仲間の皆様

 

 厚生労働省は14日、65歳以上の高齢者が2024〜26年度に支払う介護保険料の全国平均が月額6225円になったと発表した。前期の21〜23年度に比べて211円(3、5%)増加した。過去最高を更新し、00年度の制度開始当初(2911円)の2、1倍となった。高齢化の進展に伴う介護サービスの利用者増などが影響した。

 

 一方で、保険料が最も高い大阪市は最も低い東京都小笠原村の2、74倍に上るなど、「格差」が出ている。

 各市町村(1573団体、一部広域連を含む)は3年に一度、介護サービスの量を予測して保険料を決めており、厚労省が集計している。市町村別にみると、保険料が最も高かったのは大阪市の9249円で、前期と比べて1155円増加した。次いで大阪市守口市の8970円(前期比2222円増)、同府門真市の8749円(同2001円増)と大阪府の自治体が名を連ねた。厚労省によると、守口、門真両市は介護保険を共同運営する広域連合を解消し、介護給付費準備基金の取り崩しができなかったことが影響したという。

 

 保険料が最も低かった小笠原村は3374円で前期と同額だった。格差が生じている点について、厚労省は「サービスの提供や高齢者の人口比率の違いによる」などと説明している。

 

 前期より保険料を引き上げたのは712団体(45、3%)で、据え置いたのは585団体(37、2%)、引き上げたのは276団体(17、5%)。

【阿部絢美】

 

 大阪市が最高9249円 独居多く

 

 介護保険料が全国最高月額となった大阪市。市によると、その背景には1人暮らしや市民税非課税の高齢者の多さがある。2020年の国勢調査によると、高齢者のいる世帯に占める独居高齢者の割合は45、0%で、全国平均(29、6%)の1、5倍超となっている。

 

 市によると、23年の市内の独居高齢者の要介護認定率は38、6%で、2人以上で暮らす高齢者の約2倍に上った。独居高齢者は、掃除や買い物など日常生活でも介護サービスを利用する傾向があるという。

 

 さらに、21年の国の統計では、市内の高齢者のうち、全員が市民税非課税の世帯にいる高齢者の割合は49、3%と、全国平均のはじ、33、2%を大幅に上回る。介護保険料は所得が低いほど安くなるため、市全体の費用を賄うには保険料を上げる必要があるという。

【長沼辰哉】

 

「毎日新聞」2024年5月15日付け朝刊  引用