仲間の皆さん

 

 子育てと家族の介護がいっぺんに重なる「ダブルケア」に直面する人が、全国に少なくとも29万3700人いることが判明した。毎日新聞が国の統計から推計値を独自に分析した。30〜40代の働く世代が9割を占め、離職を迫られる人も少なくない。超高齢社会や晩婚・晩産化を背景にダブルケアが広がり、社会を支える現役世代により重い負担がのしかかっている実態が浮き彫りになった。

 

 (3面に関連記事)

 

 本文(略)

 

 国は正確な実態把握を

 

 英ブリストル大の山下順子上級講師(社会政策学)の話

 少子化で子どもの人口が減っているにもかかわらず、ダブルケアを担う人は確実に増えていることを裏付けた有意義な集計と言える。社会の中核を担う30〜40代を直撃し、経済的な負担が顕著になっていることを浮き彫りにした点も重要だ。

 

 ただ、「29万人」という数字はあくまで推計人口で、実態の一部に過ぎないと考えるべきだろう。

 国の就業構造基本調査は育児の対象を未就学児に限っているが、小学生や中学生になっても子育ては終わらない。介護も入浴や排泄などの身体介護のみを想定し、見守りや買い物など生活援助のような身近な世話に追われる人は含まれていないからだ。

 

 日本には、ダブルケアの詳細な実態を追跡した統計がない。国は全国調査で正確な状況や課題を把握し、育児と介護の負担を包括的に軽減する社会的な支援の仕組みを作るべきだ。

 

 「毎日新聞」2024年1月22日付け朝刊  引用