行政視察(糸魚川市) 大火からの復興・まちづくり | 立川市議会議員/公明党 高口やすひこブログ

行政視察(糸魚川市) 大火からの復興・まちづくり

9日、公明党会派で、新潟県糸魚川市(糸魚川市駅北広場キターレ)へ『糸魚川大火における住民の行動と、その後のまちづくり』について、視察しました。

 

はじめに、糸魚川市駅北大火記録映像(一般向け)を視聴し、概要・復興の説明を受けました。

 

糸魚川市駅北大火は、2016(平成28)年12月22日(木)10時20分頃に発生し、翌23日(金)16時30分の鎮火に至るまでの約30時間続いた市街地大規模火災です。原因は、ラーメン店の大型コンロの消し忘れ。12月22日に災害救助法の適用、同30日に被災者生活再建支援法の適用を受けています。※震災を除く火災としては、初めて自然災害として認定

 

冬場には珍しいフェーン現象で、気温18.4℃、湿度54.7%、最大瞬間風速27.2m/s 南南東の台風並みの強い風が1日を通して吹き抜けていました。この強風により飛び火が発生、同時に何カ所からも火の手が上がりました。これが大規模火災となった一番の要因です。

 

糸魚川市は、日本海と北アルプスの山々に囲まれた街で、姫川の扇状地にあります。谷を吹き抜ける南風は乾燥し強風となり、昔から「蓮華おろし」「じもんの風」と呼ばれ、注意するよう語り継がれてきたそうです。昭和3年、7年、29年にも大火が発生しています。

 

今回の延焼が拡大した理由の1つに、昭和7年の大火の後に再建された古い木造住宅が、軒を連ねていたことが挙げられます。燃えやすい木造住宅が密集し、適度な公園・空地が少なく、消防車両が入れない狭い路地が多かった等の悪条件も重なっています。強い南風に煽られた炎は、日本海に向かって次々に飛び火し、同時多発的に延焼・拡大しました。消火活動は困難を極めています。

 

消防出動状況は、
22日、消防車等122台、人員は997人。
23日、消防車等113台、人員は890人。
計、消防車等235台、人員は1,887人にのぼります。

 

県外からも多くの消防車等、人員が応援に入り、陸上自衛隊等関係機関、建設業関係など民間企業等の協力も頂き、官民一体となっての消火活動をされています。

 

焼失面積、約40,000㎡。焼損棟数147棟(全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟)。ただこれだけの被害がありながら、出火が日中であったこと、近所同士の声掛け、行政による避難勧告と誘導などの連携により、犠牲者は出ていません。

 

発災直後から、首長と被災者の対話の場、被災者説明会が開催されます。12月28日を皮切りに、2020年11月9日まで全23回開催されています。さらにもっと小さな単位で、各ブロックごとの相談・対応もされています。その中で、翌2017(平成29)年8月22日に、「糸魚川市駅北復興まちづくり計画」を策定・公表されています。

 

3つの方針
①災害に強いまち
②にぎわいのあるまち
③住み続けられるまち

 

6つの重点プロジェクト

1 大火に負けない消防力の強化

2 大火を防ぐまちづくり

3 糸魚川らしいまちなみ再生

4 にぎわいのあるまちづくり

5 暮らしを支えるまちづくり

6 大火の記憶を次世代につなぐ

 

災害に強いまちづくりとして、被災地内の市道拡幅、消火設備を備えた防災公園の整備、本町通りにおける延焼遮断帯の整備、建築物の不燃化助成、初期消火体制の強化(40ミリ小口径ホースの整備)、新たに整備された(本日、説明を受けた)にぎわい創出広場・キターレと、海望公園駐車場地下に大型防火水槽の設置などが行われています。

 

住み続けるまちづくりとして、復興市営住宅を整備されています。戸建て再建を断念された被災者の住まいの確保と地域コミュニティの維持・活性化。訪問医療診療所を住宅内に誘致し併設されています。専門家による設計で、おしゃれな市営住宅です。

 

説明を受けた後、実際に被災エリアを歩いて確認しました。狭隘道路の拡幅、防災倉庫・防災公園の整備、市営住宅等、再度説明を受けました。

 

街並みからは、大火からの復旧・復興が素早かったものと思います。素晴らしいです。

 

また、糸魚川市は自治会加入の概念がなく普通だそうです。すなわち、ほぼ100%です。1自治会当たり、200~300名程で、人間関係ができています。逃げ遅れ確認、安否確認等がスムーズで、犠牲者ゼロの強固な理由と思います。

 

立川市内においても、木造建物が密集している地域があります。大規模火災が発生しないとは言い切れません。対策を急がなければと思います。

 

本日はとても勉強になりました。私たち公明党会派の視察を快く受けて頂き、丁寧なご説明、並びに街歩きに同行して頂いたキターレ職員、都市政策課の井伊隆広氏をはじめ関係者の皆さまに心からの感謝を申し上げます。