Ferryどうも。

 

2話の途中までしか観てないで言うのもアレなんですが、賀来賢人くん肝入りの、NFXのドラマ「忍びの家」。 オレはつまんなかったけどなあ。あ、やっぱこういう感じになるかあ..っていうか。そうならないように注意して作ってる感が出てるんだけど、フジヤマ、ゲイシャ的な物見遊山感が、昔とは違った形で出ちゃってるように思うんだよねえ。ここは、海外の人が監督してるのと大いに関係してるような気がします。

 

IMAX「ゴジラー1.0」行っちゃいましたあー!好かったねやっぱ。これはIMAXで観るべき映画だわ。クライマックス、「嗚呼駄目だ...やはりオレたちはまた敗けるんだ..」ってみんながゴジラに敬礼をして...からの、神木くん登場!!ってとこは、思わず汁が出た、色んなとこから(笑)。脱出装置が実は仕込まれてましたって件りも、初回に観た時は、もっとスマートにやれよ(#^ω^)って思ったけど、今回は、なぜかグっときてしまいました(笑)。

ただ。やっぱ正直、前半のドラマパートは、2回目だと余計にかったるかった。何かひと工夫あればなあっていうのはあります。あと、オレ思っちゃったんだけど、序盤の大戸島パート、この映画に於いて非常に重要じゃないすか。全ての発端というか。あれさあ、神木くん、戦闘機までたどり着いただけで既にかなりグッジョブよね(笑)。見たこともない巨大生物とあんな至近距離なのにさあ。特攻作戦を巧妙に立ち回って回避した人がよ。あそこでもう、ある種の禊を果たしてるんでは?って思いました。 仮に、あの戦闘機が置かれた位置が、立てこもった塹壕よりも後ろ、あるいは同じくらいの位置だったとしたら、それでも撃てなかったとしたら、これは何らかの贖罪を背負わざるを得ないかもとは思うけどもなと。ただそのように戦闘機の位置が比較的安全圏であった場合、撃てなかった理由が、特攻作戦への思いと絡めると、よく分かんなくなっちゃう気もするんだけどね。単にイップス?とか。 だからさあ、橘整備士(青木崇高)から理不尽に攻め立てられて、復員したら今度、安藤サクラおばさん(あの役は安藤サクラじゃなくていいよねえ?もっと適役いるよぉ。日本アカデミーの、主演と助演のW受賞は、もっと批判されていいと思う)にも理不尽に攻め立てられてさあ、”酷い目に遭いすぎてるだけだよ神木くん”って、神木くんの苦悩との共感性が生まれにくい構造になってんじゃないのかなあとかって思いました。 今回序盤でそんなことを考えちゃったもんだから、ずうっとそれを引き摺っちゃったっていうのはありましたけども、正直に言って、やはり本多猪四郎監督の「ゴジラ」、あるいは庵野「シン・ゴジラ」の方が、繰り返し観たくなる傑作 だと思いましたかねえ。比べてしまうと。 ★★★

 

 

 

12日の殺人」 ('24)

 ドミニク・モル 脚本、監督

 ジル・マルシャン 脚本

 ポリーヌ・グエナ 原案

 パスティアン・ブイヨン、ブーリ・

 ランネール、テオ・ショルビ、

 ジョアン・デイオネ

 

 『2016年10月12日の夜、21歳の女性

 クララが、何者かにガソリンをかけられ

 生きたまま焼き殺される陰惨な事件が

 発声する。早速捜査が開始され、殺人課

 の班長に昇進したばかりのヨアン率いる

 捜査チームが現場に駆け付ける。被害者

 の身元はすぎに判明し、交友関係の洗い

 出しが始まると、奔放な男性遍歴が明ら

 かとなり、彼女と交際していた男性たち

 が次々と捜査線上に浮上してくるのだっ

 たが...』(allcinemaサイトより)

 

 ドミニク・モル監督の前作「悪なき殺人」

 ('21)は、巧みな構成のミステリー・

 群像ドラマでしたが、次作となる本作は

 一転、陰惨な殺人事件(実在の未解決事

 件)を捜査する中で、事件のもつ本質的

 な闇みたいなものに向き合ううちに、

 徐々に蝕まれ、人生を狂わされていく

 人たちっていうのを描くストレートな

 ドラマ作品でした。前記内容でお分かり 

 のように、これは「ゾディアック」や

 「殺人の追憶」を容易に想起させる作品

 になっています。

 

 事件そのものは、実際に現在に至るまで

 未解決ということで何らの着地もみませ

 ん。むしろ、被害者の若い女性が、性的

 に奔放だったことが明らかになることで、

 男性ばかりの捜査陣の中に半ば無意識的

 に生じてくる”雰囲気”、ある種の定型に

 当てはめようとする”空気”みたいなもの

 に本作はフォーカスされていて、そこが 

 面白みなのだと思いました。

 先日報告した「落下の解剖学」とも共通

 する部分なのかもしれません。この世の

 大概のものは、不確定よねっていう、

 諦観なのか何なのか、簡単には捉えられ

 ない複雑性みたいなものが覆っている

 全くすっきりとしない世界の有り様

 みたいなんが、フランス人の構え方なの

 かもしれませんね。知りませんが。

 

 多分にジェンダー視点の映画でもありま

 す。クララと性的な関係をもった男性の

 ひとりで、妻への暴力容疑で係争中の男

 に対して、離婚されたばかりの中年男性

 捜査官が過剰に暴力的に憎しみを募らせ

 てしまうっていう件り(ちょっと前なら

 作品の中でふつうに許されている行為だ

 と思う)とか、女性の捜査官だったら

 全くこれ、違うアプローチだろうなと

 いうのは容易に想像できますし、後半

 でそれが実証されるわけだけど。

 あと、前記したこの、妻へのDV男の

 ”実相”が全く分からない、実は全然違う

 のかも...って思わせる辺りも、深淵

 な感じがしました。

 本作、全体を通してクララが性的に奔放

 なことを示す回想場面であったり、前記

 のDV男が妻に暴力を実際に揮う回想場

 面だったりが、全然ないのよ。そういう

 言ってみれば伝聞だけで、コトが進んで

 いくんです。この辺も、前記の「ゾディ

 アック」「殺人の追憶」なんかとも共通

 するところかなと。

 

 ことほど左様に、これまで、予定調和

 的に描かれてきた殺人捜査の過程が、

 ちょっと分析的に描かれてるような

 部分があって、面白かったです。

 言うても、だいぶモヤっとなるけどね

 何も”解決”しないから。

 蛇足ですけど、そういう意味で、ポン・

 ジョノ「殺人の追憶」のあのラスト

 ショットは、偉大だよなあ とあらた

 めて思いましたかね。インパクト強す

 ぎて他で真似できないもんね(笑)。

 本作含めて全ての未解決事件を扱った

 作品で作者側はやりたいことなのだと

 思いますけど。 ★★★

 

   12日の殺人 : 作品情報 - 映画.com さん

 

 

そんじゃまたね。

チャオ。