仲間の皆さん

 

 理科の実験の準備が原因でアスベスト(石綿)関連がんの中皮腫を発症したとみられるとして、69歳で死亡した元小学校教諭の男性が、公務員の労災にあたる公務災害と認定された。遺族への取材で判明した。かっては実験器具に石綿が使われており、飛散した粉じんを吸ったとみられる。石綿による教員の労災認定は事例が少なく、専門家は「氷山の一角だ」と指摘している。

 

「ランプから粉じん」

 

 和歌山市立小学校の教諭だった山東日出男さんは1977年から2013年にかけて、主に高学年の授業を担当した。21年に中皮腫を発症し、手術担当医からは「石綿が原因」告げられた。公務災害認定を求めて地方公務員災害補償基金に請求していたが、22年4月に死亡。24年1月、妻が認定通知書を受け取った。

 

 山東さんは基金への申立書で「理科の授業の準備で、アルコールランプの石綿製の芯の上部をさばいて燃えやすようにした。飛散して落ちた粉じんの掃除もした。当時は石綿の発ガン性を知らず全く無防備だった」と説明していた。ランプで熱するビーカーを置く金網も、石綿で耐火被覆されたものを使っていた。

 

 石綿は古代よりランプの芯に使われていたが、石綿製のひもを接断すると、粉じんになりやすいとされる。厚生労働省は04年に石綿の製造、使用を原則禁止にしており、現在、日本製のじっけんに石綿は使われていない。

 

 妻は「病気をしたことがない人だったので診断を聞き、まさかと思った。主人は戻ってこず無念だが、認定に喜んでいると思う」と話している。

 

 教員の石綿による労災が表面化したのは今回で10人目。実験器具に含まれる石綿が飛散していたなどとして、大学教員らの労災が認められている。しかし、環境再生保全機構の調査では、労災の対象にならない人にも医療費などを支給する「石綿健康被害救済法」に基づき認定された中皮腫患者のうち、242人が教員経験者だった。

 

 中皮腫・じん肺・アスベストセンター(東京都)所長の名取雄司医師は「教員の労災認定が10人程度とは極めて少ない。石綿が吹き付けられた建物内にいて労災認定されるケースは多いが、同じ状況でも教員では特別なことがない限り公務災害として認められないなど、審査が厳し過ぎ、改善を要する。教員もあきらめずに災害認定を求めてほしい」と話している。

【大島秀利】

 

「毎日新聞」2024年2月20日付け朝刊  引用

 

 

 学校で、石綿は何に使われてきたのか!

 今回のように、理科の実験器具であるアルコールランプ、学校の体育館、はよく知られています。

 

 他は?

 周知するパンフレットなどがもっと必要と思われます。

 

 文科省はもちろん、日教組など教員の労働組合は、ぜひ石綿被害周知のパンフレットなど作成してほしいところです。