって着なくなったら途端に虫に食われてお陀仏でしたが。今はジャケットはあんまり着る機会がないので持ってないんですが、ズボンは、夏は麻のやつです。無印のネイビーのと、もう1本がピルグリムサーフってビームス系のとこのやつなんだけど、色は黒なんだけど、織りで柄が入ってんのよ。遠くからだと見えない感じで。これがめちゃめちゃ気に入ってます。やや大き目なサイズ感で、形もテーパードでいいんだよねえ。一見ちょっと”やくざな感じ”もあるんだけど、上は無地Tやキューバシャツ、ポロシャツ、カーディガン、不思議と何でも合うんだよねえ。2年前に出たっきりで、また出してくれないかなあと思ってます。結構くたってきたんで。MB氏が、MUJIの麻セットアップを推してたよね。試着しようと思って行けてませんな。

 

 

 

胸騒ぎ」 ('24)

 原題 SPEAK NO EVIL

 クリスチャン・タフドルップ 脚本、

 監督  マッツ・タフドルップ 脚本

 モルテン・ブリアン、シーゼル・

 シーム・コク、フェジャ・ファン・

 フェット、カリーナ・スムルダース、

 リーヴァ・フルスベウ、マリウス・

 ダムスレフ

 

 『旅先で意気投合したオランダ人夫婦

 に招待され、後日彼らの家に遊びに行

 ったデンマーク人一家が、彼らの行動

 に違和感を抱きながらも何も出来ない

 まま、ひたすら耐え続けた先に待ち受

 ける衝撃の顛末...』(allcinema)

 

 家族で海外旅行したことのある人だっ

 たら誰でも心当たりあるあるな話の取

 っ掛かり作りが非常に巧いと思います。

 ああ、一歩違ったら、こんな展開も

 充分に考えられるかあ やだなあこれ

 ...って、観てる間、そうね、45分

 過ぎたくらいからは、何度も時計確認

 して、ヤなことが起きるに決まってん

 だから早く終わってくれい!って思っ

 てたんすけど、いざ終わってみれば、

 何でここで終わらすねんっ!(怒)

 ってなるっていうね。

 いやはや、これは、やりすぎでしょ。

 誰もここまでは頼んでないって。

 

 原題のSPEAK NO EVILは(ウェイ

 ン・ショーターの曲タイトルにもあっ

 たね)調べると”見ざる言わざる聞か

 ざる”の(自分に都合の悪いことや他

 人の誤りを)”言わざる”の意らしく、

 意訳すれば”口は災いのもと”みたいな

 ことにもなって、だとすればこのタイ

 トル、冗談キツすぎ(苦笑)というか

 です。本作のクライマックス(流れが

 急になりましたよ、あそこから)と言

 っていいかと思う、アーベルのダンス

 への罵詈雑言を諫めた、ビャアンの

 あの態度がそうだとしたら、あれは、

 言うべきなんじゃないの?言わない方

 がいいってことなの? もっと冷静に

 でよかったんでは?っては思いますが。

 

 っていうかさあ、あんな帰結になるん

 だったら、いろいろと疑問が湧いてし

 まうのさ。最終的にアーベルをナニ

 してその〇〇はそのまま放置してたり、

 物的証拠でいっぱいの小屋は開放して

 るし、いくら世間と隔絶した生活をし

 てるからといって、そんなに治安悪い

 んすかねオランダって。大それた犯行

 の割に、いろ~いろと杜撰なんだよな

 あ。今回の餌食の夫婦だって、オラン

 ダ行きを友人たちに相談してるから、

 早晩足がついちゃうよ、きっと。

 本当に欲望を成就したいのなら(結局

 何が動機なのかとかは一切語られない

 から分かんないんだけどさあ)ベジタ

 リアンの人に肉を勧めるような嫌がら

 せをしたりせず用意周到な態度で臨む

 気がすんのよねえ。

 

 あと、いくらモヨオシタからって、あ

 のタイミングで、しかもかなり怪しさ

 マックスの不安定な心理状態になって

 いる状況で、正に対象となるその人ら

 の家で、いたしますかね? だし、

 娘のアウネス、よく知りもしない大人

 が寝てる(しかも全裸で笑)ベッドに

 入っていきますか?さらに横で爆睡し

 ますかね?とか、いろ~いろと疑問が。

 それもこれも、あんな結末だから思う

 こと とも言えて。いろいろ怪しかっ

 たけど、結局は杞憂だったっていう

 オチだったら、ああ、面白かったねえ

 って思えた気がするのに。

 

 同じくオランダが舞台なので、あの

 マジ怖い傑作「ザ・バニシングー消失

 ー」('88)を想起してしまいました

 が、全然違うと思いました。底の無さ

 というか、虚無、凡そ理解し合えなさ

 に戦慄した「バニシング」の悪に比べ

 ると、端的に言ってゲスいというか。

 え?なんでなんで?ってなるだけなの

 よ、こっちは。

 

 医者じゃなくて無職の人だった って

 判ったときのあそこは、ブラックでし

 たね(笑)。あとあの、郷土料理居酒

 屋!あれ激ヤバっしょ(笑)。あそこ

 は、逃げの一択だよ。あ、でも足がな

 いか。

 アウネスが、最後まで全く可愛く描か

 れてないのも、ヤらしいよねえ。ほん

 とは邪魔だっていう夫婦の心情を表わ

 してるってことなんでしょうか。人が

 悪いなあこの辺りも。北欧的。

 

 ”ヤバいと思ったときには即、毅然と

 した態度でNOといい、回避するべし”

 という巷間云われている本作の教訓に

 も、何だかモヤります。だってこいつ

 らは、どう振舞っても、ヤったでしょ。

 もうロックされてたんだと思うよ。

 違うのかなあ。

 性善説を全く閉ざしちゃって、リスク

 回避最優先っていう関わり合いばっか

 りになっていくのは、やっぱイカン

 方向だと思いたいけどなあ。

 ★★1/2

 

   胸騒ぎ : 作品情報 - 映画.com さん

  

 

 

 

死刑台のメロディ」('71)

 ジュリアーノ・モンタルド 原案、

 脚本、監督  ファブリツィオ・

 オノフリ 原案、脚本  ミーノ・

 ローリ 原案  オッタヴィオ・

 ジャンマ 脚本  エンニオ・

 モリコーネ 音楽  ジョーン・

 バエズ 主題歌

 ジャン・マリア・ヴァロンテ、

 リカルド・クッチョーラ、ミロ・

 オーシャ、シリル・キューザック

 

 『1920年。イタリア移民の労働問題が

 叫ばれていたボストン。靴屋のニコラ

 ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・

 ヴァンゼッティは、密告により逮捕

 された。二人は全く身に覚えのない

 強盗殺人犯と仕立てられ、裁判でも

 有罪判決が下されてしまう...

 <アメリカ史の汚点>ザッコ=ヴァン

 ゼッティ事件の映画化作品』(all

 cinemaサイトより)

 

 ”エンニオ・モリコーネ特選”企画で

 上映されてました。

 事件のことは全く存じ上げませんでし

 たが、イタリア移民の受難 でもあり

 ますけど、要旨としては「アカ狩り」

 の話なんすね。「ラディカリスト」っ

 て台詞で自分たちのことを言ってて、

 訳は「アナーキスト」ってなってま

 したね。この辺の区分は難しいとこ

 ろだと思いますが、要は現国家体制

 に対する反逆姿勢なんだろうと。

 詳細に見ていけば恐らくそこに、

 移民国家米国の、出身民族同士の対立

 があるってことなんでしょう(本作で

 言えば、判事や検事の人が何系の人な

 のか?っていう)。

 いづれにしろ、”過激思想”を公言して

 いるがために冤罪で貶められることに

 なってしまった2人の市民の悲劇 と

 いう極めて政治的な事件の映画でした。

 

 当時の世の中に身を置かなければ本当

 には分かりませんが、劇中での余りに

 理不尽な判事、及び検事の、被告たち

 に対する公判での態度(当時の司法長

 官の言動を、王のそれとでもあるかの

 ように過剰に崇めている節があって。

 米国なのに)から、国家体制の社会主

 義化への機運の高まりに対する為政者

 側の脅威、恐怖っていうのは、シャレ

 にならんレベルだったことは隠しよう

 がないです。

 

 検事側の根拠(ほぼほぼ目撃証言のみ)

 が徐々に怪しくなっていって、また

 人権派弁護士たちの尽力、あるいは

 その他市民運動等で、判決まで結局、

 7年もの月日を擁することになるんで

 すが、当然というか、ふたりのうち

 サッコの方が、完全に心が折れちゃう

 んですね。死を受け入れちゃうわけで

 す。それを盾にして国家側は、真犯人

 の目途がほぼついているにも関わらず

 再審を拒み続けます。非常に下らない

 面子への拘り? 謝ればいいじゃない!

 こっちは、真犯人が出てきたからいい

 けど、袴田さんやその他の冤罪事件の

 本当の犯人は、野放しの可能性がある

 のにね。あ、でも本作のふたりは結局

 死刑台に上がらされてしまうんですけ

 どねえ。ヤバいです。

 

 ’71年に作られた作品ということで、

 モリコーネ作曲の主題歌を、ジョーン

 ・バエズが唄うというところが象徴的

 ですが、反体制、反ベトナム戦争ムー

 ブメントがうねっている真っただ中

 なんでしょうね。そういう熱が、最期

 の鬼気迫るヴァンゼッティの叫びに

 宿っている感じがしました。

 ★★★

 

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そんじゃまたね。

チャオ。