悔やんでます…〈月収45万円〉58歳サラリーマン、長男・第一志望合格で歓喜も「親子で500万円の借金」

 

悔やんでます…〈月収45万円〉58歳サラリーマン、長男・第一志望合格で歓喜も「親子で500万円の借金」、老後崩壊の現実を前に「夜もぐっすり寝られません」

悔やんでます…〈月収45万円〉58歳サラリーマン、長男・第一志望合格で歓喜も「親子で500万円の借金」、老後崩壊の現実を前に「夜もぐっすり寝られません」© THE GOLD ONLINE

大学受験シーズンも本番。これまでの努力がしっかりと叶うことを願うばかりですが、複雑な心境を抱えている受験生の親も。みていきましょう。

第一志望合格の長男…上京&学費で一気に200万円の出費

受験シーズンも大詰めに向かい、合格の便りも続々と聞こえてくるころ。我が子の吉報に、ガッツポーズが止まらない受験生の親たちも、あちらこちらに見られます。原田淳(仮名・58歳)。40歳を過ぎてから授かった長男が第一志望の大学に合格したのは昨年のこと。

――必死に勉強していた姿を知っているので、第一志望の大学に合格したときには、本人以上に喜びました

一方で長男の大学進学に際し、経済的な不安も。長男が合格を勝ち取ったのは、東京の有名私立大学。理系学部で初年度の納付金は180万円。上京しなければ通えず、家賃は月7万円。家賃を抑えることもできましたが、子どもを上京させる身。防犯はしっかりとしているマンション……これは譲ることができませんでした。

 

【入学先別初年度の教育費】

国立大学…28.2万円/53.6万円/81.8万円

公立大学…39.1万円/53.6万円/92.8万円

私立大学文系…22.6万円/81.5万円/14.8万円/118.9万円

私立大学理系…25.1万円/113.6万円/117.9万円/156.6万円

私立大学医歯系…107.6万円/288.3万円/93.1万円/489.1万円

※国公立大学数値、左から、入学費/授業料/初年度教育費

※私立大学数値、左から、入学費/授業料/施設設備費/初年度教育費

上京に際し、新生活をスタートさせるための費用、大学の入学金や前期の学費などを含めると、一気に200万円ほどがとんでいきます。

キャリアハイを迎える年齢とはいえ、地方の中小企業で働く原田さん。給与は月収で45万円、年収で650万円と、企業規模計で平均月収53.2万円、年収879万円と比べると、厳しいものがあります。さらに高齢の親にはすでに月5万円ほどの仕送りをしていました。

ますます苦しくなる家計……そのようななか、原田さんは教育ローンと奨学金を活用することを決めました。

長男大学進学で「教育ローン250万円・奨学金250万円」

利用したのは国の教育ローン。独立行政法人日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫が取り扱う教育資金の貸付制度で、借入の主体は子どもの親。子どもの人数に応じて世帯収入の制限があります。たとえば子どもがひとりの場合は、世帯年収790万円です。借入限度額は子ども1人当たり350万円以内(自宅外通学など一定の要件に該当する場合は450万円以内)。金利は固定金利で年2.65%(令和7年1月6日現在)です。

奨学金は独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のような団体等が学費を支援する制度で、返済不要な給付型と、卒業後に返済する貸与型があります。JASSOの奨学金は国の教育ローンとの併用も可能。借入の主体は子ども本人となり、学力と家計の基準があります。借入限度額は月額12万円まで。JASSOの第一種奨学金は無利子、第二種奨学金は有利子です。

 

原田さんは教育ローンで250万円を借り入れ、10年で返済する計画です。月々の返済額は2万4,000円ほど。奨学金は無利子で、給付額は月5万円、4年で250万円ほど。大学進学にあたり、親子で500万円の借金をしたことになります。

【学費のために奨学金・ローンでお金を借りた経験者に聞いた】

Q.返済について負担を感じている?

非常に感じている…30% 負担を感じている…39%

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▼返済そのものを負担に感じている声

・銀行のローンは最初利息のみの返済だが卒業後元本の返済が始まり大変になった。(神奈川県、62歳男性、会社員、借入額:300万~400万円未満、世帯年収:1,200万〜1,500万未満)

▼物価高・税金が影響して負担を感じるという声

・将来の不安 世帯収入減及び物価上昇により老後資金が溜まらない(兵庫県、64歳男性、会社員、借入額:50万~100万円未満、世帯年収:800万〜900万未満)

▼精神的な負担

一定期間、返済を繰り返していくというのは、気分的に、負担が大きい。生活費がその分、目減りしていくので、楽しさが半減します。 (兵庫県、65歳男性、会社員、借入額:100万~200万円未満、世帯年収:500万〜600万未満)

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※出所:セレクトラ・ジャパン株式会社

長男の教育費に加えて、大学進学を控えるのはもうひとり、次男がいます。順調にいけば2年後。原田さん自身は定年を迎え、給与は大きく減ることが目に見えています。だからといって次男は自力で……そんなことが叶うわけがありません。

――もっと早く準備をしておくべきでした……悔やむ気持ちでいっぱいですが、毎日の生活で精いっぱいな状況。頑張っても無理だった、そんな気もします

長男と次男、2人とも希望通りの進路を叶えるためには、自分たちの老後を犠牲にするしか方法はない…絶望的な老後前に「最近、将来が不安で夜もなかなか寝付けない」と原田さん。自虐で笑うしかないといいます。

[参考資料]

文部科学省「令和3年度子供の学習費用調査」

文部科学省「令和3年度、私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」

e-Gov『平成十六年文部科学省第十六号 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』

セレクトラ・ジャパン株式会社『スマートマネーライフ カードローン部門による調査』