Ferryどうも。
山本陽子は、そりゃあそうよ。当たり前じゃない?(笑)小川真由美にショーケンが追いかけられるあの場面、何度観てもマジで鳥肌立っちゃうんすけど。おっかなくて。山崎努のアレと双璧です。ボクとしては。最後に明らかになる、ふたりのルーツが実は...なオチは、オチ史上でも出色!よねえ。思想として。「幻の湖」レンタルで観た記憶があります。イヌと宗教みたいなんが絡むんだっけ?真のカルト映画。「鬼の筆」早く読みてえ。
「枯れ葉」 ('24)
アキ・カウリスマキ 製作、脚本、
監督 ティモ・サルミネン 撮影
アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァ
タネン、ヤンネ・フーティアイネン
『ヘルシンキの街を舞台に、孤独な
男女の出会いと過酷な運命に翻弄
される2人の恋の行方をユーモアを
織り交ぜ描く』(allcinemaサイト)
カンヌの審査員賞、国際批評家連盟
賞2023年度グランプリ、ゴールデン
グローブ非英語映画の作品賞など
受賞してるみたいです。
カメラの位置(厳密には違うけど)、
切り替えのリズム、あと何といって
も台詞回し、トーン。どうしたって
これはもう!小津安二郎作品ですわ。
あるいはまた、作中、街の映画館
(「Ritz」という名前の、いわゆる
”3番館”なのかな)が”重要拠点”と
して出てくるんですが、入り口に
どーんとポスターが貼ってあるのが
ロベール・ブレッソン「ラルジャン」
だったりします。ブレッソンの方法
論、役者をモデルと呼んで、極力
”感情というか演技を排する”姿勢と
も通じてると思います。
さらには、(わたくしそんなに実は
観たことないんでアレなんですが)
映画の最後に可愛らしくネタ割りさ
れます、チャップリン作品っすよね
え。 これらが融合した形で、ロシ
アがウクライナに侵攻している、現在
進行地続きのヨーロッパの、市井の
人たちの思いっていうのが込められた
傑作だと思います。ほんと好かった。
85分っていう上映時間も、昨今の
各種映画祭で評判を呼ぶ作品として
は異様なコンパクトさっていうのも
功を奏していると思うんですが、
小さいハコでしたけど、朝いちの回
にも関わらず空席無しの満席でした。
平均年齢は間違いなく高め。オレの
左隣はおばあちゃん(後期も後期、
恐らく90代)のふたり連れで、久し
ぶりの映画鑑賞だったらしく、すごく
楽しんでいるのが分かりました。そん
ななんで劇場がいい雰囲気でね。
やっぱねえ、過剰な演技、演出なん
て、あんま要らないんだなあってあら
ためて思いました。的確に描写、伝え
てさえくれれば、こちらが勝手にハッ
としたり(実際にある場面では、満席
の観客全員が、ハッと声を上げました
もんね)、じれったくなったり、クス
クス笑ったりするのよ。
前作の「希望のかなた」もすごく好か
ったですけど、も少しコントっぽかっ
たっていう印象なんすけど、ペーソス
っていうんですか、そういうのんで
裏打ちされた恋の話で、しかも前記の
ような映画の巨人たちが遺した作品に
倣った、いい味の作品でしたねえ。
★★★★
「ある閉ざされた雪の山荘で」
('24)
飯塚健 脚本、監督
東野圭吾 原作 加藤良太 脚本
重岡大毅、間宮祥太朗、中条あやみ、
岡山天音、西野七瀬、堀田真由、
戸塚純貴、森川葵
『若手俳優7人が集められ、大雪で
閉ざされた山荘で連続殺人事件が起
きるという架空の設定の下、主演の
座をかけた最終オーディション合宿
が行われる中、1人また1人と実際に
メンバーが消えてしまい、芝居か
事件かはっきりしないまま、互いに
疑念が深まっていく謎めいた展開の
行方をスリリングに描き出す』
(allcinemaサイトより)
はい、1,400円使って無駄な時間で
したー!ってのみで終えてもいいの
ですが、なんか、言っとかないと
アレなとこ多し でしたので書きま
す。東野圭吾氏の原作は読んでいま
せんので、映画作品との相違とかは
分りません。
<ネタバレ注意報>です。
先ずは話の結末部分に関してになって
しまうんですが、かなりハッキリと
”事故”の原因を示し、因果関係がある
と断定しているため、被害者の恨みつ
らみは相当量あるでしょうと、観客側
は共有している(脚本上そうさせてい
る)のに、結果的にカタチ状の”謝罪”
のみでそこは済ませてしまうんだあ
っていうヤダ味が残ります。
またこれは、タイミングとして不運
なんだけど、穿った見方かもしれない
けど、特に能登の震災に遭われた方た
ち、もっと言えばあらゆる”被害者”に
とって、”仕方ないで済ませる結末”は、
どう響くのかなあ と思ってしまいま
した。端的にいうと、論理が雑という
か、無神経に感じるんすよ。
あとついでに言うと、”スリリングさ”
は、脚本的にも演出的にも出せてない
と思います。
で、なぜそういう感想に至るかなと
考えると、人物たちのパーソナリティ
ーが描けていないと思うんですよねえ。
プロフィールは紹介されますよ。でも
どんな信条、心情、あるいは身上の人
なのか、全く分かんないんですよ。
”パンフレット”みたいなやつ?格好
つけてポーズ決めてるあれ とかは
出てきますけど。そもそもの今回の
”事件”を誘因することになった”ある
行動”(この行動の意図も何だかぼやけ
てるし)をとった3人に関しては、
ちょっとしたヤな感じ みたいなとこ
しか描かれないんで、考えの浅い人
たちってしか分からんし。しかも
こんなキャラクターに、現在ドラマ界
において注目株筆頭クラスの3人
(西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴)を
むざむざ充てる無神経さね(それ自体
が推理を混乱させるとでも?)。
各部屋を天井から俯瞰で撮るショット
(あれほんと無意味でしたよ)なんか
入れるよりずうーっと、脚本上のその
辺の描き込みが、先ず重要だと思うん
ですけどねえ。
あと、演劇界のヒエラルキーみたいな
のって、そんなにみなさん知ってるこ
となの?わたくしその辺が全然分から
ないので、重岡氏(そもそも彼がなぜ
この場にいる必然性があるのかも分か
らないのですけど)と間宮氏の間の
”格差”がなぜあるのか(それはもう、
歴然としてあるというふうになってた
劇中では)、分からんのですよ。だか
ら結末部のああいうの何?ってなった
し。”生身の重岡氏と間宮氏”にそんな
差はないと思うし(笑)。
あ、ついでに言っちゃうと、あんな
フィナーレにするんだったら、いっそ
のこと森川葵が立ち上がって全然いい
と思うんですけどなあ。メタ構造に
しちゃうみたいな。
だからハッキリいうと、この企画に
そもそもこんなに有名なキャスト要り
ますか?って話なんですよ。それこそ
話とシンクロするような、無名の、
ほんとに演劇をやっている人の方が
真実味が出る企画ですよねえ。むしろ
このキャストのラインナップは、
マイナスの方が大きいと思うんすよ。
音楽とかジャズっぽい感じでしゃれ
ちゃってても、最後は元ジャニーズ.
westの曲がかかっちゃう訳ですよ。
なんか、作品の中身を追求するよりも
大事なところで企画サイドの事情、
忖度みたいなんが優先されてるのが
透けて見える感じがしてしまいます。
あと最後になりますが、「演出家と
”寝たら”役がもらえる」ってことも、
放置しちゃってますよねえ。今どき。
少なくとも”コトの是非”には全く言及
してないし、何なら肯定してます。
役を得ることのロジックが全く示され
ないがゆえに森川葵の落選の理不尽さ
があるわけで、ロジックを示せないの
は仕方ないとしても、そこを放置して
しまったら、変わんないですよ何も。
ここ数年でいろんな案件が出てるみた
いですけど。演劇の世界も。 ★
そんじゃまたね。
チャオ。