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 小学生生の社会科見学の案内を約9年間担当してアスベスト(石綿)を吹き付けた水道施設の一室に入り、がんの一種の中皮腫を発症したとして、元兵庫県宝塚市職員の男性(68)が公務員の労災にあたる公務災害と認定された。1回あたりの入室時間は約10分だったが、支援団体は「入室時間は短くても、毎回アスベストを吸い込んでおり、因果関係が認められた珍しいケースだ。今後の被害救済につながる」としている。

 

 NPO法人ひょうご労働安全衛生センターが29日、記者会見して明らかにした。センターや男性によると、男性は1982〜91年に市上下水道局の小林浄水場で勤務。2022年に健康診断で胸部に異常が見つかり、23年にアスベスト関連がんの悪性胸膜中皮腫と診断された。公務災害認定を求めて同年2月に地方公務員災害補償基金に請求し、24年1月に認定を受けた。

 

 男性は浄水場で水質検査の担当だったが、人手不足で小学4年の見学を引率し、説明役を務めた。壁や天井のほぼ全面にアスベスト何吹き付けられたポンプ室に入室。アスベストは劣化しており、触れると飛散したり、通路の床に積もっていたりしていたという。

 

 案内を続けた約9年間で、1回あたりの入室は約10分で、年間15〜20回だった。基金は「石綿を吸い込む業務に認定基準の1年以上従事していたと認められ、それ以外では確認できない」とし、業務の因果関係を認めた。センターの西山和宏事務局長は「公務員の石綿被害は潜在している可能性があり調査が必要だ」としている。

【土居和弘】

 

「毎日新聞」2024年3月30日付け朝刊  引用