立川教育フォーラム | 立川市議会議員/公明党 高口やすひこブログ

立川教育フォーラム

27日、立川市女性総合センター・アイムで、立川市教育委員会主催『令和5年度 第20回 立川教育フォーラム』が開催されました。

 

はじめに教育委員会表彰が行われました。表彰規定に基づき、16名と1団体が表彰されました。大変におめでとうございます。

 

その1人に、市内企業に所属され、昨年イタリアで行われたフェンシングの世界選手権・女子サーブル個人で金メダルを獲得された江村美咲選手がいます。本日は、ビデオメッセージを寄せて頂きました。ありがとうございます。

 

続いて、児童・生徒による実践発表が行われました。はじめに新生小学校の児童らが、自分たちが飼育したホタルで、”ホタル祭り”を開催するなど、地域活動の様子等を紹介されました。とても素晴らしかったと思います。

 

続いて、”立川市大町市姉妹都市交流・中学生サミット”に参加した生徒らによる、その報告がされました。各市内中学校の生徒会から代表2名が、立川市から大町市へ、1泊2日で交流に行ったのは、4年ぶりになると思います。

 

今年度のメインテーマは、”リアルな体験とリアルな交流を通して、SDGsの理解を共に深めよう”と、されています。天然水の学習として、”サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場”見学、日本で唯一の山岳博物館である”大町山岳博物館”見学、カヤック・サップ体験等が紹介されました。

 

とても勉強になったこと、楽しかったことが伝わってきました。ともに過ごした2日間、学んだことを十分に活かして欲しいと思います。

 

続いて、”広島平和学習”に参加した生徒らによる、その報告がされました。今年度は、各市内中学校から1名、2泊3日で行われました。

 

平和記念公園、原爆ドーム、広島平和記念資料館、原爆死没者慰霊碑、大川小学校平和資料館、袋町小学校平和資料館等を訪れ、原爆を語り継ぐ会ガイドの方からの説明や被爆体験講話の模様を紹介されました。

 

本やネット等で学習することは可能ですが、広島の現地に行って体感すると、平和に対する想いが全く違ってきます。今の気持ちを、生涯忘れないでほしいと、願っています。

 

最後に「デジタル時代の学びの在り方 -生成AI等の利活用も踏まえて-」と題して、東京学芸大学教授、東京都教育委員会委員の高橋純氏より講演されました。

 

IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が作成する「世界競争力年鑑で、2023年、日本の競争力総合順位が過去最低の35位になったことが紹介されました。1990年代初頭、日本は世界1位です。結構、ショッキングな事実です。

 

情報の伝達手段は変化してきました。石板を使用していた時は、紙が最新テクノロジーでした。現在はICTになっています。以前、日本中の駅等に伝言板が設置されていました。伝言板の進化系として、ディスプレイを使用されたこともありましたが、携帯電話の登場でなくなっています。

 

紙のDXが進んでいます。
 第一世代:パソコン等を活用して、紙に出力
 第二世代:PDF等で出力、閲覧
 第三世代:スクリーン 印刷せずスクリーンが前提、画面サイズに合わせて、文字サイズやレイアウトが自動変化(スマホ活用は、ほぼこの世代の表示形式)

 

教員研修のDXが進んでいます。
 第一世代 一斉指導:大型提示装置等の活用
 第二世代 一斉協働:集団的なワークショップ
 第三世代 一人一人が判断・活躍:コンピテンシーベース的

習得アプリのDXが進んでいます。
 第一世代 紙ドリルの単純なデジタル化
 第二世代 アダプティブに習得
 第三世代 コンピテンシーベース的な習得(アウトプット->インプット)

 

このようにまとめられると、よく理解できます。私は教員ではありませんが、第二世代と第三世代の双方でしょうか。

 

Microsoft製AI”Copilot”を紹介されました。第三世代アプリの先端でしょうか、WordやExcel等office製品と連携されます。文章を1から考えて書くことが無くなると思います。

 

文部科学省は、2023年7月、”初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン”を公表しました。(文部科学省:生成AIの利用について)

生成AIの概要として、下記のように記されています。


"これらのAIは、あらかじめ膨⼤な量の情報から深層学習によって構築した⼤規模⾔語モデル(LLM(Large Language Models))に基づき、ある単語や⽂章の次に来る単語や⽂章を推測し、「統計的にそれらしい応答」を⽣成するものである。"

 

岡野原氏によると、この膨大とされる学習量について、「モデルを1回計算するのに必要な総計算量は1秒間に100京回の計算を30日続けるのに相当する量」であり、「単純な比較は難しいが、スーパーコンピュータ富岳全体を2か月占有して学習する規模」と、説明されているそうです。

 

しかも、日々世界中で新たに生み出される膨大な情報を学習し続けているのでしょう。もうわけわかりません。

 

リチャード・サットン教授(人工知能分野)は、”この70年間のAI研究で得られた最大の教訓は、計算能力を活かした汎用的な手法が最終的には最も有効であった” と、述べられています。コンピュータが最も得意とする計算を活かしたということでしょうか。ハード技術が追い付いたとも言えるのでしょうか。

 

生成AIから得られる成果は、プロンプト(ユーザーが入力する指示や質問等)次第であり、そのレベルに合わせて回答をしているだけであり、より高度なプロンプトであれば、より高度な回答をしてくる可能性があるのかもしれません。

 

生成AIを自動車のように考える必要があるとのことです。
 

人間に車より速く走る力が必要だという人はいません。自分の足だけでは行けないような場所に、短い時間で行くことができます。一方で、車があっても自分の足だけで走る力は必要です。

生成AIを使って、これまで到達したことがない高みを目指す一方で、自分の頭脳だけで考える重要性も失われていません。

 

知を継承する方法が変化し、進化しています。そして子どもたちの将来は、知の継承のみならず、その先の未知の領域、知の発展になります。

 

普通教室で一斉指導という形態は限界を迎えています。先進自治体の学校では、”一斉”と”個別”と”協働”の学び方が、クラスの授業の中で同時に進んでいます。キーワードは、”自ら伸び”です。教師の説明を聞くのか、友達同士で考えや意見を交わすのか、ICT等を使って個別に学ぶのか、子ども自身が選んでいくものです。

 

これまでは、従来型授業(一斉指導、一斉協働)を元に、端末活用がプラスされてきました。これからは新しい授業が求められています。

 

先進している自治体の先生がたは、とても楽しいそうです。教えるということに囚われ、理解しない子どもたちにどう教えるか悩んでいたそうですが、自ら学ぼうとすることを手助けすることで、子どもたちが理解していくのがわかるそうです。

 

本日はとっても勉強になりました。ありがとうございます。