前回の続きです。

抗がん剤治療後、主治医から妊娠の許可が出たため、自分の体の状態を調べてもらおうと不妊治療で有名な病院に行きました。


その病院で味わった悲しみや悔しさは6年以上経った今でも忘れられません。



問診票に書ききれないほどの経過があるため、事前に病歴、治療経過、使用した抗がん剤などを書いて持参し、問診票とともに受け付けに出しました。


色々と検査したと思いますが、詳細までは覚えていません。





検査結果を見て医師に言われた言葉は

『なんで抗がん剤治療の前に凍結しなかったのか』でした。強い口調で責められた。(責められたと思ってしまった)



私は必死に涙をこらえ

この言葉に耐えました。



私がどんな思いで治療前に電話をしたか

どんな思いで受精卵の凍結を諦めたか…。

どんな思いで抗がん剤治療にのぞんだか…。


何も知らないのに

なぜ、こんな風に責めるのか?


もちろんやりたかった。

私だって、できることならそうしたかった。

やりたくても出来なかった。

子どもが欲しいのに、子どもを諦める覚悟で治療にのぞむことがどれほど苦しかったか。


今でも、このときの悲しさや悔しさは忘れられません。




『抗がん剤の影響で卵巣の機能がかなり悪い』『自然妊娠は厳しい』

『卵巣の機能は42歳』(当時33歳くらいでした)

『いつ閉経してもおかしくない』

『急がないと厳しく、子どもを望むならすぐに体外受精するべき』



医師の言葉に追い討ちをかけるように

辛すぎる現実ばかりでした。



元々体の状態を調べてから、今後のことを考えたい思っていたのですが、そのままの勢いで、体外受精のためのカウンセリングを受けることに。




カウンセラーがいると。




涙を必死にこらえ、辛い現実に歯を食いしばりながら、待合室でカウンセリングを待ちました。

この後、カウンセラーが私の話を聞いてくれる。私の事情も知った上で、この苦しみを受け止めてくれるに違いない。そう思ったから耐えられた。





カウンセリングには年配の女性と若い女性の2名がいました。


はじめは若い女性が何やら話していましたが、(体外受精についてか何かだったか、詳細は忘れました)まだ経験が浅かったのか、しどろもどろで上手く進められていませんでした。



そして、しびれをきらしたように年配のカウンセラーが話し始め、開口一番に放った言葉は、



『性生活は何回ですか?』

『性生活が少ない』

『1週間に3回は性生活をもたないと妊娠はできませんよ。笑』


バカにするように

鼻で笑いながら言われました。





私は、もう涙をこらえることは出来ませんでした。悔しい…悲しい…なんでこんなことを言われないといけないのか。



知っていますか?

私の病歴。


知っていますか?

今、ついさっき抗がん剤の影響で妊娠は難しいと言われたこと。辛い現実を突き付けられたこと。


性生活の回数とかそんなことじゃない。




カウンセラーのくせに、

看護師長のくせに、

なぜ?



泣きながら怒りに震えながら

『がんになり抗がん剤治療を受けた』

『今、医師から抗がん剤治療の副作用で自然妊娠が難しいと言われた。』

『なのになぜそんなことを言うのか』

『カウンセリングなのに、なぜそんなことも知らずに話すのか』



何を言ったか覚えてはいませんが、

こんなことを泣きながら訴えたと思います。



若いカウンセラーの方はとても心配そうに見ていました。そのあとは、若い方が必要な説明をしてくれました。

そして、廊下に出たあとも何か声を掛けてくれました。

年配の女性の話し方、顔、その時の光景は今でもはっきり覚えています。





死ぬかもしれない恐怖と戦って


子どもを持つ人生を失う恐怖と戦って


辛い治療を乗り越えて


うらやむ気持ちやねたむ気持ちにも耐えて


やっとここまできて


希望のためにこの病院にきたのに


医師に責められ、カウンセラーに責められ


心ない言葉をかけられて



もう

ぼろぼろでした。



ここにきた不妊に悩む多くの人が

このカウンセラーにこんな風に傷を負わされてきたのかもしれません。



続きます。