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 2020年1月に甲府市役所庁舎で自殺し、公務災害に認定された元市職員の向山敦治さん=当時(42)=の遺族が、市に安全配慮義務を怠ったとして損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が11日、甲府地裁(新田和憲裁判長)で開かれ、結審した。判決は10月22日。

 

 この日は双方が準備書面を提出した。原告側は、向山さんが業務で使用していたパソコンなどの記録から自殺する2カ月前は1カ月間で200時間を超える時間外勤務があったなどと主張。向山さんが担当した事務効率化組織係の業務について「市の基幹的業務の配置で知識、経験がない中、1人で遂行することが求められる立場」とし、質的にも業務が過重だったと強調した。

 

 市側は前任や後任職員の業務遂行状況と比較し、「職場の他の係と比較して質的に過重ではなかった」と反論。パソコンの稼働時間には私的なインターネットの利用があったとし、「在庁時間を勤務時間であるとみなすことはできない」とした。

 一方、地裁は原告側が申請していた市長と当時の総務部長の証人尋問について「必要性がない」として却下した。

 

 訴状などによると、向山さんは自殺直前に精神疾患を発症。遺族は「長時間勤務と発病との因果関係は明らかだ」などと安全配慮義務違反を指摘し、約8千万円の損害賠償を求めている。地方公務員災害補償基金県支部は22年3月、向山さんの公務災害を認定した。

〈秋田大輝〉

 

「山梨日日新聞」2024年6月12日付け朝刊  引用