Ferryどうも。

 

ぶ厚(熱)い「スリラー40」のお話、ありがとうございます。ってか「スリラー40」って何よ?全く知らんです。off the wallって型破りって意味なんだぁ。なるほどねえ。「スリラー」はねえ、実はわたくし高3の終わりぐらいなのよ。ハマったの。随分遅くて。高校でナンバー2のギタリストだったT君とすごく仲良くなった時期に、彼の影響でって感じだった。プリンスのフリークだったからそいつにとってあんまマイコーと距離無かったんだろうけど、当時さあ、ポッパーズ(バラカン氏)界隈では、あんま触れてなくなかった?マイコーって。なんかほぼ触れずに来てたんだけど、やっぱきっかけは、あのジョン・ランディスのビデオだったのかなあ。ありがたい高校の先輩の卒業おめ講演会のときに、イヤホンで「スリラー」聴いてたのを憶えてます(笑)。でもヒューマンネイチャーとかPYTとかは、当時はあんま...だった気がする。その後オフザを聴いて、マイコーすげえええっ!って感じすかね。 

ゴジラシリーズは、追っかけるまでもいかないね。今観るとキツいのが多いっぽいし。 大貫さんの坂本追悼JWAVE番組、YTで発見、聴いてます。イイっすねえ。教えて頂いてありがとうございます。すごく近くにいたんですねやっぱ。”早飯”の理由があまりに”幼い男子”で、笑いました。「sayonara」とか久しぶりに聴いたけど、すんごく好い曲ね。戦メリもそうですけど、日本の郷愁みたいなところを衝いてくる面が、教授にはあると思います。

 

 

 

関心領域」 ('24)

 THE ZONE OF INTEREST

 ジョナサン・グレイザー 脚本、監督

 マーティン・エイミス 原作

 クリス・オッディ プロダクションデ

 ザイン  ミカ・レヴィ 音楽

 クリスティアン・フリーデル、

 ザンドラ・ヒュラー ラルフ・

 ハーフォース

 

 『悪名高きアウシュヴィッツ収容所と

 壁ひとつ隔てた隣に暮らす一組の家族

 を主人公に、その穏やかで幸せな日常

 を淡々と描きつつ、かすかに漏れ聞こ

 えてくる音や家族の会話などから、

 収容所のおぞましい実態と、そのこと

 に無関心で優雅な暮らしを謳歌してい

 く家族の実像を鮮烈に浮かび上がらせ

 ていく』(allcinemaサイトより)

 

 これはちょっと、すごい作品でしたよ。

 着眼点ですよねえ。逆「シンドラーの

 リスト」というか。でもアイディア

 先行の出オチには全くなっていなく、

 とんでもねえことが映されてるぞこれ

 はっ!ってなってからもずうっと、

 あえて言いますが、面白いのよ!

 

 冒頭、タイトルが出てからして既に

 ふつうではない感が漂うんですが、

 川辺で水遊び&ピクニックを楽しむ

 一家の主人と思しき男の、髪形! 

 続いて翌朝、なんかうなだれた人が

 その一家に、何かを運んできて、奥さ

 んがそれを仕分けてっぞ.. 

 全体には長閑な日常なんだけど、同時

 にそこに感じる、小さくない違和感.

 ..そして徐々に覗えてくる全体像.

 ..この語り口が、すごく巧いです。

 

 物語としては、この一家に”起こるこ

 と”と言えば、奥さんの母親が娘の

 自慢の邸宅に初めて訪ねてくること 

 と、主人が転勤すること くらいなも

 んで、言ってしまえば”何も起こらない

 映画”ともいえるんですが、この日常が

 ”何の上に成り立っているのか”ってこ

 とが、もう! 

 でも間違いなく人類史上であったこと

 なんよねえ。

 

 何よりも先ずねえ、アウシュヴィッツ

 強制収容所長の奥さんを演じたザンド

 ラ・ヒュラーさんが、ものすごくエラ

 いです。よくこの役を引き受けたと思

 います(インティマシーコーディネー

 トが必要なレベルと思う)し、それを

 完璧に演じていると思います。先日の

 「落下の解剖学」でも際立っていまし

 たが、この方のナチュラルな圧(笑)。

 転勤の知らせ(それも旦那の方はなか

 なか言い出せてない笑)に、ほぼ即答

 で「あんたが単身赴任しなさいよ」っ

 てなるところ、あと終盤、単身赴任か

 ら戻れるよって電話のときの異様な素

 っ気なさ(笑)。「母は強し」ってい

 えばそれまでだけど。あとあのお手伝

 いさんに「殺すからな」と凄むとこ、

 チビりそうになりました。

 

 不謹慎なんですけど、”夫婦モノ”とし

 ても観れるのよ、だから。

 ”都会の喧騒を離れて郊外で、プールと

 大きな庭がある家で、穏やかに子育て

 する”ことが、夫婦、とりわけ家事を

 仕切る立場の人が抱く”夢”だ なんて、

 現在でも一般的だもんね。繰り返しに

 なりますが、でもそれ、何の上に在る

 ものなの?ってことなんですよね。

 キリンジの「Drifter」(by高樹詞)か

 ら引用すれば、”素面でいる”ってこと

 なんだと思う。大事なのは。

 でも意外にそれって、難しいことなん

 だよなあってことにも、あらためて気

 づかされる。そんな作品と思いました。

 まとめるのなら。

 

 何もこの夫婦に同情するつもりはない

 んですが、日常として行われている

 異常な事態、駆動システムとしての

 人間の大量虐殺&死体処理 を、対岸

 の火事で何でもないのに、対岸の火事

 くらいに落とし込まないとやってられ

 ない、それを”人間性”と呼んでいいの

 かあれですが、正常化バイアスの極み

 みたいなものというかな。少なくとも

 ”異常者”として描かれてはいないんで

 すよ。旦那は見た目に優しそうだし、

 恐らくSSの中では比較的”まとも”な

 方なことは、本部の会議でも感じられ

 るし。奥さんの方も、母親が、事態の

 異常さに戦慄して夜逃していなくなっ

 たことへの反応からも、かなり”分かっ

 てる”ことは窺えるしね。最後の、旦那

 の嘔吐もね。あそこ、「2001年」ばり

 にぽーーんと時間が飛んで、また戻る

 のが、凄かったなあ!

 バカになるしかやってらんねえじゃん、

 こんなの!っていうのは、感じました。

 わたしは。

 

 ただそれでもよ、これだけ多くの人間

 が関わっている中で、なぜこのような

 ことが組織的に行われたのか?という

 根本のところは、ナゾです。オウム真

 理教のポアの”理論”、理屈ではないし、

 「ホテルルワンダ」のツチ族とフツ族

 ともまた違う気がするし(日頃の鬱憤

 に火が点いたっていうのは似ていても

 ナチのそれには、パッションというよ

 りはもっと冷え冷えとしたものを感じ

 るというか)。焼却ー冷却ー回収みた

 いな効率化システム、考えます?...

 

 これ以上ないくらい重い事実が描かれ

 てるのに、監督の前作「アンダー・ザ

 ・スキン 種の捕食」('13)もそうだ

 ったけど、細部に様々な描き込みがあ

 るってこともあって、あと最後まで、

 ”直接の描写”がないってことがいちば

 ん大きい気もします。もう一回観てみ

 たいのよ。ちょっと不思議なんだけど。

 オカしいのかなあオレ。

 でもね。常に、”素面でいること”に

 立ち返るべしという意味で、わたくし

 にとって、重要な作品になる気がする

 んです。 ★★★★1/2

 

  関心領域 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画 さん

   

 

そんじゃまたね。

チャオ。