特別支援教育講演会 | 立川市議会議員/公明党 高口やすひこブログ

特別支援教育講演会

20日、立川市女性総合センター・アイムで、『特別支援教育講演会』が開催されました。

 

発達障がいと特別支援教育 ~理解とサポートの重要性~」と題して、NPO法人 東京都自閉症協会 役員の綿貫愛子氏より、講演がなされました。

 

臨床発達心理士・学校心理士・公認心理師・国家資格キャリアコンサルタントで、大学生時代に、ご自身が発達障がい(ASD、SLD、ADHD)の判定を受けられています。現在、都立知的障がい教育特別支援学校 9校で外部専門員、都立高等学校・中等教育学校 6校で特別支援教育心理士、区立中学校 1校で特別支援教室巡回心理士等として仕事をされています。

 

発達障がいは、ASD(自閉スペクトラム症 広汎性発達障がい)、SLD(限局性学習症 学習障がい)、ADHD(注意欠如・多動症 注意欠陥・多動性障がい)等に大別されますが、単独でその特徴があるというよりも、重複してそれらの症状を持ち、併存していることが多いそうです。むしろ支援のために、その名称を使っているとの感じでしょうか。

 

最初に結論を言われたと思います。”自閉症とともに、ハッピーに 自閉症のまま、幸せになる” と。

 

東京国立博物館のセンサリーマップを紹介されました。センサリーマップとは視覚、聴覚、嗅覚などの五感情報をマップに追加したものです。(感覚過敏研究所ホームページより) 感覚が過敏な方に配慮されたマップということでしょうか。

 

発達障がいなどの症状を持たれる方を、ニューロマイノリティ(神経学的少数派)と総称されています。先天的な脳機能(認知スタイルの違い)によって、生活や学習に難しさが生じている状態・状況のことです。

 

発達特性があることは、イコール障がいではありません。そもそも定型発達(多数派)になること・同じようにできることを、目指されてはいません。支援の基本的な方向性は、当事者が自分を知り、自分を使いこなすことです。そのプロセスを支える教育や支援が大切になります。”自分の人生をデザインし、『自分』を生きること”と述べられました。

 

その通りと思います。多数派に合わせる、近づくことが苦しみを伴うのなら、その必要性は、そもそも微塵も無いと思います。

 

発達障がい当事者も、自分なりに、試行錯誤されながら、独自の工夫をされています。綿貫氏は、光の取り入れ方に問題の出やすい人に特有の眼球移動能力(眼球運動)の困難さを持たれていました。

 

綿貫氏は、教科書の字を読む困難さを解消するために、手で覆いをつくって暗くしたり、筆箱や定規、ノートを使って、行の見分け・眼球運動を補助され、鉛筆やペンで囲み線や矢印を書きこんで、読みやすさを高めたそうです。

 

特性に合わされた眼鏡、UDフォント、色を付け光の反射を抑えたノート等、当事者らの声で作られたツールも発達しています。感覚調整グッズは、見やすさ・聞こえやすさをサポートするだけではなく、「疲れにくさ」にも有効で、生活や学習の充実につながります。ヘルスケア・ウェルネスがすごく大事とされます。

※ウェルネスとは、肉体的・精神的・社会的に満たされるための行動をとっている状態であり、ヘルスケアはそのための手段となります。

 

学習障がい(LD:Learning Disabilities)は、近年は学び方の違い(LD:Learning Difference)、学び方の多様性(LD:Leaning Diversity)として、捉えられるようになってきています。その学習のピラミッドが示されました。底辺にある感覚システム(聴覚・前庭覚・固有覚・触覚・視覚)をしっかりサポートすることが大切になります。

 

感覚処理障がい(SPD:Sensory Processing Disorder)について、話されました。視覚、聴覚、触覚、触覚、嗅覚といった感覚情報に対する、脳の処理・解釈に関する障がいです。感覚鈍麻(気づきにくさ)感覚過敏(過剰に反応)等として、現れる場合があります。感覚鈍麻の方は、強い刺激を求める傾向があり、感覚過敏の方は、刺激を避ける傾向にあります。

 

ASDの約80%に、発達性強調運動障がい(DCD:Developmental Coordination Disorder)がみられ、DCDのある幼児児童の88%に、感覚処理の問題がみられるとのことです。

 

※発達性強調運動障がいとは、大きな病気やケガがないのにもかかわらず、運動の不器用さが極めて大きい障がいです。

 

かつて自閉症は子どもの精神疾患とされ、症状の軽減や社会参加といった、定型発達の価値観に立脚した治療、支援が主流でした。定型発達の優位を前提とし、定型発達の水準を達成することや、水準からの逸脱を克服すること、そしてそういった臨床的な理想像に適応することを求められてきました。

 

現在は、ニューロダイバーシティ(神経多様性 Neurodiversity)が推進されています。神経学的な差異を、障がいや機能不全ではなく、人の多様な変異のあり方として認識し尊重するものです。

 

必ずしも支援・治療する必要があるわけではなく、新しいタイプの自立のあり方を示すことや、自分自身についてどんな支援を受けるか、あるいは受けないかを自由に選択できるものです。

 

多様な表現方法や生き方が肯定され、ASDらしく、自分らしく生きていくことを支える支援のあり方について、考えていく必要があります。

 

桜梅桃李という考え方があります。”本来、ありのまま、そのままの姿で尊い”という考え方です。とってもスッキリしました。

 

綿貫氏は、自身の自閉症の経験・体験を通して、特別支援学校等で、児童・生徒、保護者らの相談支援にあたられています。とても共感するそうです。”プリント、出せないよね 分かる!”など。

 

似た特性を持つと、その人どうしでは、とてもよく理解し共感し、居心地が良いのだと思います。

 

本日は、とても勉強になりました。ありがとうございます。