ドイツに来てから、自分の足が速くなったと感じるようになり、周りからもそう言われるようになった。

自他共に見解が一致したことからそこに興味が湧き、具体的な数字を用いて説明することはできないが、自分の感覚をもとに自分なりにその要因を論理的に分析してみようと思う。


ですが、これはあくまでも一つの仮定にすぎず、私個人の見解にすぎません。

あくまでも、私の“感覚”での話です。

専門的な知識もそれほどありませんが、体育学部で学んだ知識と今までの経験をフル活用します。



要因① 【体幹】

まず、「走る」動作というのは、体幹がかなり重要なのではないかという仮定を立てた。

それから、日本にいた時よりも体幹を意識的に強化するようになり、猫背が改善され姿勢が良くなり、バランスが良くなり、無駄な動作が削減された。

体幹を締めて、ヘソを前に突き出すような感覚で走る→前から引っ張られているような感覚を得た

意識的に体幹を締めて走った時と、体幹を緩めて走った時とでは、スピード感がまったく違う。


走る動作に限らず、身体の中心にある体幹は様々な動作を行う上で欠かせない部分。



要因②【Jump系トレーニングの増加】

ミニハードル、縄跳び、Jumps(Jumpのトレーニング器具)を使ったトレーニングが、週2でチームのウエイトトレーニングに継続的にどれかが必ず組み込まれている。

大腿部を引き上げて行うジャンプではなく、膝下と上半身を使用して速く、細かいジャンプ。

スプリントに使用する主な筋肉に、腓腹筋、ヒラメ筋がある。

このジャンプトレーニングにより、この2つのパワーが向上したと思われる。

縄跳びの具体的な回数、セット数→右、30秒 左、30秒、交互、30秒、両足、30秒の計2分×3セット



要因③【スプリントトレーニングの増加】

・レジスタンストレーニング(トレーニング例
・坂道ダッシュ
・重りを使ったレジスタンストレーニング

※どれも10m~20mの距離を10本~15本、レストをしっかりとって、全ての本数を良い状態で走る


単純にスプリントトレーニングが増えたことが要因にあげられると考える。

「走る」ことに対して意識させられるようになり、その自分の感覚と向き合うようになった。

走れば足は速くなる。ただ、意識しないと速くはならない。



要因④【ぬかるんだピッチ状態でのトレーニング、試合】

ヨーロッパのピッチは、土が柔らかく、日本みたいに整備されたピッチはほとんどない(女子の場合)。

そういったピッチで日々トレーニング、試合をしていくうちに自然と、バランス感覚、体幹、下半身のパワーが無意識に養われていったのではないかと推測する。

写真を見てもわかるように、明らかに上体が安定している。


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要因⑤【周りのスピードが速い】

練習相手であるチームメイトの足の速さが単純に速い。

それについていこうとして無意識に鍛えられていった。

負けたくない、勝ちたいという意思がそうさせたのではないか。



要因⑥【上腕三頭筋】

走る時、腕を引く動作時に使用する上腕三頭筋を重点的に強化し続けた。

これはドイツに来る前から重点的にウエイトトレーニングを行っていた部位。

これが他の要因と重なって効果を出し始めたのではないか。




以上、主な要因になりうる要素を上げてみたが、これ以外にも沢山あると私は考えている。

全ての要素をリンクさせて考えることは可能だから。


意識的にトレーニングした部分と、無意識的に鍛えられた(環境によってそうさせられた)部分とが上手く効果的に作用し、1年~2年、ないし要素によっては3年間継続的に行った結果

足が速くなったという自分の中の感覚を得て、他者からもそう感じられるようになった。

これが本当かを証明するためには、測定が必要だろう。

しかし、この感覚は今までに感じたことのない感覚。

プレーしている最中にそう感じるので、単純にタイム測定した結果とそれが比例するとも限らないだろう。


足の速さは遺伝的なものがあるかもしれない。

だけど、トレーニングすれば絶対に速くなる。

それだけは自信を持って言える。


自分の身体の新しい可能性に出逢い、また新たな自分を形成しようとしている。


まだまだ進化し続ける。

そう信じて疑わない。