宝塚歌劇団(兵庫県)の劇団員の女性(当時25歳)が2023年9月に死亡した問題で、遺族側弁護士は27日、東京都内で記者会見を開き、歌劇団側が上級生らの言動をパワーハラスメントと認め、謝罪する意向を示したことを明らかにした。23年11月に歌劇団が公表した調査報告書ではパワハラと認定されておらず、歌劇団側が方針転換した形だ。ただし、一部の言動についての見解や謝罪文の内容などについて隔たりがあり、交渉を継続するとしている。

 

 (中略)

 

 川人弁護士によると、歌劇団側は15件のうち、具体的にどの行為をパワハラと認めるか明らかにしていない。歌劇団側とのやりとりから、遺族側が示した15件のうち、約半数については歌劇団側もパワハラと認め、残りを一部否認、もしくは完全否認していると推測されるという。

 

 上級生がヘアアイロンを押し当てて女性の顔にやけどをさせた件については、上級生の行為によってやけどをしたこと自体は認めているものの、わざとかどうかや、上級生がヘアアイロンを使った経緯、やけどの程度などを巡って双方の見解が異なっているという。

 

 川人弁護士は、歌劇団側がハラスメントを認めるまで長くかかった理由について「パワハラの行為者を守ろうとしていることと、劇団幹部がハラスメントに関する知識に乏しいことがある」と指摘。「(歌劇団側は)上級生の言い分をそのまま受け入れる傾向が強い。事実に即すべきだ」と訴えた。

 

 宝塚歌劇団は「ご遺族の皆様には心よりおわび申し上げます。弊団といたしましては、当該経過報告について現時点でコメントすることは差し控えますが、ご遺族との合意書の締結に向けて引き続き協議してまいります」とのコメントを出した。

【藤沢美由紀、奥山はるな】

 

「毎日新聞」2024年2月28日付け朝刊  抜粋引用

 

 今も在団の妹「命に向き合って」