仲間の皆様

 

 自衛隊札幌地方協力本部(地本)が昨年9月以降、札幌市内の複数の子ども食堂で隊員の募集広報活動をしていたことが判明した。子ども食堂の運営関係者が明らかにし、自衛隊も「札幌独自の活動」として事実関係を認めた。中学生への募集活動は、保護者か学校を通して行うとする防衛事務次官通達(2003年)があり、専門家は「直接、子どもを勧誘していたのであれば、通達に抵触する」と指摘する。

 

 札幌地本などによると、23年9月上旬ごろ、市内の子ども食堂約80カ所にメールを送信。地本は「(食堂に来る)中学生以上の子どもさんまたは保護者さまに対して、自衛隊で勤務するための紹介パンフレットや各種資料のほか、子どもさん向けのグッズなどをお渡しさせてもらえないか」と求めた。

 

 受け入れたのは約10カ所の食堂だった。地本の広報官が制服姿で訪問し、採用案内や紹介パンフレット、自衛隊機のペーパクラフト、缶バッジを配った。

 食堂関係者によると、地本の職員が子どもに直接の、業務の内容を紹介したところもあったという。

 

 防衛庁(当時)は03年4月の事務次官通達で、中学生に対する募集活動は保護者か学校の進路指導担当者を通じて行うとした。地本は毎日新聞の取材に、食堂の関係者や全ての来訪者を対象にしていたとして「広く一般に対して行ったものと認識している」と説明する。「特定の中学生本人に対する直接の募集は行なっていない」と通達違反に当たらないとの認識だった。防衛省も取材に同じ見解を示した。

 

 一方、地本は募集活動であることを否定しなかった。また、直接、子どもに話しかけたケースがあり、年齢を確認していなかったことも認めた。3回にわたって職員が訪れた食堂の運営者は「子どもたちは制服姿の自衛官を見て目を輝かせていた。興味を持たせるには効果的」とした。ただし、「食堂は小学生が多く、高校生以上のボランティアはいつどれくらい来るの分からない。応募につながると思えない」とも話した。

 

 地本からメールが届いたが、受け入れを見送った食堂運営者は「安心して食事できる場所を提供する食堂の趣旨に自衛隊の募集は合わない」と語った。

 事務次官通達の作成に携わった防衛庁元幹部は「当時のことははっきりと覚えていない」としながら、募集活動は保護者か学校の進路指導者を通して行うとした通達の趣旨について、子どもの判断能力への配慮だったと説明した。「当時は子ども食堂がほとんどなく、募集活動は想定していなかっただろう」と語った。

 

 名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)は「話しかけるなどの行為があったのであれば通達違反」と指摘。子どもの年齢を確認していない点も問題視した。

 

 子ども食堂が子どもや地域住民に無料や安価で食事を提供する場所であることを踏まえ、憲法が保障する幸福追求権や職業選択の自由などを挙げて「経済的、精神的に弱っている子どもの弱みにつけ込むことにもなりかねない」とも言う。「募集活動に嫌気がさして、子どもが食堂に来なくなれば自衛隊が食事の機会を奪うことになる。今回の手法が各地に広がる懸念もある」と話した。

 

 背景に定員割れ

 

 今回の募集活動の背景にあるのは、自衛官の不足や応募者の減少とみられる。23年3月末は約24万7100人の定員に対し、実数が満たせない状況が続いている。

 防衛白書によると、防衛大学校などを含めた自衛官の応募総数は減少傾向にあり、22年度は約7万5000人で、この10年で35%近く減っている。道外の地本関係者は「ウクライナの戦争や台湾海峡の緊張の影響もあり、応募者が減っている」と明かす。

 

 防衛省は「さまざまなご意見を踏まえ、国民から理解いただけるように、引き続き適切に対応する」としている。

【片野裕之、写真も】

 

「毎日新聞」2024年7月7日付け朝刊  引用

 

(コメント)

 

 二つの問題がある

第1は、自公政権が危機感を煽り、自衛隊が専守防衛から米軍の指揮のもとで侵略戦争を行う軍隊になりつつあることを高校生はじめ若者は敏感に感じ取っている。

 いわば、自衛隊への入隊は危ない!と。

 ましてや、日本では人不足で、どの業界もきそって労働者を囲い込み始めている。

 結果、自衛隊への応募者が減少することは当然と言える。

 ましてや、自衛隊にはセクハラ裁判で敗訴したにもかかわらず、組織として改善されず相変わらずハラスメントが横行している実態がある。

 

第2は、なぜ子ども食度に募集活動したのか?と言うことである。

経済的徴兵制という言葉があるが、家が生活困窮である弱みにつけ込んで勧誘したのであれば言語道断である。

 

 いずれにせよ、子ども食堂への自衛隊募集広報活動は防衛事務次官通達にも違反しており、直ちにやめるべきだ。