日本年金機構から届く「赤い封筒の最終警告」を全国18万人が無視…そのうち3万人が直面した「悲劇の1日」

配信

 

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)

(※写真はイメージです/PIXTA)

会社員や公務員は給与から天引きされるため、年金保険料についてあまり意識することはありません。だからこそ、転職などの際にいつのまにか保険料を滞納しているケースも。さらに悪質な保険料滞納者には恐ろしいペナルティが……。その数、1年で3万人にのぼります。 【ランキング】都道府県「国民年金保険料納付率」…ベスト1位「島根」、ワースト1位は?

会社退職後、すぐに転職活動はせず…国民年金の手続きも放置

国民年金保険料は、毎年度、物価や賃金の伸びに合わせて調整。令和7年度は月額1万7,510円と、令和6年度の月額1万6,980円から530円の値上げとなります。 【国民年金保険料の推移】 2000年4月〜:13,300円 -------------------------- 2005年4月〜:13,580円 -------------------------- 2010年4月〜:15,100円 -------------------------- 2015年4月〜:15,590円 -------------------------- 2020年4月〜:16,540円 2021年4月〜:16,610円 2022年4月〜:16,590円 2023年4月〜:16,520円 2024年4月〜:16,980円 2025年4月〜:17,510円 そもそも日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人はすべて国民年金に加入することが義務付けられています。70歳未満の会社員や公務員など厚生年金の加入者は「第2号被保険者」とされ、厚生年金の保険料以外に保険料を負担する必要はありません。また第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は「第3号被保険者」とされ、年金保険料を個別に納める必要はなし。20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職等の「第1号被保険者」のみ、個別に国民年金保険料を納める必要があります。 「サラリーマンだから関係ない」と思っている人も多いですが、転職経験者は要注意。入社まで期間があったなら、その期間は国民年金第1号被保険者の手続きを行い、国民年金保険料を納める必要があります。この手続きを怠り、数ヵ月の保険料未納。年金を受け取る段階になり、「満額受給のはずなんだけど、ちょっと少ない……」。よくある話です。 数ヵ月の滞納であれば、滞納自体を知らずにときは過ぎていきますが、未納期間が7ヵ月から1年半程度になると、催促の手紙が届くようになります。 田村大輝さん(仮名・32歳)、2年ほど前に会社を退職した際の体験談。 ――それまで結構キツイ会社にいたので、少しのんびりしたくて。退職したのち、すぐに転職活動せずに、しばらくプラプラしていました 退職から1年ほど経ったとき、日本年金機構から届いたのが、ピンク色の文字で書かれた圧着はがき。これは国民年金保険料の未納期間がある被保険者に対して送られてくる「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」。未納期間と金額がかかれており、未納分を納めるよう促すもの。ただ田村さんはこの通知を放置。なかを開くことすらしなかったといいます。

 

日本年金機構からの再三の警告を無視すると…

「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」が届いてもなお、保険料の納付を拒み続けると、「特別催告状」が届きます。この特別催告状は封筒に入っており、最初は青、次に黄、そして赤(ピンク)と、まるで信号機のように色が変わり、3回ほど送られてくるのが通例です。 赤い封筒の特別催告状でも納付しない場合、「最終催告状」が届きます。ここには「同封の納付書で滞納分全額を指定期日までに納付すること」「納付がない場合、差押えに移ること」が記されています。それでも納付しないと、「督促状」が送られてくる。督促状で指定された期日までに納付しないと、その分、延滞金が発生します。さらに無視を続けると、「差押予告通知書」が届きます。日本年金機構が財産調査を行ったうえで送付するもので、差押え前の最後通告。これ以降は予告なしに差押えが実行されます。 田村さんの場合、赤い封筒に入った「特別催告状」まで無視を続けたといいます。というよりも、そんな一大事になるとは考えず、面白おかしくSNSで「赤い封筒が届いた」と報告。それをみた友人から「すぐに保険料を払ったほうがいい」と連絡をもらい、すぐに対応して難を逃れたといいます。 ――友だちが「すべて失うぞ!」って脅すから(笑)。一気に滞納分を払えないから、親からお金を借りました。 厚生労働省の発表によると、2023年、最終催告状は17万6,779件に、さらに督促状は10万2,238件に、最終的に「財産差押」となったのは3万0,789件でした。差押えの対象となるのは、「所得額300万円以上で7ヵ月以上保険料未納」。この条件は年々厳しくなり、いずれ無条件になる可能性はあります。 実際に財産差押えになると……午前中、家のインターフォンが鳴り響きます。そこには執行官が立っているでしょう。「財産差押えを行います」と告げられ、心臓が跳ね上がるはず。その直後、執行官が家のなかに入ってきて、押収対象の家財を確認し始めます。差し押さえる財産に「差押標識」を貼付され、その財産が差押えの対象であることが明示されます。現金や預金通帳が見つかった場合はその場で押収され、不動産や自動車などの大型資産の場合、その場で差押えの登記や登録がなされます。ひと通り終われば、執行官は差押調書を作成し、コピーを滞納者に交付。差し押さえられた財産は、後日換価処分(売却)され、滞納金に充当されます。 もし執行官の立ち入りを徹底して阻止したら。数ヵ月後、金融機関から「差押調書謄本」という書類が届きます。「あなたの口座は差し押さえましたよ」というもので、確認すると残高がゼロに……そんな事態に見舞われるでしょう。 このように、国民年金保険料の未納が続くと、最終的には財産の差し押さえという厳しい措置が取られる可能性があります。未納を防ぐためには、日頃から通知に注意を払い、納付が難しい場合は早めに年金事務所に相談することが重要です。 [参照] 厚生労働省『令和5年度の国民年金の加入・保険料納付状況について』 日本年金機構『国民年金保険料を納付していない期間がある方にお知らせをお送りします』