仲間の皆様

 

 小堀  聡  京都大准教授(日本経済史)。1980年生まれ。

 

 今年は自由民権運動の開始から150年。中心的役割を担った政治団体・立志社は、1874年4月に高知で結成された。

 

 自由民権運動といえば、何よりまず、指導者の板垣退助が思い浮かぶ。とはいえ歴史家の藤原辰史も言うように、運動の現場には、板垣一人では語り尽くせないような、幅広い営みが存在していた。

 

 たとえば、楠瀬喜多。日本で初めて女性投票権を公然と要求した人物だ。彼女の行動は、立志社の政治演説会を傍聴するなかで、自分でも権利や義務を主張できると確信したことに根ざしていた(公文豪「『民権ばあさん』楠瀬喜多小論」)。

 

 運動の盛り上がりを恐れる政府は弾圧を強化する。高知の民権派新聞も、たびたび発行禁止処分を受けた。発禁への抵抗として、民権派が開いたユニークな催しが「新聞の葬式」。「死亡広告」を出し、発禁紙を棺おけに入れた葬列が高知市街を練り歩く。「火葬」まで行う徹底ぶりであった。1万人が参列したとも言われる。

 

 150年前と比べれば、日本の政治活動は格段に自由になった。だがこれと反比例するかのように、投票率は低調だ。それどころか、昨年後半から続く自民党のスキャンダルは、政治への不信をさらに加速させている。一方で、自民党を最も正面から批判する共産党も、退潮が止まらない。

 

 「自由は土佐山間より出づ」。立志社の本拠地跡に建つ石碑の文言だ。この気概とそれに根ざした創意工夫があるか。与野党を超えて問われている。

 

「毎日新聞」2024年4月25日付け朝刊  引用

 

(コメント)

 社会での富者、貧者の格差が拡大しています。

 自民党は、富者のための政治を一層進めています。

 

 多数の国民は、生活に不満はありますが団体を通じて政治活動することはありません。

 このことがいっそう自民党が裏金まで作って、自分勝手に政治を行う要因ともなっていると思われます。

 

 国民が生活のためにも社会に批判的な目を向け、政治を変える行動が、今こそ必要と言えます。