Ferryどうも。

 

連休も終わりますな。ほんの1ヶ月ぶりですが学生生活をスタートさせた倅が帰還してくれて、友たちと旧交を温めたりして楽しんでいましたが、これからメシ食って帰りのバス出発所まで送っていきます。早えなあ。 仙台から北上すること4時間半。着くのは夜中の11時を回るとのこと。無事を祈ります。 なんかちょっと、逞しい感じになってましたね。

 

 

異人たち」 ('24)

 アンドリュー・ヘイ 脚本、監督

 山田太一 原作

 アンドリュー・スコット、ポール・

 メスカル、ジェイミー・ベル、

 クレア・フォイ

 

 映画「異人たちとの夏」は、山形の

 フォーラムで観ましたねえ。でもその

 一回きりだと思う。原作も当時、読ん

 だような気がします。

 

 オレ、アンドリュー・ヘイ監督の

 「さざなみ」(’15)がすごい好きな

 作品で、’16年のマイベストの4位(と

 いうかその年は凄くて、「SALLY」

 (ハドソン川の奇跡)、「孤高の遠吠

 え」「淵に立つ」と並んで1位なわけ

 ですが)なんです。ごくごく細かな

 心のひだひだを、丁寧に丁寧に且つ

 冷徹に描いてて。

 その点はもちろん、本作にもあって、

 前半なんて特に、物語としては動い

 ているのに、台詞が殆どなく、演者

 の表情や、映っているものだけで

 充分に語られていく、優れた手腕だ

 と思います。

 

 本作は、山田太一『異人たちとの夏』

 (これも明らかに”怪談KWAIDAN”が

 基になっているのでしょうけど)の、

 物語としてのフォーマットを借りて、

 自分、ヘイ監督にとってのそれは、

 ゲイとして生まれ、タフな時代(エイ

 ズ禍の恐怖、不当な差別など)も相ま

 ってそのことを誰にも、親にも言えず

 誰かを愛するということに蓋をして

 生き、気づけば老いを感じる年まで

 来てしまった自分、人生、あるいは

 その孤独 というものを語る話 

 んだなと思いました。その意味でとて

 も、パーソナルな話なんだけど、それ

 ゆえに普遍性があるという作品でした

 ねえ。

 

 亡くなった親と”現実”で再び会えるこ

 とは無いし、自分がこども時代に戻れ

 ることも(今のところ)出来ないわけ

 で、人生は間違いなく、不可逆なんだ

 なあと、あらためて思いましたね。

 もうね、ぶっちゃけて言うと、まとも

 には観れんかったんよ、食らうから。

 オレらの年代には、親ー自分ー子の

 関係の本質的なところに刺さりまくっ

 てくる話になってるからさあ。でも

 作劇的に、涙エクスプロイテーション

 的な作りになっていない(そこがイイ

 の)から泣かなかったけどね。

 

 『異人たちとの夏』は、往年の浅草が

 舞台でしたが、本作は80年代の英国に

 なってまして、様々な、懐かしいヒッ

 トナンバーが彩る形になってます。

 ペットショップボーイズとかのエレク

 トロポップなサウンドの。あとFGTH

 (フランキー・ゴーズ~)が、かなり

 大きな”意味”をもってきます、本作。

 町山解説に依れば、FGTH「THE 

 POWER OF LOVE」(本作のエン

 ドロールで掛かります)のMVが本作

 の結末の大きなヒントって言ってまし

 た。FGTH。あの頃はただただキワモ

 ノ扱いだったです。デパルマの

 「ボディ・ダブル」でかかってたんも

 大きいかな。で、その時代に大きく翳

 を落としてるのが、前記したように

 エイズ禍なんだよねえ。そこで生きね

 ばならなかったゲイの少年にとって、

 どんだけだったんだろう、世界は.. 

 って、想像を絶するものがあります。

 そんな風な切実さを以っては、当時

 聴いてなかったけどねえ。

 

 同性の父の方が、自分がゲイであるこ

 とを話しやすそうだったのは、なんか

 リアルでした。母親とそういう話をす

 るのは、キツそう。まあ、前記した

 ような時代状況だから、命の危険と

 大きく絡むとなったら尚のこと母親の

 心中は..って話なんだろうけど。

 母親に吐露する場面は、キツい場面

 した。父との”和解”は、若干短絡的な

 感じはありましたが、現時のテーマ

 としてとても重要なところです。

 

 最後、オープンエンドだと思います、

 あれ、どういうことなんすかねえ。

 ハリー(ポール・メスカル)も”そう

 だった”ってことなんでしょうね。

 (「異人たち」の名取裕子は完全に

 そうだったですし) もしくは全てが

 幻影で、彼の心の内のことだったのか

 この辺りは、怪談テイストなところ

 でした。

 ここまで真摯に思いのたけを話された

 ら(そして作りも巧いしね)、それは

 もう、感動しましたよ。 ★★★1/2

 

   異人たち 映画 動画配信 オンライン 視聴 さん

 

 

 

 

メメント」 ('00)

 クリストファー・ノーラン 脚本、監督

 ジョナサン・ノーラン 原案

 ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス

 ジョー・パトリアーノ、ジョージャ・

 フォックス

 

 『前向性健忘(発症以前の記憶はあるも

 のの、それ以降は数分前の出来事さえ忘

 れてしまう症状)という記憶障害に見舞

 われた男が、最愛の妻を殺した犯人を

 追う異色サスペンス。特殊な状況に置か

 れた主人公の心理を再現するため、時間

 軸を解体した上で再構築された複雑な

 構成ながら巧みな脚本で衝撃のラストへ

 と観客を導く』(allcinemaサイトより)

 

 アマプラで。

 初めて観ましたが、少なくとも、夜中

 寝る前に、一気にでなく細切れに観る

 もんではないね(笑)。

 終わってみても、??な状態になって、

 ゆえにまた観直したくなる感じも分か

 らなくないです。

 前記あらすじ中にある、「最愛の妻を

 殺した犯人を追う主人公」とか「特殊な

 状況に置かれた主人公」、「時間軸を

 解体」などは、「バットマン」シリーズ

 以外のノーラン作品を貫くワードで、

 だいぶノーラン濃度の濃い作品ですね。

 

 ガイ・ピアースは「L.A.コンフィデンシ

 ャル」('97)よりも後になるんすね。

 キャリー=アン・モスは「マトリクス」

 ('99)”トリニティ”と同時期に撮って

 る感じか。この時期このふたりを と

 いうのは、恐らく低予算でもギリギリ

 可能な、巧い使い方っすよねえ(笑)。

 ★★1/2

 

 メメント – アップリンク京都 さん

  

 

そんじゃまたね。

チャオ。