Ｆｅｒｒｙどうも。
先日報告した「パスト ライブ／再会」（わたくし「パスト・ライブス」表記してしまいましたが、パスト”半角スペース”ライブス」が正しい表記でした）の「アト６」宇多氏の評論が見事でした。なるほどそういう映画だったのかあ。もう一回観たくなりました。”人物の立つ位置で物語る”とか、そういう演出の魔法的なのって、好きよ わたくし。
「貴公子」 （'24）
パク・フンジョン 脚本、監督
キム・ソンホ、カン・テジュ、
キム・ガンウ
『フィリピンで病気の母のために
アンダーグラウンドのボクサーをして
日銭を稼ぐ貧しい青年マルコ。ある日、
一度も会ったことのない父が彼を探し
ていると知り、韓国へ向かうことに。
そんな彼の前に、親しげに接してくる
謎の男”貴公子”が現れる。やがて貴公
子の常軌を逸した行動に恐れおののき
必死で逃亡を図るマルコだったが．．』
（allcinemサイトより）
「新しき世界」（'13）や「THE WIT
CH」（'18）他のパク・フンジョン監督
の新作ということで、映像的な様式美に
彩られた、ハードな世界線 なのかなあ
また くらいの感じ（「新しき世界」は
超面白かったけど（イ・ジョンジェが
格好いいからね！）、他のは、つまんな
くは無いけどそうでもない正直）で行っ
たんですが、まあまあそういうハードさ
はベースにありつつも、より話が漫画的
というか。フィリピンに自分のこどもを
置き去りにしてきた韓国の大金持ちが、
人里離れた深い森の中の豪邸に住んでた
り、序盤はフィリピンが主な舞台だった
り、ちょっと現実からは少し浮いたよう
なフシギな感じがありました。
さらにその非現実感に拍車をかけている
のが、謎だらけの”何かのプロ”として
度々話の縦のライン（フィリピン置き去
り混血児の父探し旅）に激しく横槍を入
れてくる”貴公子”の存在なんですが、演
じるキム・ソンホ氏、わたくし初めて
認識した方なんですが、ドラマ（ネト
フリだったか？）「海街チャチャチャ」
（未見です）でブレイクした方で、詳し
くは分かりませんが私生活のスキャンダ
ルで活動を休止していた方のようですね。
彼の、身なりが崩れることを極端に嫌う、
雨が降ってきたら即追跡中止するだとか
（まあ、多分に記号的なんだけど）の
”貴公子”ぶりが、謎だらけの存在だけに
後半は物語をかえって牽引していく存在
になっていくっていう構造になってます。
ただ最後の最後まで、謎な部分が引っ張
られるため、途中の、結構なボリューム
の追跡劇とか、あんまサスペンスじゃ
ないのよ、実は。最後にタネが明かされ
て、ああ、なるほどぉ ってはなるんだ
けど、ちょっとそこの説明も、長い感じ
がするし、あんまりスマートではなかっ
たかなあ って思いました。 ★★1/2
「おまえの罪を自白しろ」
（'23）
水田伸夫 監督 真保裕一 原作
久松真一 脚本
中島健人、堤真一、池田エライザ、
山崎育三郎、尾美としのり、金田明夫、
角野卓造、尾野真千子
『孫娘を誘拐され、身代金の代わりに
自らの罪を告白する記者会見を開くよ
う要求された国会議員と、その次男で
秘書として事件解決に奔走する青年の
運命をスリリングに描き出す』
（allcinemaサイトより）
アマプラにアップされてました。去年
の公開時、ジャニオタのママ友から
タダ券が回ってきたんだけどどうして
も足が向かずの作品（ついでに言いま
すと、職場の同僚（同い年の女性。
ふつうにジャニは好き）にも勧めたん
ですが、ケンティー（中島健人氏）
苦手 って断られた）だったんでちょ
っと気にはなってたんす。
序盤、出だしからの前半部は、イイと
思うんです。スピード感があって。
いろいろと不明な点はあるものの、
疾走感があっていいんだですけどぉ．．
山崎育三郎や中島歩、金田明夫、尾美
としのりも好かった。こんなにいい
バイプレイヤーが揃ってて、且つ
オモテに出てるのが、堤真一に池田
エライザでしょ。結構贅沢なキャス
ティングなんですが、なのによ。堤
真一なのに、結局何もしねえ～（笑）
言われるがままのおじいちゃん政治家
池田エライザのくせに何もしねえ～
（笑）ただおろおろしてるだけ．．．
結局これ、ダレ得なん？で、ケンティ
ーが全部いいところをもっていってる
ようでいて、しかし、そういう忖度
構造（アイドル的なものに周りが奉仕
しているような構造）こそが今、ネガ
ティブなんでは？ジャニ王国の崩壊
によって っていう。
終わってみれば、結構エグめな政治ド
ラマなのに、ケンティー以外の登場人
物たちが、みんな頭が悪くされてる
というか紋切り型の人物として不当に
下げられてる感じがするんですよ（前
記”奉仕の構造”っすね）。こう見えて
しまうと、これは詰まらんですよ。
また、こういう題材なんだったら、
現実の政治と何かしらリンクさせる
ようなものがあれば、社会風刺的な
面白さにつながると思いますが、ボク
はすいません。何も思い当たらなかっ
たですし、現実政治の方が、裏金作り
とかの超セコい”現実”っぷりを露呈し
ているのも、マイナスに働いてる気が
しました。
あとね、オチがさあ、そういうオチ
なんであれば、序盤の段階で、あんな
単なるドローン映像を流すだけにしな
いで、何か”匂わせ”的なものを呈示し
ておくべきなんではないでしょうか。
尾野真千子をガヤ的な端役でキャス
ティングしている段階で既に、何かし
らのネタバレにはなってるわけだから
さあ（笑）。
にしても、ちょっとこれ、呑み込み
づらいオチですよねえ。端的に言って
逆恨みの域を出ないと思う。「おまえ
の罪を自白しろ」とか、神視点のもの
言いな割に、犯人側の動機って結局、
殺人の隠蔽ですからね。どうしても
バランスが悪いです。「おまえの～」
って言いたかっただけというか（笑）
もっと直截的に「何たら大橋の不正に
ついて喋れ」って何で言わないのか
がよく分かんないです。
これって、「新幹線大爆破」的な社会
正義ニヒリズムテロを、テロされる側
から描いた みたいな話で、よく分か
んないんですよ、意図が。それ、面白
いのか？って（笑）。
後半の、政治家が世襲を守らんと汲々
になる件りとか、裏話として大体みん
な織り込み済みなことだし、それを
お芝居でして見せて、何か面白いです
かこれ？って、だいぶ苛々しながら観
ました。 ★
そんじゃまたね。
チャオ。