働く仲間の皆さん。

  物価高騰が進み実質賃金は下がり続けています。

  労働者の賃金引き上げは労働組合自身が抑制してきたこともあり、わずかなものとなっています。結果、非正規労働者の急増

 ともあいまって1997年以降賃金は減少してきています。

   

  職場で黙っていても賃金は上がりません。労働組合がある職場では、2月から3月に賃金引上げ等の要求を行っていきます。

  職場に労働組合がない職場においても、この機会に「職場にユニオンを作り加入し」会社に賃金引き上げを求めましょう。

  職場に、ユニオン・労働組合がなければ、賃金引上げ等を要求し交渉することさえできません。

  

 

  以下、山梨ユニオンは全国ユニオンの24春闘方針を踏まえ、組合員や働く仲間の皆さんに「山梨ユニオン 24春闘方針」

 を提案させていただきます。

  働く仲間の皆さんの賃金引き上げ要求の一助になれば幸いです。

 

  また、職場で「賃金引き上げを求めたいが、どうやって要求したらよいかわかりません」などの質問等は

   山梨ユニオン 055-287-8113 まで問い合わせください。

   皆様の要求をサポートさせていただきます。

 

   よろしくお願いいたします。

 

 山梨ユニオン 

  2024春闘方針

 

1. 労働時間短縮 8時間労働制のILO条約1号条約の批准・実現

   を!

   8時間働いて生活できる賃金を!

2. 裁量労働制の対象拡大・解雇の金銭解決など反対!

3. 格差是正・均等待遇 ILO条約175号条約の批准を!

   最低賃金1500円!憲法25条「生存権」の実現を!

4. 解雇・雇止め反対! 無期雇用転換実現!

5. 「私達は99%」世界の働く仲間、正規も非正規も働く仲間、連帯

   し一緒に闘おう!

6. 円安・物価高騰による生活苦に対し、労働者のくらし・権利を守る

   ために「職場にユニオン」を!ユニオン・合同労組の全国的連携・

  大同団結を進めよう!

 

はじめに 

 世界の資本主義が市場競争を進めた結果、2008年のサブプライムローンの破綻から金融崩壊へと進みました。「世界不平等研究所」によれば、世界の上位1%の超富裕層の資産は2021年、世界全体の個人資産の37.8%を占め、下位50%の資産は全体の2%にとどまりました。

 新自由主義によってもたらされた世界的規模の貧困と格差拡大・二極化に抗して、アメリカでは「私たちは99%」の運動が生起し若者たちは格差是正を求めています。UWAはじめアメリカの労働組合はストライキで要求を獲得しています。ヨーロッパでは、ギリシャやスペインでは格差是正を求めた政党連合が選挙で政権を一時獲得し勢力を維持しています。韓国でもキャンドル革命により非正規労働から正規への転換を実現し最低賃金も大幅にアップすることができました。しかし一方、世界的にトランプ前大統領に見られるように、保護主義、排外主義的な自国第一の流れもおおきなものとなってきています。

 ロシアによるウクライナ侵攻は、各国での軍備増強や軍事同盟の拡大強化を進めると同時に、世界的な食糧・資源高騰を招きました。

 国内では、故安倍元首相が進めたアベノミクスにより、富裕層への富の占有に拍車がかかり、企業の内部留保は約555兆円にものぼります。その一方で、貧困と格差拡大・二極化が進んでいます。高齢者への健康保険自己負担増、社会保険料負担増、消費税増など国民から収奪する政策が続けられています。物価高騰が進み、多くの働く仲間は生活苦を強いられています。にもかかわらず、岸田政権は所得再分配を行うのではなく増税で軍事費倍増の大軍拡を図ろうとしています。

 こうしたなか、一人でも加入できる全国各地のユニオン・合同労組が、労働者から期待され奮闘しています。

 

Ⅰ.私たちをとりまく状況について

1.勤労者をとりまく状況について 低賃金労働者増大 ~国栄えて、民

 滅ぶ~

(1)国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」(2023年9月)貧困と

  格差拡大、国税庁「令和4年民間給与実態統計調査」(1年を通じて

  勤務した給与所得者約5,078万人)よれば、働いても生活が困難な

 「ワーキングプア」と呼ばれている年収200万円未満は1,041万

  人で20.5%。年収300万円未満は1,760万人で341%、

  年収400万円以下は約2,600万人で51.1%にのぼっていま

  す。

  民間労働者の約半数が400万円以下の年収です。このことは1995

  年「新時代の日本的経営」を基に自公政権と経営者団体が労働者を低

  賃金で必要な時に必要なだけ使う雇用流動化政策を続けてきた結果で

  す。

 

(2)賃金減少 1997年(26年前)頂点 賃金が9万円減少

  国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」(2023年9月)によれ

  ば、1997年から2022年までの約四半世紀に、民間企業で働く労働者

  の平均年収は467万円から458万円、と9万円減少しました。労

  働者の実質賃金は減少するばかりです。

 

(3)生活保護者世帯数「2023年10月4日厚生労働省公表」 

  2023年7月の生活保護受給世帯数は、1,650,492世帯とな

  り、対前年同月比8,093世帯増(0.5%増)。物価高騰による

  生活苦から増加しています。

 

(4)「2022年国民生活基礎調査」相対的貧困率・子どもの貧困率

 「2022年国民生活基礎調査」によれば、日本の相対的貧困率(*1)

 は15.4%(2021年)、子どもの貧困率は11.5%であり約9人に1

 人が貧困です。1人親世帯の貧困率は44.5%で、約半数が貧困状態で

 す。17歳以下の人口は、約1880万人ですから単純計算すると約200

 万人強の子どもが貧困状態で生活していることになります。

 

(5)2023年7月4日厚生労働省公表「2022年国民生活基礎調査」生活意

  識調査によれば、世帯総数は5431万世帯であり、世帯の所得分布は

  400万円未満が40.3%。中央値は423万円。生活意識として

  は「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)が、51.3%と

  約半数以上。各種世帯で「苦しい」の割合は「母子世帯」が75.

  2%、「児童のいる世帯」が54.7%。 

 

(6)労働現場の三大格差 厚労省「2021年賃金構造基本統計調査」か

  ら

 職場の3つの格差(企業規模別・男女・雇用形態)

①  企業規模別賃金(男女計)100:86.0:81.0

1000人以上    348,300円(100.0)

100人~999人  303,000円(86.0)

10人~99人    284,500円(81.0)

  男女計の賃金は、大企業を100とすると小規模企業は約8割です。

②  性別賃金格差・雇用形態格差

(男性正規)100:(女性正規)78.0:(男性非正規) 62.0:(女性非正規)56.0

 ア) 正社員・正職員(男性)  353,600円(100)

 イ) 正社員・正職員(女性)  276,400円(78.0)

 ウ) 非正規社員(男性)    221,300円(62.0)

 エ) 非正規社員(女性)    198,900円(56.0)

  男性正規を100とすると女性非正規社員の賃金は、男性正社員・正

  職員の約半分の賃金です。

 

(7)厚生労働省「賃金不払いが疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)」

(支払額が1企業100万円以上となった事案)によれば、2022年度の賃金不払い件数は、金額が121億2,316万円、対象件数は20,531社、対象労働者数は179,643人。労働者は1人約7万円ただ働きをしている実態です。

 

2.    企業の収益は 内部留保約555兆円

「財務省令和4(2022)年度法人企業統計調査」(2023年9月1日公表)

企業の利益剰余金(内部留保)は11年連続で過去最高の、554兆7,777億円(金融・保険業除く)です。内部留保は、2012年度から2022年度の11年間で約255兆円も増額しました。アベノミクスによって企業は内部留保を急増させました。

 

用語解説 *1 相対的貧困率

全世帯の可処分所得を1人当たりに換算し、これを高い順に並べて、真ん中の可処分所得額(中位)の半分未満の人の割合をいう。たとえば、2021年では一人当たり可処分所得の中央値は254万円であるため貧困線はその半分の127万円となり、可処分所得が127万円に満たない子どもが相対的貧困に該当する。なお、2021年からは新基準の数値である。

新基準は、可処分所得の算出に際して、企業年金掛金や仕送り、自動車税等は支出に加えられている。

 

Ⅱ.2024春闘  要求の基本は、「正規も非正規も、ともに生きよう春闘」 

1.    賃上げ要求  要求できる職場では要求しよう!

(1)正規労働者  要求 平均賃上げ(定昇込み)6% 15,930円

  (定昇相当分5,310円+賃上げ分・物価上昇相当分・格差是正分10,620円)

   * 1ケ月(31日)の法定労働時間の上限

「1ケ月31日÷1週間7日×40時間=177時間」

最低時給1500円×177時間=265,500円を1ケ月賃金として想定

 

(2)非正規(パート・アルバイト・派遣)など時給労働者  

   要求 ○時給 90円以上  日額 720円以上

      ○誰でもどこでも今すぐ時給1,500円以上

  (憲法25条「全ての国民は健康で文化的な生活を営む権利がある」に

  基づく最低限度) 

 

2.    職場点検 時間短縮、均等待遇、60歳以降の生活できる賃金での雇用確保、最賃1500円、有期雇用・派遣労働者・外国人労働者の権利確立、解雇の金銭解決反対

(1)職場総点検 法令順守の徹底を。

   改正職安法(固定残業代の計算方法・固定残業代を除外した基本給

   の明示)の徹底

(2)労働時間年間1800時間 1日8時間労働のILO1号条約(*2)

   の批准・実現

(3)カズタマーハラスメント対策含むハラスメント対策「労働協約」締

   結

  「パワーハラスメント防止措置」(中小企業も2022年4月1日義務

   化)

(4)均等待遇の実現 ILO175号パート労働条約の批准

(5)職場に安全衛生委員会設置 非正規労働者も安全衛生委員に選出 

   ストレスチェックを職場改善に活用

(6)60歳以降の生活できる賃金での雇用について「労働協約」締結

(7)有期雇用労働者 労働契約法18条に基づく無期雇用転換

   パート・有期法(大企業2020年4月1日、中小企業2021年4月1日施

   行)に基づく均等待遇

(8)派遣労働 偽装請負など違法派遣に対して労働契約申込みみなし制

   度の活用

(9)低賃金労働者の底上げ・最低賃金1500円

   自治体非常勤・委託などの官製ワーキングプアをなくすために公契

   約条例制定

(10)障がい者の「法定雇用率」実現、障がい労働者の権利擁護

(11)外国人労働者の権利を擁護し連携を進める 外国人技能実習制度廃

   止

(12)解雇の金銭解決制度反対、労働法の規制緩和反対

 

3.生存権(憲法25条)の実現 最低賃金1500円・生活保護費削減反対!

 物価高騰で生活困窮者が増大しています。生活保護が増え続けていますが政府は生活保護費削減をしてきています。憲法25条の生存権を実現するために最低賃金1500円を求め、同時にまた生活保護費削減に反対します。

 

4.職場にユニオンを!ユニオン・合同労組の全国

  的連携と大同団結を!

 日本の労使関係は、①終身雇用制度、②年功序列制、③企業内労組によって成立していました。しかし、1995年日経連(当時)が打ち出した「新時代の日本的経営」によって、一部大企業や公務部門を除き、この労使関係のなかで①②は崩れさり、約2000万人、全労働者の4割にも及ぶ大量の非正規雇用労働者の大群が登場しました。結果、日本の労使関係の土台はすでに崩壊し始めているといえるでしょう。これが、労働組合のおかれている現状で推定組織率は過去最低で全国で16.3%。仮に100人の職場と考えると約16人の組合員しかいない少数組合となっています。

 歴史的に、非正規労働者等不安定労働者の大群の登場とともに生まれ、ともに連帯して闘おうとする労働組合にとって「今こそ職場にユニオンを」を掲げ、同時にまたユニオン・合同労組の全国的連携・大同団結を作り上げる時です。

 

用語解説 *2 ILO第1号条約

 「工業的企業における労働時間を1日8時間かつ1週間48時間に制限する法律」(日本は未批准) 理由「わが国では36協定で超勤ができることになっており、第1号の趣旨とはやや違う」(森川労働課長 昭和47年4月26日)

 

Ⅲ.闘いの進め方

1. 春闘方針の提案 1月拡大事務局会議(1月19日)で、提案

2. 前段での職場点検 春闘時にかけて、36協定など働く職場の点検を

  行います。

3. 春闘方針の確認  2月拡大事務局会議(2月16日)で、協議確認

  します。

4. 職場での要求書提出

  春闘要求できる職場では、3月上旬までに要求しましょう。

   要  求 3月上旬   回答指定 3月中旬  交  渉 3月中旬以降

 

 [活動日程]

[1月]

1月 6日(土) 全国ユニオン2024旗開き(東京) 

1月19日(金) 第4回執行委員会・拡大事務局会議 (2024春闘方針案提案)

 1月27日(土)

~28日(日) パルシステム関連労協  2024春闘合宿

[2月] 

2月 3日(土) 新年会(旗開き)

2月 9日(金)

 10日(土)「雇用・生活ホットライン」

16日(金)第5回執行委員会・拡大事務局会議(2024春闘方針協議・確認)

     全国ユニオン 2024春闘開始集会(東京)

17日(土)労働弁護団 労働法講座(東京)

       2月中 春闘前段 職場の法令順守チェック

[3月] 

3月   上旬 要求提出  中旬 回答指定日  下旬 団体交渉

3月15日(金)第6回拡大事務局会議(予定)