東京都市議会議員研修会 | 立川市議会議員/公明党 高口やすひこブログ

東京都市議会議員研修会

5日、府中の森芸術劇場で、東京都市議会議長会主催『第62回 東京都市議会議員研修会』が開催されました。

 

会長(国分寺市議会議長 田中政義氏)等の挨拶後、「今後の自治体の課題と議会に期待される役割」と題して、法政大学総長の廣瀬克哉氏より講演がなされました。

 

はじめに、今だからこそ、振り返りをしておかなければならないこととして、コロナ禍の出来事、コロナ禍への対応、そしてポストコロナ、次のパンデミック等への備えについて等、話されました。既にコロナ禍初期から4年が経過し、記憶が薄れていきつつあります。

 

コロナ禍にあって、リスクコミュニケーションの課題がみえた、とされます。日本では、危機が政治的リーダーシップへの評価につながらず、20-21年にコロナ禍の拡大が政権支持率を引き下げました。多くの外国での世論動向は正反対で、支持率を引き上げています。

 

政府、自治体、専門家の全てがバラバラのことを発信し、市民は自分が好むメッセージだけを受け取っていた、とされます。論点の整理は浸透しないままです。また、全国レベルの情報に対してローカルな情報の分析と発信が手薄だった、と。

 

人は確証バイアスを持ち、ネット時代がそれを増幅しています。自分が信じる仮説を支持する情報だけに接する傾向があり、ソーシャルメディアでは自分の意見に反する情報には、自ずと接しなくなります。結果、自分が快適に感じる情報だけに包まれてしまいます。

 

コロナ禍への対応について、改善すべき教訓が各自治体に多々あるはずです。

 

議会としても、議会の機能継続(議会版BCP)が必要です。立川市議会では、オンライン委員会を開催できるよう、立川市議会委員会条例の一部を改正していますが、本会議でのオンライン開催は、まだ整備していません。

 

総務省は、令和5年2月7日付け総務省自治行政局行政課長通知「新型コロナウイルス感染症対策等に係る地方公共団体における議会の開催方法に関するQ&Aについて」を発出しました。

 

所定の手続(条例や会議規則、要綱等の根拠規定の整備や議決又は申し合わせ等)を講じた上で、一般質問に於いては、オンラインによる方法を差し支えないと、見解を示しています。逆に言うと、議案等の質疑・討論・表決については、出来ないとしています。それは何故でしょう。

 

国は、国会におけるオンライン審議の導入を視野に議論を進めています。国においては、国会のみが審議を議決できる唯一の機関だからです。国会が開かれない限り、何も決めることができません。

一方、地方にあっては、議会が議決機関であるとともに、首長による専決処分の機能があります。万一議会が開けなくとも、応急措置ができます。地方議会からすれば、納得できるものではないのですが、大地震災害対応等、事態によっては、止むを得ない場合があります。

 

ただ、国の動向がどうであれ、本会議のオンライン開催への模索を進めなければと思います。もし次に、この度の新型コロナウィルス感染症以上に猛威を振るう感染症が発生し、日本でも長期に渡ってロックダウン(都市封鎖)をしなければならない事態に陥った時、議会が何もできないのは問題です。

 

”行政の足を引っ張らない” かつ ”行政に丸投げしない”。このこと、極めて重要と思います。

 

次に、”住民の目に見える議会、理解できる議会”について、話されました。多くの市民が自治体の「消費者」感覚で、自身が自治体のオーナーであり、運営主体だという感覚が希薄になっています。自身にとって、より良いサービスを提供してくれる自治体に居住するという感じでしょうか。

 

議会、議員の役割りを多くの人に知ってもらうことが大切で、議会と住民との「共同作業」が担い手の発掘につながります。議会による政策づくりへの住民参加(飯綱町モデル)は、突破口になり得るかもしれない、とのことです。

 

住民も参加できる討論の場をもつことも効果的で、決定権を持つのは議員だけですが、議員が判断する際の材料を幅広く獲得できる場であることは、大事です。

 

住民との共同作業で議会を知ってもらう努力を、訴えられました。

 

一般社団法人 地方自治研究機構:地方議会におけるオンライン会議に関する条例

 

「リスクコミュニケーション」:消費者、事業者、行政担当者などの関係者の間で情報や意見をお互いに交換しようというものです。(厚生労働省:リスクコミュニケーションとは