昨日行った山梨県立図書館で、普段は代読サービスを行っているという方と出会いました。
世界のバリアフリー絵本展の係員さんをされていました。
10時から12時までの担当だったようなんですが、ちょうどその時に私たちがおじゃましました。
一通り見たあとに、みんなで記念写真をとり自由解散ということにしたんですが、私はもう一度ゆっくり見ようかな。と思って中に入りました。
アンケートに記入してもらえますか?と言ってその方がアンケート用紙を持って来ました。
そんなことから、お話が始まり・・・。
以前介護の仕事をされていたと言うその方は、実は娘さんが難病を患った身体障害者なんだそうです。
今は山梨に住んでいるけれど、もともとは東京に住んでいらっしゃった方で、娘のために土地と財産を提供して山梨に施設を立ち上げたんだどうです
旦那様がが10年間施設長を務め、今は別の場所に娘さんは入所しているとのこと。
その当時のお話から、さかのぼって発病した頃のお話まで様々なお話をしてくださいました。
3歳までは普通に暮らしていた娘さんが急に難病告知をされたこと。
「どんどんいろいろな機能が衰えていくから、なにか一つでいいからできることを見つけてあげなさい」と医師から言われ、本を読んであげることと、パズルをさせることを続けてきたこと。
また、当時の仲間たちみんなで機織り機をそれぞれ購入し、重い機械を持ってバスにのり、毎回公民館に集まり機織りをやってきたこと・・・。
その日も素敵な紫色の織物のベストを着てらっしゃって。
「これは娘から成長の証なんです。」
と、とても嬉しそうにベストの説明をしてくださいました。
今は、病気も進行していますから、とてもこんなことはできません。
だから、わたしにとって大切な宝物なんでですよ。って。
でもね、そんな娘が今でも出来ることがあるの。
「娘はパズルができる!!」
「パズルしかできない。」
「パズルができるから何?」
いろんな意見はあると思う。
でも、一方では、
「パズルができるからいいよね。」そう思ってくれる人もいる。
「施設で1日を過ごす中で、何もできることがなくただぼーっとしていることしかできない人が多い現状で、娘はパズルをして過ごすことができる。そんな娘は幸せよ!」
「何もしないで過ごせば、娘は日に日に衰えていくだけ。でも、毎日パズルをすることで、今も学んでいるの。」
「それからね、当時好きだった絵本を見せるとね、嬉しそうにページをめくりたがるの。ページをめくれるなんて素敵でしょ!読みたいっていう気持ちを今でも持ってるの!!」
娘さんは38才。
本のページをめくることをこんなに嬉しそうにお話するお母さんに、私は会ったことがありませんでした。
でも、その方のお話からは溢れんばかりの愛情と温かい気持ちを感じ、何とも言えないほど温かく幸せな気持ちでいっぱいになりました。(ゾワゾワしちゃった!)
今は、昔に比べて母親たちのパワーが弱い。
親たちの思いが行政を変える。
恵まれた支援の中であぐらをかいて、まだまだ支援が足りないという。
じゃあ、そう言っている人たちはそのために何をしているの?
我が子のために何をしてあげているのかしら?
絵本のひとつ読んであげることもなく、子供たちの明日に希望の光を見いだせないことを、人のせいにしてる。そんな社会。
障がいを持った子は、自分の力で上がっていくことが困難な子。
成長をさせたいと思うなら、普通の子以上に時間もお金もかかるもの。
なのに、なんでもタダでやってもらおうなんて!!
私は、もうひとりいる息子を大学に入れたりしてきたから、それと同じくらいのお金を娘にもかけてあげたいと思った。
考えた結果が、土地と財産を提供して施設を立ち上げることだったの。
東京のほかの施設でも支援員をしたり、今も県内でいろいろなボランティア活動をされています。
視覚障がい者さんとの関わりも多く、多方面に渡り知識も経験も豊富な方でした
60歳を超えている小柄な女性ではありますが、内面から感じるエネルギーと豊かな愛情を感じずにはいられない本当に素敵な方で、私は今回この展示会に来た理由は、この方に出会うためだったんだと確信しました
自分が精一杯やってきたという思いのある方の言葉は、無条件で心に響きます。
私をずっと支え続けてくださった方も、聴覚障がい児を持つお母さんでした。
その方も、やれることは全てやったから!と胸を張っておっしゃいますが、子育てが終わった今でも多方面で力を発揮しています。
私が知っているその種の方たちは(言い方は悪いが)、自分のやるべきことが終わってもそこから更なる活躍が!
気がつけば、私はそんな方たちの力を借りて今日まで来たんですよね
私は思う。
同じ場所に行き、同じ体験をして、同じ人に出会っても、得るものは全く違うんだと。
一緒に、展示会を見に行った仲間たちは、何を得て帰っていったのかな?
同じように、この方のお話を聞いた人がいても、私が感じたように感じることはないかもしれない。
どんなにいいメッセージでも、受け取り側にその準備が出来ていないと、残念ながらいいメーセージとはならないものなんじゃないかな?
パズルができる!
ページがめくれる!
だから何?大半の人がそう思うかもしれない。
でも、私にはこの親子が築き上げた『素晴らしい成果』だと思うし、この方が言うとおり、これができる娘さんの1日は『充実した幸せな1日』なんだと心から思いました。
今後、きっとこの方と一緒に過ごす時が来ると私は信じて、図書館を後にしました。
素晴らしい出会いに感謝の1日でした