姉の事。(7) | ひとり娘の両親介護日記

ひとり娘の両親介護日記

アラフィフひとり娘。3年間の両親自宅介護生活とその後を綴ります。

 

 ICUで見た姉の姿がずっと目に焼き付いたまま、月曜日を迎え、いつものように

仕事に向かう。午前中、クレームの電話を受けてた私。相手の不満はどんどん加速

してて、かなり長い時間向こうの話を聞いていた。その時手元に置いてたスマホに

義兄からの着信。これを見た瞬間ドキッとした。クレームの電話を受けながらも、

なかなか切れない着信に「あぁ、ついに来てしまったのか」と思った。それから

後はクレームの内容もほぼ頭に入らず、どう話をまとめて電話を切ったのかも

記憶にない。着信が切れた後すぐに「電話をください」と義兄からメッセージ。

息子や甥っ子達からも着信が入っていた。すぐに病院へ来てくださいとの事だった。

 

 病院へ行くと、主治医の先生からの話。義兄と私で聞く。これ以上の処置を

行うことが姉の身体には限界に来ているらしい。このまま治療を続けても回復する

可能性はかなり低いうえ、急激に悪化する可能性もあると。どうしますか?と。

義兄はかなり動揺し疲弊して、現実を受け入れられないような状態。私はICUの

姉の姿を思い、もうこれ以上苦しませたくないという考えだった。義兄に話す。

今の治療を中止すれば、ICUから出て病室へ移動できるとのこと。個室を用意する

ので、数人ずつなら直接面会もできる。その選択をした。私がそうしようと義兄に

はっきり伝えた。「お姉ちゃん、すごく頑張ったよ。」と。

 

 姉からたくさんの機械が外され、その日の午後個室に移動できた。2人ずつ

病室に入り、皆で姉に声をかける。もうほぼ反応なく、ただ呼吸しているだけの

姉だったけれど、私達の声は聞こえていたと思う。個室に移ってわずか2時間後

姉は息を引き取った。まだ53歳。本当に信じられない。