共生社会と人権に関するシンポジウム ~多様性と包摂性のある社会を目指して~ | 立川市議会議員/公明党 高口やすひこブログ

共生社会と人権に関するシンポジウム ~多様性と包摂性のある社会を目指して~

3日、人権ライブラリー/公益財団法人人権教育啓発推進センター主催『令和5年度法務省委託事業 共生社会と人権に関するシンポジウム ~多様性と包摂性のある社会を目指して~』をオンライン視聴しました。

 

はじめに、”「ヘイトスピーチ解消に向けた取組」 ~川崎市の取組を例として~”と題して、川崎市差別防止対策等審査会会長・法務省元人権擁護局長の吉戒修一氏より、基調講演がなされました。

 

特定の国の出身者であること又はその子孫であることのみを理由に、日本社会から追い出そうとしたり危害を加えようとしたりするなどの一方的な内容の言動が、一般に「ヘイトスピーチ」と呼ばれています (内閣府「人権擁護に関する世論調査(平成29年10月)」より)。

 

2013(平成25)年以降、東京、大阪、川崎などでヘイト街宣活動が激化しました。翌2014(平成26)年、国連・人種差別撤廃委員会は日本に勧告を出しています。そして、2016(平成28)年に、”本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(ヘイトスピーチ解消法)”が成立・施行されます。ただ、いわゆる「理念法」であり、禁止・罰則規定はありません。

外務省:人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)

 

川崎市では、2013(平成25)年から2016(平成28)年にかけて、JR川崎駅前等で、本邦外出身者の排斥を訴えるデモが多数回行われ、社会問題化しました。その後、2019(令和元)年、”川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例”が成立、令和2年7月1日全面施行されました。

 

主な目的は、ヘイトスピーチの禁止と差別防止対策等審査会の設置です。取組としては、公共の場所でのヘイトスピーチの禁止、違反行為をした者に対する勧告、命令、公表・罰則になります。また、インターネット上の特定の市民等に対するヘイトスピーチの拡散防止措置・公表です。

 

公共の場所でのデモ等に関する審査会は、諮問されたことが無いそうです。一方、ネット上に関する諮問は、頻繁にあるそうです。デモ等では、面が割れてしまいますが、ネット上は匿名です。サイト運営者に削除要請し、その旨を公表するそうですが、強制力はありません。令和5年度、159件の諮問があったそうです。ただこれも、氷山の一角に過ぎず、事案はもっとあるとのことです。

 

ヘイトスピーチの解消のための持続的な啓発活動の実施、学校や企業等のおける分かりやすい啓発活動の実施が大切になります。

 

次に、”「共生社会の実現に向けて」 ~今、私たちにできること~”と題して、企業、自治体、大学等の関係者によるパネルディスカッションが行われました。

 

パネリストに、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗氏がいらっしゃいました。ラグビー・ワールドカップ等を通して始められた、世界各国の国歌斉唱のプロジェクト”Scrum Unison”を紹介されました。これは、素晴らしいと思います。

 

パネリストに、京都外国語大学・国際貢献学部教授のジェフ・バーグランド氏がいらっしゃいました。氏が下記の類を言われたことが印象に残っています。

 

”己の欲せざる所は人に施すこと勿れ”とは、孔子(論語)の言葉です。
”何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。”とは、マタイの福音書の言葉です。

 

このどちらも、あくまで自分本位なのです。つまり、自分のして欲しくないことが、必ず、相手もして欲しくないとは、言えない。自分のして欲しいことが、必ず、相手もして欲しいとは、言えないと。時や場合、状況によっても違うかもしれません。大事なことは、相手にとって、どうなのか、よく観察することです。

 

無論、孔子やキリストが言った真意は、相手への思いやりの大切さです。その言葉を否定するものではありません。

 

長時間のシンポジウムですが、素晴らしいです。ありがとうございます。

 

人権ライブラリー:令和5年度共生社会と人権に関するシンポジウム開催のご案内